2016年06月15日20時58分掲載
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人権/反差別/司法
イスラム原理主義指導者 と ゲイ( 同性愛者 ) テロ事件と死刑
今回、オーランド市で起きたゲイ(同性愛者)大量テロの少し前の3月にイスラム原理主義指導者が同市を訪れて、ゲイは死刑である、と語っていたことは前回報じた。その指導者であるFarrokh Sekaleshfar師はオーランド市を去って、オーストラリアのシドニーに説教に赴き、その後、オーストラリアでは「ヘイトスピーチにオーストラリアはゼロトレランス(100%認めない)」と批判されて、英国に帰国の途についたらしい。
そのFarrokh Sekaleshfar師はオーランド市でテロを起こしたオマル・マティーン(29)との関連を問われて、次のように語ったとされる。
<"That animal, they are connecting me to him [Omar Mateen]. Not at all. He was an ISIS sympathiser, a follower of Baghdadi, these people are criminals.">(abc)
「あの動物(テロ犯人のオマール・マティーン)を私に結びつけようとしているみたいだが、全然おかど違いだな。あの男はイスラム国に同調する者だ。アル・バグダ―ディに追随する人間じゃないか。奴らは犯罪者なんだよ」(abc)
同じイスラム教徒であり、ゲイは死刑に相当すると考えている人間でありながら、Farrokh Sekaleshfar師が犯人のオマル・マティーンを動物呼ばわりするには理由がある。それはFarrokh Sekaleshfar師がシーア派であることだ。イスラム教シーア派はイランやシリアなどに信者が多く、サウジアラビアやカタールなど、イスラム教世界の多数派を占めるスンニ派と抗争してきた。今日の中東の紛争もシーア派とスンニ派の権力を求めた内部抗争である。シーア派のイランがイラクに勢力を確立しつつあることに対して、スンニ派の湾岸諸国が資金を投じて育ててきたのがイスラム国(スンニ派)である。
そういう意味ではFarrokh Sekaleshfar師にとって、スンニ派のイスラム国に共鳴する犯人のオマル・マティーンは潜在的に敵対する人物であろう。だから、同性愛者は死刑に相当する、という見解では同じながら、犯人を動物呼ばわりしているのであろう。
シーア派の原理主義国家のイランでは同性愛者は死刑になっており、このことはスンニ派のサウジアラビアでも同様である。サウジアラビアは去年の9月から国連人権理事会の議長国になっているから驚きである。
■Visa of anti-gay Muslim cleric under review, says Malcolm Turnbull
http://www.theguardian.com/australia-news/2016/jun/14/visa-of-anti-gay-muslim-cleric-under-review-says-turnbull
■Iran's New Gay Executions
イランではゲイは絞首刑の対象になりうる
http://www.thedailybeast.com/articles/2014/08/12/iran-s-new-gay-executions.html
■ワシントンポスト ゲイで死刑になる可能性のある国
https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2016/06/13/here-are-the-10-countries-where-homosexuality-may-be-punished-by-death-2/
サウジアラビアも含まれる
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