2016年06月22日20時20分掲載  無料記事
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人権/反差別/司法

パリ警視総監がデモ禁止令  約半世紀ぶり  

  フランスのメディア各社によると、6月23日(木)にパリで労働組合などが予定していた労働法改正反対のデモがパリ警視総監の命令で許可が下りなかった。デモが禁止されたのは半世紀ぶりとされる。 
 
  フランス20の報道によると、6月14日にパリ各地で起きたデモでの衝突が激しかったことを理由に、23日のデモでの安全が保証できないとパリ警視庁は判断したとされる。 
 
  折しもフランスではサッカーの欧州選手権大会が各地で開催されており、警察はそちらの警備にも対応を余儀なくされているほか、最近、警察官2名が殺されるテロ事件も発生しており、ニューヨークタイムズの社説などでも、デモの一時中止を呼びかける論が記載されたほどだった。 
 
  しかし、その一方で、労働法改正問題は市民の大きな関心事となっており、今はサッカーどころじゃない、というのが労働組合員の思いだろう。というか、なんでこの時期にサッカーなんだ、と思っているのかもしれない。 
 
 元ルモンド編集長で、新興メディアのMediapartを創刊したジャーナリストのエドウィ・プレネル(Edwy Plenel)氏は早速、抗議の文章を発表した。プレネル氏は三権分立を象徴するフランスに設置された憲法裁判所の判例から書き起こしている。 
 
  ’Manifester est une liberte fondamentale, un droit constitutionnel, celui d'exprimer collectivement des idees et des opinions (decision n° 94-352 du Conseil constitutionnel, du 18 janvier 1995). ’ 
 
「デモを行うことは市民の持つ基本的自由であり、憲法で保障された権利である。デモは思想や意見を集団で表現する行動なのである」(1995年の憲法裁判所の判例から) 
 
  さらに、プレネル氏はその源をフランス革命にたぐっている。 
 
  "Toute societe dans laquelle la garantie des droits n'est pas assuree, ni la separation des pouvoirs determinee, n'a point de constitution" (article 16 de la Declaration des droits de l'homme de 1789). 
 
 「基本的人権が保障されない社会、そして権力が分けられていない社会は憲法を持っていないのである」(1789年のフランス人権宣言 第6条 ) 
 
  プレネル氏はこうした蘊蓄を披露した上で、政府の強権に対して抵抗することは民主主義社会における私たち自身の存在を守ることにほかならない、と主張している。 


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