2016年06月26日23時43分掲載  無料記事
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文化

パリの画家/漫画家のオリビア・クラベルさんにインタビュー2 Interview Olivia Clavel ブリジット・フォンテーヌの奇想天外な歌 「ヌガー」のビデオクリップづくり

  フランスのポップ歌手、ブリジット・フォンテーヌ(Brigitte Fontaine )が1988年に出したアルバム「フランスの心臓」(French corazon) に収録された「ヌガー」( Le Nougat )。ヌガーとはキャンデーにナッツが練り込まれた甘い菓子です。その歌詞はこんな風に始まります。 
 
 「朝、元気いっぱいで目が覚めた私はコーヒー沸かしのスイッチを入れた。それから私は浴室に飛び込んだ。すると、そのとき、私の体は凍りついた!シャワーの下に1頭の象がいたからよ。象は私をやさしく見つめた。私は赤くなって口ごもりながら尋ねた。たぶん、耄碌した人みたいに。 
  『いったいどうやってここに入って来れたの、ドアは閉まっているのに?』 
  象は微笑んで私にこう言った。 
  『心配はいらない。僕にヌガーをおくれよ! 心配はいらないから。僕にヌガーをおくれよ!』」 
 
Je me reveille avec entrain, 
Je branche la cafetiere electrique, 
Je me rue dans la salle de bain 
Et je deviens paralytique. 
Sous la douche y a un elephant 
qui me regarde tendrement, 
je balbutie en rougissant 
d'un air gaga probablement : 
'' mais comment donc etes vous entre 
Puisque la porte etait fermee?'' 
il me sourit et il me dit : 
'' t'occupe pas, donne moi du nougat ! 
t'occupe pas, donne moi du nougat ! '' 
 
 
  象が浴室にいて「ヌガー」が食べたい、という。いったい、なぜ?オリエント風のメロディに乗って、カフカ的な不条理なシチュエーションを一人の女性が心臓をどきどきさせながら駆け回り、いったい何が起きているのかわからないまま、視聴者自身も幻想の世界に引き込まれてしまいます。みんな偏執狂的にヌガーにこだわっているみたいです。象から逃げ出した女性は町をかけて友人の家にかくまってもらおうとしますが、そこでも再び「ヌガー」のことが話題になって・・・。 
 
  奇抜な遊び心に満ちたブリジット・フォンテーヌのこの歌に負けず劣らず、楽しい映像を作り上げたのが画家のオリビア・クラベルさんです。クラベルさんはブリジット・フォンテーヌさんの友人でもあります。以下がその作品です。 
https://www.youtube.com/watch?list=RDL8ejnv15bPk&v=L8ejnv15bPk 
 オリビア・クラベル「ブリジットは’Hors normes’ (規格外の人、常軌を逸した人) です。他の人々とはとても違っていますよ。天才なんです。偉大な詩人です。非常に知的であるけれども、非常に苦労して生きている人でもあります。でも、ユーモアを忘れない人なんです。」 
 
  クラベルさんは1974年にバズーカ(Bazooka)という新進のアバンギャルド集団を仲間と作って自由奔放に活動しました。このビデオが作られたのは1988年のこと。バズーカのメンバーの一人、キキ・ピカソ(Kiki Picasso)がブルーの背景の前に立って歌うブリジット・フォンテーヌのシーンを撮影しました。その実写映像にクラベルさんがフォトショップを使ってパソコンでイラストを描き加えていったのです。アニメーションは「ヌガー」の歌詞に忠実に描かれていながら、しかも、クラベルさん的な遊び心があふれています。 
 
 
※(ウィキペディアより)ヌガー(仏:nougat) 
 「もともとヌガーは紀元前よりのアラブの菓子ハルヴァに由来するもので、クルミと蜂蜜によって作られていた。これが中国にわたって牛軋糖(ニュウガータン)と呼ばれる菓子となり、さらにフランスに持ち帰られることで、南仏の名産品であり長期保存に耐えるアーモンドを使用する菓子に変わった。17世紀にはメレンゲの使用が一般的になっている。こうした経歴から、現在でも蜂蜜の含有率が高いヌガーほど高級品とされている」ちなみにこのハルヴァについては「古代メソポタミアのアッカド地方には、小麦粉、胡麻油、蜂蜜と水で作るムッタクー(muttaqu)という菓子があった。シュメール人の菓子「ギリラム(Giliram)」や「ミルスー(Mirsu)」には、すでにナツメヤシの実のハルヴァ(ハルワ)の原型が見られる。」 
 
 
■パリの画家/漫画家のオリビア・クラベルさんにインタビュー Interview Olivia Clavel 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201603151831552 
 
■クラベルさんはパリのgalerie Corinne Bonnet(コリーヌ・ボネ画廊)で今年11月に個展を開くようです 
http://galeriecorinnebonnet.com/artiste/olivia-clavel 


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