2016年07月14日16時17分掲載  無料記事
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政治

憲法改正はどう進むか? 仏文学者・思想家の内田樹氏のツイッター連続投稿から 憲法が停止される緊急事態条項の恐ろしさ 歯止めはあるのか?   

  以下は衆参両院で3分の2議席をついに獲得した自民党の安倍政権がどう憲法改正にトライしてくるか、仏文学者・思想家の内田樹氏が1つの可能性をツイッターに連続投稿しています。 
 
  以下は内田氏のツイートから。 
 
  「昨日の夜に書き込んだツイート(改憲は「緊急事態条項一点張りで来る」という予測)が2500RTに達しました。すごいですね。「そうだ!」と同意してくれた人がそれだけいたということだと思います。自民党は必ずその手で来ます。それが改憲の実を取る一番確実な方法だからです。 
 
  何度でも書いておきますけれど、緊急事態条項というのは「憲法を停止できる場合についての規定」のことです。総理大臣は「特に必要があると認めるとき」はいつでも好きなときに緊急事態を宣言して、憲法を停止することができます。「認める」だけで立憲政治が未来永劫に停止できるのです。 
 
  緊急事態とはどんな場合でしょう。「我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる」 
 
  「内乱等による社会秩序の混乱」というのがくせものです。自民党政治家はこれまでも国会外でのデモや街宣を「テロ」だという発言をしてきましたが、安倍首相はその発言を一度も否定したことがありません。デモや街宣を「内乱等」の「等」に認定するかどうかは総理大臣の一存で決まるのです。 
 
  「閣議にかけて」も総理独裁の制約にはなりません。ご存じのとおり、安倍内閣になってから閣議の平均時間は13分です。大臣と官房長官で20人。一人40秒しか発言していない勘定です。そもそも閣議で発言するためには事前に書面で発言内容を官邸に告知する義務があるんだそうです。 
 
  自民党改憲草案には「要件」と言えるような規定はありません(総理が「等」に「認定」すれば済むのですから)。憲法停止状態が非常事態宣言時点での国会多数派の賛成さえあれば永遠に延長できるというのも法理的に異常です。 
 
  ナチスの全権委任法は33年に制定された4年間の時限立法でした。ですから37年に失効するはずでした。でも、当然のように延長され続け、最終的に43年を最後に国会さえ召集されなくなりました。全権委任というのは、よほど厳密に有効期限と範囲を規定しなければ、必ずこの前例を繰り返します。 
 
  非常時に憲法を停止する国家緊急権は世界の多くの国に規定があります。けれども、その「要件」については厳密な規定があります。基本原則は「憲法を停止することによって国民が得られる利益が、憲法を停止することによって国民が失う利益を超えることが確実であること」です。 
 
  非常事態条項について、諸外国の憲法やコモンローでは国家緊急事態に際して、どのようなしかたで行政府の暴走の「歯止め」を効かせているのか、専門家のご教示を承りたいです。「これを読んだらいいよ」という本があればお教えください。 
 
  やっぱり予想通りになりました。これから官邸とメディアは「緊急事態条項は災害の場合には絶対必要」「緊急事態条項は世界中のどこの国の憲法にもある」と言い出します。ここが今から立憲政治の存否の戦いになります。」 
 
 
■憲法改正はどう進むか? 仏文学者・思想家の内田樹氏が事態の推測をツイッターで  緊急事態条項で選挙停止、国会議員が終身身分になる可能性も 
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