2016年08月08日23時08分掲載
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遺伝子組み換え/ゲノム編集
米連邦議会、遺伝子組み換え食品の表示を定めた州法を骨抜きにする法律を制定
米国バーモント州で7月1日から施行された有機農産物表示の州法を骨抜きにする法律が7月14日に米下院で可決、成立した。上院ではすでに7月7日に可決しており、表示を求めて運動を広げてきた米国市民団体や消費者団体を落胆させている。(有機農業ニュースクリップ)
バーモント州のGMO食品表示法を実質的に骨抜きにするGMO表示法案(農業マーケティング法改正案)は7月14日、米国下院において賛成306、反対117で可決された。オバマ大統領は署名し、成立する見込みだという。米国上院は7月7日、この法案を63対30で可決していた。
法案は、法律施行より遅くとも2年以内に、米国農務長官が表示基準を策定するように定めている。このため、モンサントなどのGM企業や大手食品企業に有利な内容になるのではないかと懸念されている。
法案ではまた、遺伝子組み換え成分を含むか否かに関し、文言やシンボル、スマートフォンで読み取れる電子コードによる表示が必要となる。電子コードは、成分表記のウェブページを示すQRコード(二次元バーコード)が想定されているという。このため、スマートフォンやパソコンなどを持たない、米国市民の3分の1にあたる1億人が表示の確認ができなくなることが懸念されている。
この法案可決を受けて、ジェシー・ジャクソン牧師はオバマ大統領へ書簡を送り、署名を拒否し議会へ差し戻すように要請したという。ジャクソン牧師は書簡の中で、QRコードを容認した法案は、貧困層への差別性を含んでいると指摘している。
多くの市民団体や消費者団体は、単純な文言による表示以外にもQRコードなども容認するこの法案に反対していた。明示しなくてもよいことから「GMO非表示法」だという批判も出ているほどだ。
この法案は、すでに7月1日より施行されたバーモント州や、同様のGMO食品表示の州法を成立させたコネチカット州やメイン州、アラスカ州のGMO表示制度を骨抜きにするもので、これらの州の主権の著しい侵害であると非難されているという。
・農業マーケティング法改正案
http://www.agriculture.senate.gov/imo/media/doc/Mandatory%20Labeling%20Bill.pdf
・Reuters, 2016-7-14
U.S. Congress approves GMO labeling bill
http://www.reuters.com/article/usa-food-gmo-congress-idUSW1N19D00A
・AP, 2016-7-14
Congress OKs bill requiring first GMO food labels
http://bigstory.ap.org/article/0ac7420b77dc40a6b0ab882c8bb6ca39/congress-oks-bill-requiring-genetically-modified-food
・Center for Food Safty, 2016-7-14
Rev. Jesse Jackson Calls on President Obama to Reject Discriminatory Labeling Bill
http://www.centerforfoodsafety.org/press-releases/4432/rev-jesse-jackson-calls-on-president-obama-to-reject-discriminatory-labeling-bill
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