2016年09月04日23時38分掲載
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橋本勝２１世紀風刺画日記
２６８回 私は天皇だけにはなりたくない
天皇制とはなんだという問題を考えざるをえないことが
いま起きています
天皇が生前退位の意向を表明したのです
その意向がすんなり実現できるとは思えませんが
あらためて象徴天皇制とは何なのかと考えざるをえませんでした。
ところで今回の絵ですが、実はこの絵、４０数年前に描いたものです
二人の女性がプラカードをかかげて何かを訴えています
それは７０年代初頭、盛り上がっていた女性解放の運動である
ウーマン・リブのシンボル・マークです
そしてカードをかかげデモしている右側の女性が昭和天皇の皇后さまで
左が当時の皇太子妃の美智子さんです。
日本の封建的な制度の代表といってよい天皇制
とくに女性差別のはなはだしい天皇制に対し、その当事者たるものが
抗議しているというこの絵、今見ても痛烈な風刺画になっていると自負しています
そしてこの風刺画が展開していることは今回の生前退位の問題にも通底しています
マスコミも国民世論も天皇の生前退位の表明に関してはとても好意的です
私自身も今の天皇に対してはその誠実、謙虚なお人柄にたいしては好感をもっています
そう、マスコミや識者もこの問題に関する受けとめ方はこの次元にとどまっていて、
「象徴天皇制」の問題については素通りしている感があります
憲法が日本国民に認めている個人としての基本的人権が認められていないということでの
天皇のそして皇室の方たちの苦しみについてもっと想像力を働かすべきだと思うのです
例えば職業選択に自由がありません、天皇の仕事をやめることもできません、
離婚などの私生活の自由も、もちろん選挙権もありませんなど様々意味で
人間としての自由がありません
また皇族の女性に関しては数年前、女性が天皇になれないということで
天皇制の女性差別が改めて問題とされたものですが
それ以上に、女性が皇族になるのはしんどいものがあるということを
強く感じさせられたのが現在の皇太子妃、雅子さんです、大変有能な女性であるのに
自由な活動ができないというストレスにより体調がすぐれないという状態が続いています
生身の人間が象徴とされる「天皇制」がもたらす悲劇といえます。
今回の天皇の生前退位の表明の背後に、あるはずの視点
「天皇制は廃止されるべきではないか」から目をそらしてはならないと思うのです。
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