2016年09月11日01時49分掲載
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吉田正俊著 「理解しやすい英文法」(文英堂) 大学受験だけでなく、英語をもう一度おさらいしたい時に便利な参考書
何十年ぶりかで英語の文法のおさらいをしようと思い、新刊書店や大手の古書店で大学受験生向けの英文法書を10冊くらい買って、夏休みに読み比べてみました。それぞれ良さや個性がありますが、自分が読んでみて一押しと思ったのが、吉田正俊著 「理解しやすい英文法」(文英堂)です。シグマベストというシリーズから出ています。
「理解しやすい英文法」は、非常によく整理されていて、英文を分解したら、どのようになり、それらの単語がどのように結合していくのか、基本的に1トピックが1ページで、わかりやすくまとめられています。またポイントを表にまとめてくれているのも助かります。この見せ方は編集者の力でもあるのでしょうが、基本的には吉田氏の教育方法が優れていたんじゃないか、と思いました。そして、もう一つ付け加えるなら、活字のポイントが大きいため、老眼の人でも苦にならずに読めるのです。高校生向けの参考書の中には「え〜こんな小さな字が読めるの〜」と悲鳴を上げたくなるものもあるのですから。
長年、英字新聞を読んでいると、使うのは辞書ばかりで、次第に文法知識が疎くなっていくものです。それはミスを生む源泉でもあり、文法書で英文の基礎を学びなおす必要を最近、感じていました。この本は枝葉末節はそぎ落とし、本当に大切な基本をもれなく書いてくれている印象です。著者の吉田正俊氏(元共立女子大学教授)も冒頭に、「細かい規則や、混乱を起こすような例外事項にこだわらない」「基礎事項を整理し、体系化していつでも応用できるようにすること」など、基本をしっかり頭に入れれば応用はできるという姿勢です。あまり煩雑な知識に基礎的な文法書が囚われる必要はないということでしょう。そこが受験生だけでなく、大人になってから、もう一度おさらいするには適している点だと思います。分厚すぎもせず、薄すぎもせず、内容量も適度かと思います。
これはナツメ社の優れたスペイン語の文法書と同質のわかりやすさです。総じてスペイン語やフランス語の汎用の文法書は簡潔であまり枝葉末節にこだわりませんが、「理解しやすい英文法」はそれと非常に近いものを感じます。
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