2016年09月23日17時40分掲載
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国際
北朝鮮の核兵器開発問題 「米新大統領の最初の100日間が北朝鮮との交渉の要になる」 米専門家の提言
北朝鮮が今年に入ってすでに2回核実験を行い、その他、ミサイルテストは17回行ったと書き起こして、この問題をどう考えるべきかニューヨークタイムズ(国際版9月14日付)で提言しているのが、ジョエルS. ウィット(Joel S.Wit)氏〜ジョンズホプキンス大学にあるU.S.コリア研究所のシニアフェロー〜です。興味深い分析と論旨と思われるので、以下、ウィット氏のNYT寄稿テキスト'How to stop North Korea'の論点を記します。
1)2020年までに北朝鮮は核兵器を搭載した大陸間弾道ミサイルで米国を攻撃できるようになる。その開発は加速している
2)中国は北朝鮮の核兵器保有を望んでいないが、朝鮮半島の勢力均衡の見地から北朝鮮をバッファーにしておきたい。経済制裁を課しすぎると政権崩壊などのリスクも増える。そのため、中国は北朝鮮の核問題を究極的には解決できないと見た方がよい
3)北朝鮮の核兵器開発を停止するための長期的な方法は朝鮮戦争の休戦協定を恒久的な平和条約に発展させることである。これについては両国の間にも懐疑派が少なくない。しかし、北朝鮮政府が同国の最高指導者である金正恩氏の支持のもと、今年7月6日に朝鮮半島の非核化を巡る協議を求める書面を米国に送っているのも事実である。その動機として経済封鎖されている限り、経済の立て直しは不可能であると金正恩氏が考えているのではないか。
4)オバマ政権は残りわずかだから、むしろ北朝鮮政府としては次期米政権がどのような対北朝鮮政策を打ち出すかを重視して、注視するだろう。だから新大統領の執務開始から100日間が重要であるが、それを逃すと交渉の機会を失う可能性がある
ウィット氏の経歴を見れば長期的に北朝鮮と米国の核軍縮交渉を専門に行ってきた専門家であり、その発言には確かさが感じられます。他のテキストと照らし合わせてみるとよく判るのですが、ウィット氏は北朝鮮が何を求めているか、政府高官たちがまたどのような素顔なのかを経験して知っている、米国においては数少ないエキスパートのように思われます。印象深いのはある寄稿で、北朝鮮政府高官たちがキッシンジャー氏に会見した時に大いに敬意を示したことに触れ、米国がキッシンジャー外交のもとで中国政府と国交正常化を実現するまで米メディアでは毛沢東が率いる中国政府はとんでもない独裁政権として常に扱われていた、と書いていることです。
■US・Korea institute
http://uskoreainstitute.org/research/visiting-scholars/joel-wit/
■日本メディアの神話 沖縄、南沙諸島、朝鮮戦争をつなぐもの
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201609050947581
■「朝鮮戦争の終結」を希望 北朝鮮の外交官が米に提案(2011年9月)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201109211542273
「朝鮮戦争を公式に終結させるために平和条約を米国と締結したいと北朝鮮が希望しているという。これは北朝鮮の核兵器開発をめぐる話し合いの場である六か国協議を再開するために、ニューヨーク入りしていた副外務大臣Kim Kye-gwan氏らが米側に伝えたもののようだ。」
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