2016年09月29日20時52分掲載  無料記事
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人権/反差別/司法

元・フランス国民戦線の候補者に罰金3000ユーロの求刑  司法大臣(当時)クリスチャーヌ・トビラ氏を猿にたとえた風刺画をFacebookに掲載した罪で

  2014年春に国民戦線が爆発的な勢いで地方議員を増やしたことは記憶に新しいはず。その前年の秋、同党から地方議員選挙(アルデンヌ県)に立候補していたフランス人の女性がFacebookのページに当時の司法大臣を猿にたとえた風刺画を掲載した罪で、今週、パリで罰金3000ユーロが検察から求刑された(ただし、執行猶予付き)。さらに執行猶予つきの禁固2か月の求刑。 
 
  ちょっとした風刺画じゃないか、と思う人もいるだろうが、司法当局に人種差別主義に該当すると判断されたためだ。報道によれば猿の絵の隣に司法大臣の写真が貼られていて、猿に「生後18か月」、司法大臣に「現在」と説明をつけていたという。 
 
  クリスチャーヌ・トビラ氏はフランス海外地域圏であるギアナ出身の議員で、オランド政権では司法大臣を務めていた。黒人の大臣ということで注目を集めたが、同性婚を認める法案を可決に導いたり、テロ対策のために憲法を改正しようとする政府の動きに対して反対の立場を貫いて辞職するなど、骨のある政治家と観る人は少なくない。 
 
  訴えられている元国民戦線候補者のアンヌ=ソフィー・ルクレール氏は自分の作った風刺画(フォトモンタージュ)ではないし、他人が自分のページに張り付けたものであって、しかも、のちに削除したと説明している。国民戦線はこの件が報じられて問題となってすぐに、ルクレール氏の公認を取りやめ、さらに党籍剥奪を行っている。 
 
  ソーシャルメディアでは他人から記事や風刺画、写真などが本人のページに送られてくることもあり、たとえそれが本人の手になるものでなくても、そのページの管理者としての責任が問われているのである。Facebookにはタグをつけてある人にメッセージを送る機能もあるし、ツイッターではリツイートという機能で簡単に他人のメッセージを拡散できる。オリジナルを作ったわけではなくても、それを自己の管理するページを介して拡散した責任が問われようとしているのである。政治家であればなおさらであろう。 
 
  ルモンドやレクスプレス,franceinfo などを参照した。 
 
 
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