2016年09月30日13時22分掲載
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国際
イエメンで国境なき医師団の病院に落とされた爆弾は米国製だった
イエメンで「国境なき医師団」が活動する病院が8月15日に空爆を受け、死者11人、負傷者19人を出した。その空爆に使用された爆弾が、米国製であったことがわかった。(アムネスティ国際ニュース)
アムネスティが入手した、当日使用された爆弾の写真を武器専門家が検証したところ、米国製の誘導装備付き爆弾であることが判明した。
戦闘地域でも、医療施設へ攻撃は非人道的である。これまでにも、サウジアラビア主導の連合軍は、病院や診療所に同様の空爆をしていた。
武器が医療施設の攻撃に使われ、その攻撃が重大な国際人道法違反であることを承知の上で、米国や英国などが武器を供与してきたことは、まったく言語道断である。
内戦で使われかねないあらゆる武器の包括的輸出禁止を直ちに実施し、国際社会は調査をして違法攻撃の責任を裁判で問うことが必要である。
今週、米国の上院は、オバマ政権によるサウジアラビアへの11億5千万ドル相当の武器売却を阻止する法案を採決する。この取引には、戦車、軍用車、軍装備品、関連サービスの移転もある。この問題では、議員64人が大統領に書簡を出して、武器売却の延期を求めているため、議会には十分な議論の時間的余裕があるだろう。
イエメンにある国境なき医師団の施設への攻撃は、今年に入って4度目となり、同国北部での活動を撤退せざるをえなくなった。昨年7月に同病院での支援活動を開始して以降、4,611人の患者が治療を受けた。
当時、病院周辺で攻撃対象と思われるのは、病院から1キロ東にある軍事基地だった。医師団によれば、サウジアラビア連合軍を含む紛争当事者には、病院の場所はGPS情報で何度も周知されてきた。
救急車の運転手のアイマン・イサ・バクリさん(16才)も、犠牲者の一人だ。遺体が発見されたときは、救急車から運び出した女性を抱いたままだった。
故意の病院攻撃は、国際人道法(戦時国際法)の重大な違反であり、正当化の余地はない。病院は国際人道法により特別な保護を受けており、治療と回復のための安全な場所でなければならない。
武器を供与する諸国、特に米国と英国は、その影響力を行使して連合軍の参加国に対し、国際的義務の遵守と、疑われる国際人道法違反の調査を行うように圧力をかけるべきだ。また、独立した国際機関による調査の実施に協力して取り組まなければならない。
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