2016年10月11日13時07分掲載
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国際
米大統領選 緑の党のジル・スタイン候補の発言 「Democracy now !」が独自編集して組み込んだ拡大討論会
米大統領選の二大政党候補の二回目のTV討論会が行われましたが、米大統領候補は緑の党や、リバタリアン党にもいて、これらの小政党の候補は恒例のTV討論会から排除されています。そこで、米報道番組の「Democracy Now!」が同じ質問を緑の党のジル・スタイン候補にあて、その発言を挿入した拡大討論会を発表しています。
http://www.democracynow.org/2016/10/10/expanding_the_debate_jill_stein_debates
今回の討論会ではトランプ候補の女性に対する発言やヒラリー・クリントン候補のEメール問題などが冒頭の話題に掲げられていました。それに対して、スタイン候補はそうした個人史の汚点などよりもっと重要なイシューがアメリカにはあるのであり、大統領選討論委員会の進行は間違っていると批判しました。
(要旨)アメリカには経済問題があり、復興してきたと言ってもまだまだ一部にすぎないし、移民は恐怖のもとに生きている。しかも、オバマ政権は7か国で爆撃を行っており、そこに予算が莫大に使われている。防衛省(国防総省)と言うけど本質は攻撃省ではないですか。気候変動でハイチのように苦境にある貧困国がある。トランプ候補の女性への発言は許せないことだが、クリントン候補も「女性や子供に尽くす」と言っているが、実際には夫のクリントン大統領時代に子供のいる貧困家庭への福祉プロジェクトであるAid to Families with Dependent Childrenを解体し、数百万の家族を困窮に追いやった。アメリカの職を奪った北米自由貿易協定(NAFTA)に賛成したのもヒラリー・クリントン氏である。さらに金融の規制緩和に賛同したのもクリントン夫妻であり、それがバブル経済の崩壊を生み、多くを家庭を貧困に追いやり、トランプ候補のような人物の台頭を招いた。つまり、単刀直入に言えばヒラリー・クリントン候補の政策は新自由主義である。だからこそ、共和党関係者がトランプ候補ではなく、クリントン候補に票を移そうとしており、すでにクリントン候補は民主党候補ではなく、本質的には民主・共和党連合の候補なのだ。クリントン候補やトランプ候補に代表される政治・経済界のエリートから政治を取り戻さなくてはならない。だからこそ緑の党なのだ。
以上は冒頭の発言の概要ですが、まだまだ先の個々の議論でもスタイン女史は緑の党の見解を述べていくことになります。冒頭を聞いた印象としては、そもそも緑の党は民主党に近い政党でありながら、ヒラリー・クリントン候補への批判の方がトランプ候補に対する批判よりも強く打ち出されている気がします。つまり、民主党のあり方に強い不満を持っており、そうした政治意識が、民主党予備選で敗退したバーニー・サンダース候補に緑の党から立候補しないか、と誘いをかけていた理由でもあるでしょう。
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