2016年10月25日06時08分掲載  無料記事
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コラム

' Je suis WALLON'  欧州人が「私はワロンだ」と言っている  欧州連合とカナダの自由貿易協定の行方

  去年の風刺新聞社、シャルリ・エブド襲撃事件の後、’Je suis Charlie' (私はシャルリだ)とプラカードを掲げて抗議をするフランス市民が話題を呼びましたが、今、「私はWALLLONだ」というのが最新版になっています。このワロンって何か?と思ってたら、ベルギーのニュースが入ってきました。 
 
  欧州連合とカナダが7年かけて交渉してきた包括的な自由貿易協定であるCETAが「ワロン」のために頓挫しかけているのだ、と。ベルギーはフランス語圏とオランダ語圏に言語圏で行政区分が分かれており、ワロンとはベルギーの南部にある、フランス語圏の地域を指します。このワロン地域がカナダとの自由貿易協定に抵抗し、ベルギー統一政府に協定調印の権限を渡さないとしたため、このワロン地域が欧州連合全体のカナダとの協定調印を阻止する結果となりそうです。 
 
  「私はワロンだ」というプラカードはワロン地域を讃え、自由貿易協定に反対する立場を意味しているのでしょう。このカナダとの貿易協定がもし頓挫した場合、次に控えているアメリカとの包括的自由貿易協定であるTTIPも影響を与えるのでないか、と論じられています。巨大な自由貿易協定の調印が1国家の中の1つの地域の抵抗で支障を来たしています。 
 
 
■AFP「CETA 「協定結ぶ能力なし」とEUを非難 カナダ貿易相」 
http://www.afpbb.com/articles/-/3105340 
「ワロン地域政府は今週、CETAに署名する権限をベルギー連邦政府に与えないと決議していた。CETA調印にはEU加盟28か国すべての支持を得る必要があるが、使用言語ごとにいくつかの地域に分かれているベルギーの複雑な政治制度の下で連邦政府が正式に承認するには、まず7つの地域議会が、協定に署名する権限を連邦政府に与えなければならないことになっている。」 
 
 
■フランスからの手紙14    ヨーロッパにおける分離独立の傾向について La tendance centripete en Europe    パスカル・バレジカ 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201008150037000 
「ベルギー王国は1830年に二つの公用語を持つ連邦国家となった。大別すればオランダ語を話すフランデレン地域(北部)とフランス語を話すワロン地域(南部)だ。だが、両者の対立は年々深まっている。二地域の分離がはらむ一番大きな問題は首都ブリュッセルにある。ブリュッセルはフランス語を話す住民が大半を占めるが、オランダ語を話すフランデレン地域の中の飛び地になっているのだ。いずれにせよ、フランデレン地域をベルギー王国から独立させようと考える政党「新フランドル同盟(N-VA)」のバルト・デウェーフェル党首(Bart De Weber)は、今年6月に行われた下院選で最大票を集めた。そしてベルギー王国から時間をかけて、暴力なしに「蒸発すること」を宣言している...」 
 
■ジョゼ・ボベ欧州議会議員がカナダ産ホルモン肥育牛の欧州への輸入に警告 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201310300231483 
 「ボベ氏は成長ホルモンを与えられて育てられた牛肉を食べると健康へのリスクがあるとして、警告を発している。カナダではホルモン投与を許可しているが、フランスでは禁止している。自由貿易協定によって食のあり方が議論のテーマになっており、ボベ氏はオランド大統領に再考を促す模様だ。 
  記事によればボベ議員はカナダの肉牛の生産は多数の牛を一箇所に集め、成長ホルモンを与える工業的な酪農であり、牛の健康管理もフランスのように徹底していないと厳しく指摘している。」 


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