2016年10月25日22時01分掲載
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福島から
沖縄と福島の連帯で政治を変えよう!〜沖縄県政策参与・照屋義実さん福島講演
沖縄県と福島県。この両県に共通することは、沖縄県は米軍基地問題、福島県は東京電力福島第一原発事故被害という“危険で厄介なモノ”が押し付けられ、両県民が多大な苦しみを強いられていることである。
原発事故以降、福島県では労働組合や市民団体が「オール沖縄」の運動に学び、連帯のすそ野を広げようと活動しているのだが、こうした中、県内の市民団体などが中心となり、沖縄県政策参与の照屋義実さん(元・沖縄県商工会連合会会長)を福島県に招き、10月5日から8日にかけて県内4カ所で沖縄県の現状や展望を語ってもらう講演会が開催されている。
このうち、10月5日に福島市民会館で開催された講演会「沖縄の現状と展望 オール沖縄がめざすもの」(主催:照屋義実氏講演会実行委員会)についてお伝えする。
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<沖縄県民と福島県民の連帯を!>
開会に当たり、主催者を代表して挨拶した福島県革新懇事務局長の小川英雄さんは、沖縄県民と福島県民が連帯していく必要性を訴えた。
「今夏の参院選では、沖縄県と福島県の両選挙区で野党統一候補が現職大臣を破って当選し、全国的に注目されました。両県の県民は、基地と原発の苦難を日米両政府から押し付けられているという共通点を持っています。その意味では、沖縄県と福島県が連帯して戦うことが非常に重要となっています。
米軍普天間基地の名護市辺野古移設をめぐり、国が沖縄県の翁長雄志知事を訴えた違法確認訴訟では、9月16日、福岡高裁那覇支部が国の主張を認めるという前代未聞の判決が出ました。しかし、このような横暴を許すことなく、今後も辺野古への基地移設反対の戦いに連帯していきましょう」
<南北から中央権力の挟撃を!>
続く連帯挨拶では、弁護士の安田純治さんと福島大学名誉教授の真木實彦さんの2人が、それぞれ「沖縄県と福島県から『地方切り捨ての政治を許さない』との声を上げ、個人の尊厳を守る政治に転換していかなければならない」などと訴えた。
「福島第一原発事故後に沖縄県を訪問した際、地元の大学教員から“南北挟撃論”という話を聞きました。その内容は『沖縄県や東北地方が、京都や江戸といった中央に攻め入ったことは一度もなく、攻めて来るのは中央権力である。今度は、沖縄県と東北地方が、南北から中央権力を挟み撃ちにしよう』というものでした。
その後、参院選において、東北地方は6選挙区中5選挙区で野党統一候補が当選した訳ですが、このとき、私はまさに『南北挟撃論とはこのことだったか』と思いました。それは暴力に訴えるのではなく、選挙などの民主的な方法で中央権力に対抗していこうということです。
但し、このことによって地域間の対立を煽るというものではありません。地方が中央権力の犠牲になるような社会構造を改め、地域間格差の解消を求めているのです」(弁護士・安田純治さん)
「福島第一原発事故以降、福島県でも沖縄県の風が吹いていると感じていますが、これはとても重要なことです。両県に共通していることは、個人の尊厳を蔑ろにする国家権力への反発だと思います。今、最も大事なことは、個人の尊厳を大切にする政治を取り戻すことであり、それを私たち自身が訴えていくべきときなのです。
沖縄県と福島県の連帯とともに、安倍政権の個人を尊重しない政治に対して、私たちがどうしていけば良いのか。今回、照屋参与から沖縄県の現状について講演していただく中で学んでいきましょう」(福島大学名誉教授・真木實彦さん)
<沖縄県政策参与・照屋義実さん講演>
照屋さんは、故郷の沖縄県と学生時代を過ごした福島県が、共に国策の犠牲となっていることへの心境や、米軍基地問題の展望などを語った。
「私は大学時代を福島県で過ごしましたが、沖縄県を離れて感じたことは、憲法で保障されている基本的人権が沖縄県に及ばない、沖縄県が無権利状態にあることでした。そして、元々政治的なことにあまり関心がなかった私は、その頃から、もっと沖縄県に向き合わなければいけないと思うようになりました。
今日の講演会に先立ち、福島県内の被災地を回ってきましたが、私が福島県の被災地に足を運ぶのは今回が初めてでした。仮設住宅に住んでいる方たちから話を聞いたり、除染土が入ったフレコンバッグが積み上げられた現場を見てきましたが、現場の状況を目の当たりにして改めて感じたことは、福島県と沖縄県が国策の犠牲になっているとの思いでした」
「2年前の沖縄県知事選でのスローガン『誇りある豊かさ』や、昨年行われた政府交渉時の『県民には魂の飢餓感がある』など、翁長知事が発する言葉の一つ一つには、その背後に、明治政府による琉球処分、太平洋戦争における沖縄戦といった沖縄の地がこれまで歩んできた苦難の歴史、そして沖縄県民の思いが込められています。
翁長知事は本当によく奮闘されており、県民運動の前線にいる人たちでさえ『翁長知事に励まされている』と語っています。沖縄県民の願いは、いつまでも平和が続き、子や孫たちに誇れる本当の豊かさを実現することです。この理想を沖縄県で実現するため、今後も翁長知事とともに使命感を持って取り組んでいきます」
「辺野古の埋立て承認取り消しに対して、国が翁長知事を相手取って訴えた違法確認訴訟については、9月16日、福岡高裁那覇支部が埋め立て取り消しを違法とする判決を出しました。これに対して、沖縄県は9月23日、最高裁に上告しました。今後、最高裁での裁判が続いていきますが、仮にこの裁判で沖縄県が敗訴することを想定して様々なことを検討しています。
まず、仲井真弘多・前沖縄県知事が決定した辺野古埋立て承認を『撤回』することであり、これは行政処分として可能です。
それから、仲井真前知事が決定した岩礁の破砕許可について、その期限が2017年3月に迫っていることから、翁長知事は期間更新を認めず、それによって辺野古埋立ての根拠を無くそうとしています。
また、辺野古埋立てに関連して、国は埋立て地区からサンゴを移植するとしていますが、沖縄県は自然環境保護の観点から不許可にすることを考えています。もし、国がサンゴの移植を強行すれば、国は国際的な批判を浴びることになるでしょう。一方で、沖縄県がサンゴ移植を不許可とすれば、国際世論の後押しを得ることにつながるのではないかと考えています」
<「オール福島」の運動を前進させよう!>
閉会挨拶に立った福島県労連議長の斎藤富春さんは、「オール沖縄」の団結力に学び、「オール福島」の運動を前進させていこうと訴えた。
「照屋参与の講演を聞く中で、沖縄県の揺るぎない信念や迫力が伝わってきました。そして、『オール沖縄』には隙がなく、分厚い団結があり、そこには明治政府による琉球処分に始まる140年に及ぶ沖縄県の歴史を感じました。
私たちも福島県の今に向き合い、『オール福島』の運動をいかに広げていくかを考え、ここに集まった皆さんと力を合わせていきたいと思います」
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照屋さんは、講演の中で、ご自身が心に留めている“尚豊愛郷”という言葉を紹介していた。その意味するところは、「わが愛する沖縄、心も姿も美しく、尚、豊かであれ」なのだそうだ。
故郷への熱い思いが伝わってきたし、その言葉を聞いた会場の福島県民も自らの故郷に同じ思いを馳せたことと思う。(館山守)
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