2016年10月29日13時22分掲載
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コラム
メディア観戦を続ける意味 木村結
テレビの報道番組を観ながらついついツッコミを入れては息子に嫌がられていました。ひとり暮らしになってからはひとりでブツブツ言うわけにもいかず、Twitterでつぶやくようになりました。最初はツッコミを入れ溜飲を下げていましたが、ネトウヨ(※ネット上で右翼的発言をする人)と方向性こそ異なるもののやっていることは同じではないか?聞けば、テレビ局にはバッシングの電話が連日かかってきていると。テレビ局は寄せられた電話やFAXの内容をスタッフに回覧していると。バッシングの中には「〇〇はサヨクだから外せ」とか「偏向報道はやめろ」とか番組の内容には触れていないものが多いと。
Twitterでもそうですが、誰かからの指令の下に一斉に行っているのではないかと思われる同一のフレーズの使用が特徴です。自民党ネットサポーターズは会員が1万人を超え、ピラミッド型の指揮命令系統になっているようです。アカウントの写真は萌え系のキャラが多用され、プロフィールには「ネトウヨ」と表記されているものまでありますが、ひとりでいくつものアカウントを使っているためプロフィールは何も書いていない、フォローもフォロワーも一桁か二桁。Twitterで多くの人をdisる(※侮辱する)ことで階級が上がっていくシステム。テレビ局や新聞社へのdisりも同様でしょう。
話が逸れました。ネトウヨが指令の下にdisり、テレビ局や新聞社が自粛しているなら、市民は応援しなければならない。メディアの本来の使命である権力の監視をさせなければならない、と思い立ちました。テレビ画面や新聞の紙面の写真を撮り、要約を載せ感想を書く。新聞記事はネット上に溢れ簡単に読むことができるので、ネットには掲載されない「川柳」や「漫画」をできるだけピックアップすることにしました。本来川柳や落書は権力批判のツールだから。
時折は、テレビ局の電話番号やFAX番号も記載し直ぐに行動に移せるように工夫しました。「マスコミを応援するプロジェクト」なるチラシを作り配布したり脱原発・株主運動ニュースに掲載したり。映画「日本と原発」の上映会の挨拶に招かれた時は必ず「最後に皆様にお願いがあります」と切り出します。
日本国憲法では国民に多くの権利が保証されていますが、多くの人は政治面では選挙権しか行使していません。集団に認められたストライキは日本から姿を消し、連日各地で行われている小規模のデモはもちろん数万人規模で行われるデモであっても報道されることは稀です。報道しないなら、報道を促す行動をすれば良い、市民の動きを報道するよう電話を掛け、報道したら感謝を伝えよう、報道の内容が良かったら「素晴らしかった」「続報を愉しみにしています」と伝える。記者クラブの官僚レクチャー通りの報道だったら「もう少し掘り下げた解説が欲しい」と。つい批判に偏りがちになるところをグッとこらえてテレビ局の中で孤軍奮闘しているスタッフを応援するんだと言い聞かせています。
友人には、もうテレビにも新聞にも期待しない、腹が立つから観ないという人がいます。でも果たしてそれでいいのでしょうか?英国ではマスコミ報道を信じる人はたった14%。米国の最近の調査では過去最低で32%。日本は72%。これは2年前の調査ですが、さほど違いはないでしょう。日本の圧倒的多数はテレビからの情報を信じているのです。それは私の同僚も同じで、多くの人は新聞も取っていませんし、ネットでは芸能情報や事件情報しか読んでいないのです。テレビが果たす役割が大きい中、私たちはテレビの内容にもっと注視し影響を与えていかなければなりません。チェルノブイリ原発事故を契機に脱原発に目覚めた際、子育てと仕事に追われ市民運動にあまり参加できなかった私は、地震が起こる度にテレビ局に電話かけするのを自らに課していました。「震源地近くの〇〇原発を停止させたか〇〇電力に確認してください」NHKでは電話が100本に達すると原発情報のテロップを流すことになっているようで、それは今も変わらないと言います。NHKが報道すれば他局も追随していました。
今も時間的制約があり、「報道ステーション」と「NEWS23」くらいしかカバーできていませんが、もっと仲間を増やし日テレやフジテレビ、NHKもウオッチできればと思っています。皆様も是非テレビ局、新聞社だけに限らず、地元の市議会議員や国会議員(投票した方でなくても)の電話番号を携帯に登録し、思いついたら即電話を心がけては如何でしょう。それは私たちが知らず知らずのうちに忘れている直接民主主義の強力な方法だと思うのです.
木村結 (東電株主代表訴訟 事務局長)
※脱原発・東電株主運動
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■メディア観戦記 31 木村結
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■映画「日本と原発」はもうご覧になりましたか? 木村結
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■特攻隊の生き残りだった父を想う 木村結
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■焼きみかん 木村結
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■ポーランドの旅 アウシュビッツ強制収容所を訪ねる 木村結
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■浜防風(ハマボウフウ) 木村結
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