2016年11月20日00時47分掲載
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文化
読書について フランスの作家、キャロル・ザルバーグさんに聞く Interview : Carole Zalberg
これまでの政治家の枠を破るドナルド・トランプ大統領が生まれ、大きく変貌しつつあるアメリカ。そのアメリカに強い関心を持ち、アメリカと欧州を舞台にした小説を書いてきたフランスで活躍中の作家がキャロル・ザルバーグさんです。ザルバーグさんの代表作にはL'invention du desir’(欲望の発明), ’A defaut d'Amerique’(アメリカの欠陥), ’Feu pour feu’(火には火を)などがあります。これらはフランスのメディアでも大きく取り上げられた作品です。ザルバーグさんは米文学に対してどのような興味があったのか、それと同時にザルバーグさんがどんな読書を若いころしていたのかお聞きしました。
1) What were your favorite books when you were student ?
Q 学生時代はどんな本を愛読していましたか?
I loved all Carson McCullers, Philip Roth, Julio Cortazar, Albert Cohen, Marguerite Duras and many more.
愛読したのはカーソン・マッカラーズ、フィリップ・ロス、フリオ・コルタサル、アルバート・コーエン、マルグリット・デュラス、そのほかたくさんです。カーソン・マッカラーズの作品はすべて好きでした。
Q For example, which book was your favorite in the books of Carson McCullers?
Q たとえばカーソン・マッカラーズではどんな本が好きでしたか?
‘The member of the wedding’. It' s about a teenager, Frankie Addams, who desperately wants to belong, to anything. She's not really a child anymore but she's not an adult either, she feels awkward, too tall for a girl. So she decides, as absurd as it may sound, to belong to the wedding of her older brother... It takes place in the south of the US, when segregation is still the norm. And the only person who understands Frankie, whom she can rely on, is the family's black cook and nanny.
カーソン・マッカラーズの作品で特に私が好きだったのは「結婚式の仲間」です。主人公は何かに所属したいと切望する10代の女の子、フランキー・アダムズです。すでに彼女は子供ではなく、かといって大人でも未だないのです。周りの女の子たちより背が高すぎて、居心地の悪さを感じています。そこでフランキーは、たとえそれが風変わりなものに見えようと、彼女の兄の結婚式に(当事者として)参加しようとします。小説の舞台はアメリカの南部で、当時は未だ、人種隔離社会でした。しかし、フランキーを理解してくれるただ一人の人間で、かつフランキーも信頼できる人間は黒人の料理人で乳母だったのです。
Q Why did you love this world?
Q 「結婚式の仲間」のどのようなところに惹かれましたか?
It's very sensitive, very accurate. McCullers knows how to write about people who are different. Her world is sensual, often painful. And it's beautifully written.
とても感性が鋭く、描写が正確であることです。マッカラーズは周囲と異なる人間をどう描いたらよいか、理解していました。マッカラーズの世界は官能的であり、またしばしば痛々しいものです。そして、そのことがとても美しく書かれているということなんです。
Q You are interested in America, aren't you ? But how? It has something to do with your family?
Q ザルバーグさんはアメリカに関心を強く持っていますね。
なぜなんでしょうか? ご家族に関係しているのですか?
It has more to do with my readings. My father has always been very fond of American literature and so am I, since childhood. I guess the America I'm interested in is a mix between the real one and the one I could picture and feel through novels.
アメリカに関心があるのは私の読書が影響しているのだと思います。というのは私の父が常にアメリカの小説を愛読していたということがあります。それで私も幼いころからアメリカの文学に親しんでいたわけなんです。思うに私が興味を持っているアメリカは現実のアメリカであると同時に、私がアメリカの小説を通して思い描いたり、感じたりしたアメリカでもあると思います。
2) What story did you write recently ?
ご自身は最近はどのようなものを書かれましたか?
I wrote a story about migrants. It's for a show, in between drama and musical.
最近書いたものは移民に関する物語です。これはドラマと
舞台のミュージカルを予定しています。
3) An advice for young people about reading and writing
Q 若い人たちに読書や執筆に関してどんなアドバイスがありますか?
Reading is essential. It opens your mind, multiplies your life, in a way. It's the best remedy against fear of others. And if you want to write, you have to read. There is no good writer who is not a good, a passionate reader.
肝心なことは読書なんですね。読書によって人は心を開くことができるようになるのです。ある意味で、読書をすれば複数の人生を生きることができます。読書は他者に対する恐怖から人を救うことができる最高の治療法です。良い作家というものは必ずよい読者であり、情熱的に読書をしているものなんですよ。
インタビュー
村上良太
Ryota MURAKAMI
■難民を扱った小説「火には火を」(Feu pour feu)の評論(Mediapart)
https://blogs.mediapart.fr/edition/bookclub/article/260314/carole-zalberg-feu-pour-feu
■作家キャロル・ザルバーグと猫 猫は不眠の長い夜の優しい仲間 Carole Zalberg et un chat
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