2016年12月10日14時06分掲載
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国際
ND米紙ウィークリーニュース第106号(December 7, 2016)
●目次●
【トランプの「力による平和」 アジア太平洋の安全保障戦略】FP 11/7
Donald Trump’s Peace Through Strength Vision for the Asia-Pacific
【南スーダン軍 市民を襲撃 国連PKO襲撃を阻止せず】NYT 11/1
As South Sudan Troops Killed and Raped, U.N. Forces Didn’t Stop Them
【米国、モスルの再建をイラクに委ねる】WT 11/6
U.S. leaving Mosul reconstruction to Iraq ― potentially creating opening for Iran
【中国への接近 フィリピンに続きマレーシアも】WP 10/31
On Duterte’s heels, Malaysia is the next Asian country to embrace China
【米海兵隊330人 1月にノルウェーへ派遣】MCT 10/24
More than 300 Marines heading to Norway in January
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【トランプの「力による平和」 アジア太平洋の安全保障戦略】FP 11/7
Donald Trump’s Peace Through Strength Vision for the Asia-Pacific
11月7日発行の外交専門誌「フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)」は、トランプ氏がアジア太平洋の安全保障戦略について、レーガン元大統領の「力による平和」戦略を受け継いでいくとする文章を掲載した。
寄稿したのは、米カリフォルニア大アーバイン校のピーター・ナヴァロ教授と、過去に米下院軍事委員会の海軍力小委員会委員長のアドバイザーを務めたアレキサンダー・グレイ氏で、共にドナルド・トランプ氏の外交政策顧問を務めている。
両氏は、オバマ政権の「アジア・ピボット」政策について、「“大声で話して、小さなこん棒しか持たない”戦略のせいで、中国に対して南シナ海での人工島建設や東アジアでの防空識別区の設定の宣言などを許してしまい、その間に北朝鮮も核弾頭の小型化や4度の核実験等の核開発を行うなど、これらの地域での侵略と不安定化を招いた」と非難した。
また、フィリピンについては、「2012年に中国が南シナ海のスカボロー礁を実効支配した際の米政府の無策が原因で、ドゥテルテ大統領が中国にすり寄ることになった」とし、台湾については、「2010年に台湾海峡の軍事バランスが北京側に傾いているとの国防情報局(DIA)の警告にも関わらず、オバマ政権は台湾への包括的な武器の供与を拒み続けた」とするなど、オバマ政権の政策を批判している。
両氏は、「これに対して次の政権は、日本、韓国、インド、ミャンマー、ベトナムなど、米国のパートナーとしてワシントンとの緊密な関係を常に追求し続けている国々があることを戦略的な機会とするだろう」とした上で、「トランプ氏は今後、米海軍が保有する軍艦の数を現在の274隻から350隻に増やし、海軍規模を拡大する」、「米国の血と金によって、民主主義国家として、そして先進経済国として成長した日本と韓国は、米軍駐留経費の全額負担に踏み込むことこそが公正だ」、「トランプ氏は、アジア太平洋地域における同盟国やパートナーとの関係を安定の礎と見なし、この同盟関係を保持していく」との見方を示した。
【南スーダン軍 市民を襲撃 国連PKO襲撃を阻止せず】NYT 11/1
As South Sudan Troops Killed and Raped, U.N. Forces Didn’t Stop Them
11月1日付のNew York Times紙は、南スーダンにおける平和維持活動(PKO)に関する国連が行った調査報告について報じた。
報告によると、南スーダン政府軍によるホテル襲撃に対して同国で活動する支援者からPKOへの出動要請があった際、PKO部隊は現場近くにいたにも関わらず応じなかったという。
近年、中央アフリカ共和国に展開していたPKO隊員が、市民に性的虐待をしていたことが発覚するなど、PKOでは不祥事が続いていると同紙は指摘。
国連の潘基文(パンギムン)事務総長は、今回発表された報告書に「深く動揺している」とし、現地指揮官の交代を求めたいと述べているという。
報告書によると、PKO部隊は指導力を欠いており、指揮系統は統合されておらず、南スーダンの市民を守ろうという意思も能力もない状態であると同紙は伝えている。
【中国への接近 フィリピンに続きマレーシアも】WP 10/31
On Duterte’s heels, Malaysia is the next Asian country to embrace China
10月31日付のWashington post紙は、マレーシアが、自国への投資と中国の巡視船の購入のため、中国に接近していると報じた。
マレーシアは、東南アジアにおいて中国と最も近しい貿易相手であり、複数の専門家によると、この巡視船の購入は、両国の安全保障において重要な意味を与えるだろうと同紙は言う。
同紙によると、米国とマレーシアはこれまで良好な関係を築いていたものの、今年7月、マレーシアのナジブ首相によって設立された政府系投資ファンドをマネーロンダリングの疑いがあるとして米司法省が捜査したことで亀裂が生じていた。これにより、米国や西側諸国からマレーシアへの投資が減少したことが、中国への接近の1つの理由ではないかと同紙は見ている。
一方、Malaysia’s Institut Rakyatのイン・シャオ・ルーン事務局長は、「マレーシアは、これまで米国や西側諸国と軍事面も含めた強固な関係を築いてきており、マレーシアが完全に中国側についたと見るのは早合点だ」と指摘。当面は、ベトナムなどのように米中両国との間でうまくバランスをとっていくのではないかと同紙は伝えている。
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