2017年01月07日14時54分掲載
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沖縄/日米安保
「沖縄はアジアの中心」 辺野古、オスプレイで日本政府の恫喝に屈しない沖縄を支える経済
翁長沖縄県知事は辺野古新基地建設阻止とオスプレイ飛行停止でぶれない姿勢を貫いている。その姿勢を支えているのは、観光を軸とする沖縄経済に対する自信といえる。アジアの巨大マーケットと日本の中心に位置する沖縄は、まさにアジアの中核という認識が沖縄では高まっており、これからの沖縄経済の発展の上でも軍事基地や轟音をとどろかせて頭上を飛び交うオスプレイは邪魔者でしかない。沖縄の基地反対運動が経済界や保守層を包み込む県民ぐるみの運動になっている経済的背景を見逃すことはできない。(大野和興)
年が明けて1月2日に行われた年頭記者会見で、翁長知事は冒頭で辺野古新基地阻止へ「不退転の決意」強調、続いて観光を含む沖縄経済に言及した。地元紙『沖縄タイムス』から、その下りを紹介する。
−県経済の展望は。
「20年前まで沖縄は日本の外れ、離島の中の離島だった。しかし、アジアがダイナミックに経済を伸ばした中で、日本の外れからアジアの中心地になってきた。県もアジア経済戦略構想を策定した。観光と情報通信産業、国際物流拠点と、目に見える形で数字も伸びてきている。観光で言えば観光収入は6千億円を超え、経済波及効果が1兆円も超えた。さらに情報通信関連産業も生産額が4千億円。国際物流拠点でもANAさんなどの話を聞くと順調に伸びている」
「完全失業率も3%台で落ち着いており、有効求人倍率も1は必ず超える状況をつくりたい。しかし非正規雇用の割合がまだまだ(高い)。県民所得も厳しい状況だ。クルーズ船にもまだ十二分に対応し切れていないので、新たな課題として取り組んでいきたい」
沖縄は日本のはずれではなく「アジアの中心」であると明確に位置づけ、すでに戦略的に動き出していることがわかる。
1月5日付け『沖縄タイムス』の社説もそのことを裏付ける。一部を紹介する。
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社説[沖縄観光展望]足元の宝 内外に発信を(2017年1月5日)
県経済をリードしている沖縄観光が好調だ。県文化観光スポーツ部が発表した昨年11月の入域観光客数は約65万人で、11月として過去最高を更新した。1月からの累計も約795万人となり、年間を通して初めて800万人の大台を超えるのは確実だ。
数字を押し上げている要因の一つは外国人観光客の増加だ。台湾、韓国、中国、香港など近隣の国・地域を中心に、昨年11月までの累計が194万人に達している。こちらも年間で初の200万人台を突破し、過去最高を更新するのは間違いない。
県は2021年度の入域観光客数1千万人を目指しており、いまのところ順調に進んでいるといえそうだ。
沖縄から4時間圏内には人口20億人を擁するアジアの巨大マーケットが広がる。沖縄は日本の辺境であるが、見方を変えれば、アジアに最も近いのが沖縄だ。
中国の「爆買い」は一時ほどの勢いがないが、アジアのダイナミズムを取り込まない手はない。県は15年に「アジア経済戦略構想」を策定。16年には中国福建省と通関・検疫の簡素化に向けた交渉が始まるなど動きだしている。
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琉球国はもともと通商と外交を武器に生きてきていた。沖縄差別を丸出しにして、恫喝を繰り返している日本政府を相手に一歩も譲らず渡り合い、永田町を通り越してワシントンとの直接交渉に踏み出している沖縄のしたたかさは、経済にもあらわれている。
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