2017年01月15日00時10分掲載
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検証・メディア
東京新聞に手紙を書こう! 東京MXテレビのヘイト報道に加担する御社論説副主幹長谷川幸洋氏をどうするの?
トランプを選出した今回の米大統領選で生まれた言葉に「ポスト真実」(POST−TRUTH)という言葉がある。Facebookなどネットを通して虚偽情報が駆け巡り、大きな影響をあたえる現象をさしている。いま国内で公共電波を使って同じ現象が発生し、問題になりつつある。東京のローカル局、東京MXテレビの報道バラエティー番組「ニュース女子」で、12月2日に高江ヘリパッド建設問題を取り上げた。ジャーナリストを名乗る人物が登場し、「カメラを向けると(反対派が)襲撃に来る」「テロリストみたい」「反対派の中には韓国人はいるわ、中国人はいるわ」「彼らは日当をもらってきている」などと発言。司会者として番組を仕切るのは長谷川幸洋氏。「東京新聞論説副主幹」という肩書に明示して出演している。いま東京新聞には論説副主幹という重要職名でこうした虚偽の情報をばらまくヘイト番組に出演、その片棒を担いでいる人物をどう対処するのかという問い合わせが相次いでいる。(大野和興)
どんな番組かを『沖縄タイムス』1月12日号が社説で書いているのがわかりやすいので、要点を紹介する。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/79474
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番組は「マスコミが報道しない真実」と題してジャーナリストの井上和彦氏の取材ビデオが流され、スタジオでゲストらが意見を述べ合った。
ビデオでは「光広」「2万」と書かれた出所不明の茶封筒を示し、高江で反対する人は「日当をもらっている」と決めつける。だが、自腹を切って自主参加しているのがほとんどだ。
ヘイトスピーチ(憎悪表現)に反対する団体「のりこえねっと」は交通費5万円を支給し、本土から高江に「市民特派員」を送っている。公開された要項にも財源はカンパであると書いているにもかかわらず、あえて「分からない」と強調。共同代表で在日3世の辛(シン)淑玉(スゴ)さんを取り上げ「反対運動を扇動する黒幕の正体は?」「韓国人はなぜ反対運動に参加する?」などと悪意に満ちたテロップを流した。辛さんは人権侵害だとして放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てるという。
こういった情報はネット上には氾濫しているが、放送法の規制を受ける地上波から流れるのは極めて憂慮すべき事態である。
ビデオは辺野古新基地建設に反対する人たちを車内から撮影、「過激派デモの武闘派集団シルバー部隊」とテロップを映し、「万一逮捕されても生活に影響が少ない65歳以上のお年寄りを集め、過激デモ活動に従事させているという」とのテロップとナレーションが流れる。
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長谷川氏の態度について、IWJ(Independent Web Journal)が1月13日に以下のように報告している。
その悪質な放送内容に対し、ネットでは非難の声が相次いだ。翌週(1月9日)放送された「ニュース女子」では、冒頭、司会(MC)を務める長谷川幸洋氏(東京・中日新聞論説副主幹)が、「ニュース女子がツイッターで大炎上しているんです!」と喜々として報告した。
大新聞の論説副主幹が、地上波の生放送で、自らの言葉でこのように言い放った責任は極めて重い。
10分弱にわたってトークが展開されたが、謝罪や訂正はなく、むしろ誹謗中傷にさらに輪をかけるような内容となっており、長谷川幸洋氏は最後に、「いずれにせよ、こういうふうに報道すると、こういうふうに波風(立てて)騒いで恫喝もされるんだということがよくわかった」と締めくくるなど、まるで自分たちが被害者だと言わんばかりの態度を示した。
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Facebookで公開された東京新聞への手紙の一つを紹介する。筆者(大野和興)も東京新聞の読者である。さっそく手紙を書いて送ることにする。対応が見えなければ購読を取りやめることにする。
DHC社提供のTOKYO MX-TVの番組「ニュース女子」の悪質な「沖縄ヘイト・デマ報道」について、以下のFAXを送りました。東京新聞は親会社が中日新聞なので、中日新聞への抗議が有効です!FAX:052-221-0446 メール: center@chunichi.co.jp 皆さまもぜひ!:
中日新聞社長 小出宣昭殿・取締役各位
中日新聞取締役論説担当兼東京本社論説主幹 深田 実殿
私は2011年の3.11以前から、東京新聞を愛読しています。特に3.11以降は、福島原発事故の問題をめぐる真実に迫る貴紙の真摯な報道姿勢に、「東京新聞をとっていてよかった!」と何度思ったかわかりません。
その東京新聞に対して、深刻な不信感を抱かざるを得ない事態が生じています。論説副主幹である長谷川幸洋氏が出演する、DHC社提供の東京MX-TVの『ニュース女子』という番組の問題です。
この番組では、辺野古基地や高江のヘリパッド建設に反対する沖縄県民をはじめとする市民が、「日当をもらっている」というような、事実無根の虚偽が垂れ流されており、悪質なデマを拡散するプロパガンダ放送が行われています。そしてこの番組に、長谷川幸洋氏が、「東京新聞論説副主幹」という貴社への所属を肩書に明示して出演しています。
東京新聞が長谷川幸洋氏の発信に関して寛容であることは、長谷川氏自身も述べています。そしてそれが政治的イデオロギーなどから異論もあるような発信であれば、あえてそれを封じたりせず自由に発信させることは、貴社のひとつの見識だと思います。
しかし、その発信が、まったくの虚偽・悪質なデマとなると、話は別です。その内容が嘘八百で、しかも政府のプロパガンダに加担し、基地のない平和な沖縄を願う沖縄県民・市民の信頼を傷つけ、その名誉を棄損するような発信であっても、自由に行うことを許していいのでしょうか?これは言論の自由の問題と言うより、虚偽・デマの拡散、そして沖縄県民・市民の人権を侵害する一種のヘイトスピーチを許すのか、という問題ではないでしょうか?
論説主幹の深田実殿は、「権力に厳しく、人にやさしく」という新入社員へのメッセージで以下のように述べています。
「若い人から、記者の仕事とは何ですか、と聞かれることがあります。そんなとき照れくさがらず、『権力に厳しく、人にやさしく』 と答えるようにしています。権力に対する監視と批判の精神を忘れず、また人に対しては人を大切にするこころ、たとえば小さくて埋もれそうな声ほどよく聞いてしっかり伝える、この二つが新聞には肝心だと思います。」
深田実論説主幹ご自身が述べておられる、「権力に厳しく、人にやさしく」という東京新聞の姿勢を真っ向から否定し、現政権の尻馬に乗って市民を中傷する悪質なデマ・虚偽を垂れ流すプロパガンダに、東京新聞論説副主幹の肩書を名乗る長谷川幸洋氏が加担している事実は、報道に携わり真実を伝えるジャーナリストとして許されない行為であり、東京新聞に対する購読者・市民の信頼を根本から突き崩すものであると考えます。
このような事態が続くなら、今まで私の周囲の多くの人々にも強く勧めてきた東京新聞の購読を、私自身も再考しなければなりません。
東京新聞としてこの事態にどう対処するのか、真実を伝えるジャーナリズムの役割を担う報道機関としての姿勢がいま問われています。事実を歪曲し、沖縄の問題に心を寄せる市民を傷つけるこのような「ヘイト・えせジャーナリズム」を野放しにしておくのか、多くの市民・東京新聞の購読者が注目しています。論説副主幹の肩書を名乗る長谷川幸洋氏がヘイト・デマ垂れ流しに加担している現状に対し、重大な懸念を抱きつつも、東京新聞が良識ある対応をしてくださることを強く期待し、今後の動きを注視しています。
(2017年1月12日 専修大学法学部教授 長谷川 宏)
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