2017年01月17日17時01分掲載  無料記事
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文化

「僕はどうやってバカになったか」(2001) の著者、マルタン・パージュ氏に「その後」を聞く  Interview : Martin Page ( romancier "Comment je suis devenu stupide " )

大学で何にでも知的好奇心を寄せるがゆえに出世コースにも乗れず、非常勤講師をしながら孤独で不安定な生活をしていた25歳の若者が、ある日、こうした生活にけりをつけ、変身しようと決意する。そして飛び込んだのがヘッジファンドの世界だった・・・対照的な2つの世界を渡った若者の心情と冒険を描いた小説「僕はどうやってバカになったか」は2001年に出版されるや、フランスを始め、世界各地でヒットしました。執筆された当時、小説の主人公と同じ25歳で好奇心旺盛だった作家のマルタン・パージュ氏は「以後」の世界をどう見ているのでしょうか?インタビューしました。 
 
(以下はパージュ氏へのインタビュー) 
 
1) Votre roman “ Comment je suis devenu stupide “ a ete traduit au japon en 2003. Mais j’ai lu le livre en 2017 . Il y a 14 ans de decarage . Pendant ce temps , en 2007, Le monde de la finance en France s’est effondre quasiment. ( C’est un livre de prophete? ) Que pensez- vous sur le monde apres la parution de votre premier roman ? 
 
あなたの小説「僕はどうやってバカになったか」が日本で翻訳されたのは2003年でした。しかし、私はこの本を今年になって読みました。14年間のタイムラグがありました。その間に、2007年にフランスの金融界はほとんど崩壊したと言える事態に陥りました。(この本は預言の書だったんでしょうか?)パージュさんはデビュー作である「僕はどうやってバカになったか」が出版された後の世界をどうお考えになりますか? 
 
(Page) 
Non je ne suis pas un prophete. Simplement, il etait clair depuis longtemps que le monde de la finance est construit sur du vent, c’est une arnaque a grande echelle. Le monde reste un endroit froid et dur, mais heureusement il y des personnes douces et qui se battent pour les autres, pour les plus fragiles et pour la planete. 
 
いいえ、僕は預言者ではありません。端的に言えば、金融の世界は風の上に建てられていたようなもので、大掛かりなペテンであることは長い間、明瞭なことだったのです。世界は今も冷たくて過酷です。でも、幸いなことにそんな世界にあっても優しい人々が存在していて、他者のために、もっと弱い存在のために、そして地球環境のために闘っているんです。 
 
2) Que pensez-vous du monde aujourd’hui ? 
 
Q 今日の世界をどうお考えですか? 
 
No 
 
  ノーコメントです 
 
3) Pourriz- vous parler de votre evolution de ces 14 ans ? 
 
Q 「僕はどうやってバカになったか」が日本で出版されてから14年になりますが、その間、パージュさんはどのように変化してきたのでしょうか? 
 
Je suis reste le meme. J’apprends juste a ne plus me facher inutilement, je deviens plus doux. Je bois de meilleurs vins aussi : des vins naturels, sans pesticides, sans intrants chimiques. Je suis papa aussi, et amoureux d’une femme extraordinaire. Je ne mange plus d’animaux. Je suis etonne par la generosite et le courage de certains etres humains. Pour moi ca compte plus que la lachete generale et la violence si courante. J’ai decide de voir les belles choses. Et d’oeuvrer de mon cote pour rendre le monde meilleur. 
 
  僕は今でも同じですよ。ただ、前よりも無駄に腹を立てないことを学びました。以前より優しくなりましたね。それに以前よりもよいワインを飲んでいます。自然のワインです。農薬なしで、化学物質を使用しないワインです。それに父親になりました。素晴らしい妻を愛しているんです。もう肉食はやめました。ある種の人々の優しさと勇気に驚いています。世にある卑劣さや頻繁な暴力よりも、それらの人々の優しさと勇気が僕にとってはより大きな意味があるんです。僕はものごとのよい面に目を向けようと決めたんです。そして僕自身もまたよりよい世界に対して自分を開いていければと思うんです。 
 
4) Que pensez-vous d’ election presidentielle en 2017 ? 
 
Q 今年の選挙をどうご覧になりますか? 
 
Je ne pense pas que les choses importantes passeront par les elections. Le systeme des partis est vieux et corrompu. Ca ne marche plus. C’est du spectacle. Les partis traditionnels ne reglent rien : il y a toujours des gens qui ont froid, des enfants qui dorment dehors. C’est intolerable. C’est scandaleux. Heureusement il y a de plus en plus de gens talentueux qui sont prets a changer ce monde. 
 
今年の選挙で何か重要なことが起こるとは思っていません。フランスの政党政治のシステムは古くなり、堕落しています。もう機能していないんです。単なる見世物に過ぎません。伝統的な政党はもうないんです。世界には常に凍えている人々がいて、屋外で眠っている子供たちがいます。耐え難いことです。許されないことです。しかし、幸いなことは世界を変革する才能のある人が少しずつ、生まれ始めていることです。 
 
5) Que pensez-vous du monde d’ intellectuel ? 
( BHL , apres Pierre Bourdieu , Sarkozism …) 
 
Q 知識人の世界についてどうお考えですか? 
 (ベルナール=アンリ・レヴィ、ピエール・ブルデュー亡き後の世界、サルコジズムなど) 
 
La mort de Bourdieu a ete une tragedie. C’etait une figure importante qui s’opposait a la marche violente du monde. Il etait du cote des pauvres et des plus fragiles.Mais je ne crois pas que c’etait mieux avant. Il y a aujourd’hui des intellectuels critiques passionnants. Toutes les epoques sont riches, il suffit juste de savoir regarder, de savoir ecouter. 
 
 ブルデューの死は悲劇でした。ブルデューは世界の暴力的な市場のあり方に対して闘った大切な人でした。ブルデューは貧しい人や弱い人の側に立った人でした。しかしながら、以前の世界の方が良かった、という風には見ていません。今日でも情熱を持った批判的知識人は存在しています。どの時代にもそういう人はたくさん存在するのです。大切なことはただ見るすべを学び、耳を傾けるすべを学ぶことだと思うんです。 
 
 
Martin Page マルタン・パージュ(作家) 
http://www.martin-page.fr/ 
 
以下は作品群。 
La charite des pauvres a l’egard des riches 
L’art de revenir a la vie 
Je suis un dragon (Pit Agarmen) 
Manuel d’ecriture et de survie 
L’apiculture selon Samuel Beckett 
La nuit a devore le monde (Pit Agarmen) 
Le banc de touche (bande dessinee) 
La mauvaise habitude d’etre soi (avec Quentin Faucompre) 
La disparition de Paris et sa renaissance en Afrique 
Peut-etre une histoire d’amour 
De la pluie (essai) 
On s’habitue aux fins du monde 
La libellule de ses huit ans 
Une parfaite journee parfaite 
Comment je suis devenu stupide 
 
 
 
Interview 
Ryota Murakami 
村上良太 
 
 
■マルタン・パージュ作 「僕はどうやってバカになったか」 Martin Page "Comment je suis devenu stupide " フランス版バブル時代の青春の書 
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