2017年02月12日05時49分掲載
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文化
漫画家、谷口ジローの死を惜しむフランス でもその代表作は「遥かな町へ」と認識されていた Le dessinateur ,Jiro Taniguchi est décédé à l'âge de 69 ans.
フランスでも今、漫画家、谷口ジロー(享年69)の死を悼む報道が一斉にメディアに出回っている。しかし、日本で代表作として挙げられている「孤独のグルメ」や「『坊ちゃん』の時代」とは違って、代表的作品としては”Quartier Lointain"が一斉に報じられていた。これは「遥かな町へ」という作品になる。そして、谷口ジローは当地フランスほどには日本で偉大な作家の扱いを受けていない、と指摘している報道もある。
「孤独のグルメ」も「『坊ちゃん』の時代」も谷口ジローの位置づけは一応、台本に沿って絵を描いた作画家ということになるのだろうが、「遥かな町へ」では谷口ジローが自ら台本も作っているということもあり、その作家性も評価されるポイントになったのだろう。
「遥かな町へ」のストーリーは次のようなものだ。
「出張旅行の帰途、主人公はなぜか故郷への列車に乗っていた。変貌した町の母の墓に詣でた一瞬、彼は中年の意識や知識、能力のまま、中学生だった夏に戻ってしまう。 時を超えた旅路で彼が知った父の重荷、母の涙。力量十分の作者の、マンガならではのファンタジー。誠実で細やかな、感動的変形タイムトラベルである。」(文化庁メディア芸術祭 受賞作品)
http://archive.j-mediaarts.jp/festival/1999/manga/works/03m_HARUKANA_MACHI_E/
フランス版をよく見ると「アダプタシオン」(翻案/脚色)フレデリック・ボワレと記されている。フレデリック・ボワレは日本にも来日経験のある漫画家で、日仏両国をよく知る人物である。ボワレの脚色もフランスでの谷口ジローの人気を高める一因となったのかもしれない。
これは「遥かな町へ」を原作にして作られたフランス映画である。https://www.youtube.com/watch?v=xWVhc5JOcsg
こちら(下のリンク)は谷口ジローに捧げられたフランスのドキュメンタリー映画。多くの人が「遥かな町へ」を軸に、谷口漫画の素晴らしさをフランス語や日本語で語っている。谷口本人やヤマザキマリなども出演している。これは2年前のアングレーム国際漫画祭で上映された二コラ・フィネと二コラ・アルベールによる短編ドキュメンタリー映画だと紹介されている。フランス人がどう谷口ジローを受けとめたかがわかる素晴らしいドキュメンタリーだ。
(En 2015, le Festival d'Angouleme rend hommage a son travail avec la grande exposition "Taniguchi, l'homme qui reve", dont est tire ce documentaire signe Nicolas Finet et Nicolas Albert. )
http://www.slate.fr/story/137219/documentaire-hommage-taniguchi
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