2017年03月11日21時44分掲載
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遺伝子組み換え/ゲノム編集
米国有機基準 ゲノム編集技術由来の成分は有機食品と認めない
米国の全米有機認証基準委員会(National Organic Standards Board)は昨年11月の定例会議において、ゲノム編集技術などの新育種技術による遺伝子操作由来の成分について、従来の遺伝子組み換えと同じように、有機食品としては認めないとする勧告を満場一致で決議した。(有機農業ニュースクリップ)
昨年8月に小委員会でまとめられた報告書は、CRISPR-Cas技術を含むゲノム編集、遺伝子サイレンシング技術、遺伝子の人工合成技術、クローン技術など6類型について、有機認証基準では認められない技術として、これらに由来する成分を除外するように提案していた。一方で、マーカー利用選抜(Marker Assisted Selection)は認められる技術として分類されている。
・National Organic Standards Board, 2016-8-30
Materials/GMO Subcommittee Proposal Excluded Methods Terminology
https://www.ams.usda.gov/sites/default/files/media/MSExcldMethTerminologyProposalNov2016.pdf
今回の全米有機認証基準委員会の勧告決議について、食品安全センター(Center for Food Safety)や大地の友(Friends of Earth)は、当然の決議であるとして歓迎する声明を発表している。
・Friends of Earth, 2016-11-21
Organic standards will exclude next generation of GMOs
http://www.foe.org/news/news-releases/2016-11-organic-standards-will-exclude-next-generation-of-gmos
ゲノム編集技術など“GMO 2.0”と呼ばれるような次世代の遺伝子操作技術が、新育種技術(NBT、あるいはNBPT)として利用されるようになってきている。従来の遺伝子組み換え技術と異なり、遺伝子操作の痕跡が残らないとされるような次世代の技術であっても、有機認証基準とは相容れないとした点は重要だ。食品安全センターなどはこの勧告が実施されるとみているが、米国農務省がこの勧告を受け入れた場合、ゲノム編集に際して、遺伝子操作の検証性の確保が問題となる。一部の研究者からは、「証拠」となる遺伝子セットを挿入することも提案されている。
一方、米国農務省は昨年4月、米国ペンシルバニア州立大学の研究者がゲノム編集技術で開発した、切り口が褐色になりにくいマッシュルームについて、規制の対象外とする見解を、問合わせへの回答という形で明らかにしている。こうした先行するゲノム編集などの新育種技術による作物の商業化と、今回の有機基準への勧告を、どのように整合させるかが問題となりそうだ。
・USDA, 2016-4-14
Request for confirmation that transgene-free, CRISPR-edited mushroom is not a regulated article
https://www.aphis.usda.gov/biotechnology/downloads/reg_loi/15-321-01_air_response_signed.pdf
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