2017年03月20日21時16分掲載
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農と食
農薬大幅削減はすぐにも可能 フランスで大規模な分析
フランス国立農業研究所(INRA)の研究チームは、フランスの全農地の約6割で生産性や収益性を損なうことなく農薬使用量を大幅に減らすことができるとする研究結果をネチャー・プランツ(電子版)に発表した。フランスの商業的な非有機の農場946か所で、農薬使用量と生産性、収益性について分析した大規模な分析。(有機農業ニュースクリップ)
研究によれば、サンプルとなった77%の農場では、少ない農薬使用量と高い生産性・採算性との間に対立する関係は見出せなかったとしている。その上で、フランス全体の59%の農場で、生産性・採算性を損なうことなく42%の農薬削減が可能だと見積もったとしている。この削減量は、除草剤の37%、殺菌剤の47%、殺虫剤の60%の使用量削減に相当するという。
この研究は、ほとんどの生産現場において、すぐにも農薬削減が実施できることを証明しているとしている。
・Nature Plant, 2017-3-1
Reducing pesticide use while preserving crop
productivity and profitability on arable farms
http://www.nature.com/articles/nplants20178
・ネイチャー, 2017-2-28
農薬を減らしても作物は育つ
http://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/11676
2018年9月から全てのネオニコチノイド系農薬が禁止され るなどフランスでは、環境影響を考慮し、農薬の使用を厳しく規制しようとしている。この研究は、農薬使用が前提の慣行農業で、必要以上に農薬を使っていることと、その削減が容易なことを示している。フランスの慣行農家に対して、農薬削減を促す効果があると思われる。農薬使用量の削減が、人の健康や生物多様性の維持、環境保全にとって重要なことははっきりしている。その点でも、こうした研究がフランスだけではなく、広く用いられることを期待したい。
国連食糧農業機関(FAO)の統計によれば、日本は、世界で1、2を争う農薬使用大国だという。例えば、斑点米カメムシ防除への過剰な農薬散布が指摘されている現状にあって、この研究結果はかなり重要な意味がある。
【関連記事】
・No.718 フランス 18年9月からネオニコ系農薬を禁止
http://organic-newsclip.info/log/2016/16070718-1.html
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