2017年03月24日23時20分掲載  無料記事
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アジア

ミャンマーで数百人が逮捕されて行方不明に!

ミャンマー(ビルマ)ラカイン州北部で、治安部隊の掃討作戦のさなかに逮捕された数百人が秘密裏に拘束されています。その多くは、イスラム教を信仰するロヒンギャの人たちで、罪状を告げられることも無く逮捕されました。国際人権団体アムネスティは、被害者や目撃者から聞き取りを行い、掃討作戦中に人権侵害が行われていたことを把握、国際世論に逮捕された人たちの所在を明らかにし、彼らに対し法に則った扱いをするよう、ミャンマー政府に要請してくださいと訴えています。 
 
ミャンマー政府は、彼らをどこに拘束しているか、いまだに明かしていません。しかし、拘束中に7人が死亡したことがわかっており、逮捕された人たちが拷問を受けている可能性が懸念されます。 
 
ミャンマーの内務大臣に、逮捕された人たちの所在を明らかにし、彼らに対し法に則った扱いをするよう、要請してください! 
 
◆暴行を受け、連れ去られた人たち 
 
「私の息子たちは後ろ手に縛られると、兵士に何度も蹴られ、殴り飛ばされました。私は兵士に銃を突きつけられ、泣くことしかできませんでした。そして、息子たちは逮捕の理由も告げられないまま連れ去られ、今も居場所がわかりません」(ロヒンギャの女性) 
 
2016年10月、警官9人が殺害された事件を機に始まった作戦では、「犯人はロヒンギャだ」としてロヒンギャの人が多く暮らす地域に大規模な治安部隊が投入され、一帯が封鎖されました。部隊は多くの村を焼き払ったうえ、貧しい村びとたちを無差別に銃撃し、集団で女性を強かんするなど、徹底的な攻撃を行いました。 
 
この作戦中に、イスラム教の宗教関係者や教師など数百人が逮捕され、身柄を拘束されています。 
 
国際社会からの非難もあり、掃討作戦はほぼ終了しましたが、逮捕された人たちがどこに拘束されているのか、逮捕が警官9人の殺害事件に関連したものなのかどうか、4カ月以上たった今も、わかっていません。残された家族らの証言によると、ある村では、兵士が民家に押し入って、中にいる男性全員を引きずり出し、殴る蹴るの暴行を加えた後、逮捕の理由も言わずに連れ去ったということです。 
 
当局は今年1月、「現時点で485人を逮捕し、法的措置を進めている」と発表しました。しかし、彼らの居場所も罪状も明らかにしておらず、「法的措置」の内容もわかっていません。 
 
さらに、報道によると、国連の現地スタッフとして働いていた男性ら、7人が身柄の拘束中に死亡しています。秘密裏に拷問が行われていることが危惧されます。 
 
◆公平性が疑われる調査委員会 
 
アムネスティは、被害者や目撃者から聞き取りを行い、掃討作戦中に人権侵害が行われていたことを把握しました。また、国連人権高等弁務官(OHCHR)は現地を視察し、「掃討作戦において、ロヒンギャに対する人権侵害が行われていた」との報告書を発表しています。しかし、作戦中の治安部隊の行為に関する政府の調査委員会は、こうした報告を否定しています。 
 
委員会は、3日間の現地調査を行っただけで中間報告書を出し、その中で「治安部隊による民族的、宗教的な迫害の事実は存在しない」「部隊が人権侵害を行った、と断定するに足る証拠は無い」としています。また、逮捕されている人たちについても、情報を明かしていません。そもそも、調査委員会の責任者を務めているのは元軍幹部の副大統領で、公正な調査が行われているどうかも疑問視されています。 
 
アムネスティ国際ニュース 


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