2017年03月26日10時05分掲載
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米国
トランプ氏と「ロシア」をめぐる現況の危険性 落合栄一郎
トランプ氏が、昨秋の選挙で当選し、就任後2ヶ月を経て様々な問題が噴出して、トランプ大統領の顔をテレビ画面で見ない日はない。そして、彼の「America First」のみが喧伝されている。
まず、選挙。なぜクリントンは敗退したか。クリントン・オバマ、大方のメデイア(クリントン側と総称、その背景にはいわゆる1%族が)の主張は、ロシア・プーチンが選挙に関与したからという主張であり、現在もそれが尾を引いている。この主張は、クリントンの私的メール、民主党内のやり取りがウイキリークスに暴露され、それが選挙民に影響を及ぼした、そして、これは、ロシアからのハッキングにより行われたものであるというものであった。このことに関しては、これまで、数日前の公聴会も含めて、具体的な証拠は提出されていない。ウイキリークス側は、選挙前哨戦において、民主党中心部が不当にサンダース候補を蹴落とす画策をしていることに業をにやした人物が、もたらしたものとしている。
その後、側近のフリン氏が、公職につく前に、ロシアの駐米大使と私的に話し合っていたにも拘らず、そのことを秘していたという理由で叩かれ、更迭された。そして、トランプ氏自身のロシアとの関係が、反米行為であるという様々な非難が、クリントン側から発し続けられている。おそらく、トランプ氏は、ロシアとの商売を拡張するためにロシアとの関係を深めていたことは事実であろう(これは筆者の憶測)。しかし、そのためには、ロシアとの敵対関係を解消し、経済制裁なども解除すると考えていたし、そう主張していた。
トランプ氏の考えの大部分は、商売(企業その他)にとって好都合な政策を採ることであり、また倫理観は、人種差別、女性蔑視など、現在の社会常識を否定するものであるが、ロシアとの緊張緩和は、現時点で最も緊急の重要な外交問題である。こうした動き、ロシアとの緊張緩和が自分達にとって不都合な側(クリントン側)が、現在トランプを追いつめている。ロシアとのいわれのない緊張拡大は、ウクライナ大統領がクーデターによって転覆されたことから始まって、民間航空機の撃墜をロシアに押し付ける(この検証結果はうやむや)、クリミア併合(民衆の選挙によってだが)などを根拠にしている。ウクライナ大統領転覆をだれが画策したかについての検証は抜きにしている。その結果のロシアの経済制裁、ウクライナ周辺のNATO勢力の拡大、ICBMの配置などに対して、ロシアも対抗せざるをえず、敵対関係的な緊張を高めつつある。トランプ大統領がこの事態を解消することが、期待されたが、解消で不利益になる側、いや緊張を続けることによって利益を得る側が、トランプをそうさせないように、あらゆる施策を試みているのが現状であり、非常に危険な状態にある。トランプ大統領の倫理観のなさ、科学や社会・経済の無理解、その他問題は沢山あり、不適格であることはその通りであろうが、ロシアとの関係のみは、その成果が期待されたのだが。
なお、ケネデイー大統領が暗殺されたのは、ケネデイーが、当時ソ連との核衝突の緊急事態の回避のために、冷戦そのものを終わらせることが必要という演説を行った数日後であった。ソ連への弱腰が、自分達に不利益をもたらすと考えた人達がいたらしい。
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