2017年03月26日15時26分掲載  無料記事
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大下英治著 「安倍官邸『権力』の正体」   安倍政権の4年間を振り返る

大下英治著「安倍官邸『権力』の正体」(角川新書)は安倍首相を含めて安倍政権をべた褒めした本である。しかし、同時にそこには第二次安倍政権を支えた人間が誰で、それぞれがどういう風にチームワークを築いていたかがよく書かれていて大変興味深い。 
 
  特に第二次安倍政権の知られざる特徴である「内閣人事局」なる機関が発足して、霞が関の高官たちをわしづかみにできた経緯を書いていることも本書の功績だろう。 
  2014年4月の公務員制度改革関連法案可決以後、「『内閣人事局』が新設されることで、各省庁の官僚自身が作成していた人事案はなくなり、閣僚による職員の人事評価を考慮し、内閣人事局長が幹部候補者名簿を作成」とある。審議官級以上の約600人の幹部人事に内閣(人事局)の意思が大きく反映されることになったことが明かされているのだ。 
  この内閣人事局のトップについているのは萩生田光一氏。日本会議設立10周年大会の時の書き込みに「日本会議国会議員懇談会事務局長」を名乗っていた自民党の政治家だ。一時期は安倍首相の友が営む加計学園グループの千葉科学大学客員教授もしていた人物でもある。 
 
  この今、話題の萩生田光一内閣官房副長官(兼・内閣人事局長)に加えて、森友学園がらみで今、話題の焦点になりつつある今井尚哉総理秘書官のこともしっかり記載されていて興味深い。本書によると、もともと経済産業省官僚の今井氏は民主党・野田政権時代には経済産業省管轄の資源エネルギー庁次長になっており、原発再稼働を民主党幹部らに説得していた。結果的に今井氏の説得工作が成功し、野田首相による原発再稼働の判断につながったとされる。この今井氏の存在が第二次安倍政権の連戦連勝に大きく貢献していることは間違いないようだ。本書によれば「1億総活躍社会」や「アベノミクス第二ステージ」「新3本の矢」などのキャッチフレーズの仕掛け人はこの今井氏のようである。では2014年冬の解散総選挙の際の奇抜なキャッチフレーズ「税は議会制民主主義の基礎である」も今井氏のアイデアだったのだろうか、それとも? 
 
  マスメディアの幹部を集めて寿司や中華料理を首相と会食させている当該人物もこの本の中の誰かである可能性があるのではなかろうか。将来、安倍政権が何であったのかを検証するために不可欠な資料となるだろう。 
 
 
 
■連戦連勝を支えた首相のメディア対策チーム  この危機を乗り切ったら現代史に名を残すだろう 
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■マスメディアは自社の幹部が中華料理屋で首相と何をやっていたのか、まずそれを書くことから 
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■マスメディアは自社の幹部が寿司屋で首相と何をやっているのか、まずそれを書くことから 
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