2017年04月02日08時33分掲載
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コラム
内閣答弁書<教材に教育勅語を否定せず>は森友学園に何らかの形で関係した総理と防衛大臣の責任問題への煙幕ではないか
昨日の朝刊で、安倍内閣が教育勅語でも憲法に反しない形でなら教材として使用してよい、という旨の答弁書を閣議決定したことが大々的に報じられました。多くのメディアでは戦前の憲法観に基づく道徳である教育勅語を教育に用いることの問題が論じられており、それはもっともなことだと思います。しかし、なぜ今、教材に教育勅語を否定しない閣議決定が出てきたのか。今この答弁書を安倍内閣が提出した動機こそ、大切ではないでしょうか。
これは安倍総理や稲田防衛大臣らが昭恵夫人なども絡めて何らかの形で、教育勅語を児童に暗唱させていた塚本幼稚園を営む森友学園に関係していたことが背景にあると思われます。教育勅語を全部肯定しないもののその中には良いものもあるといった国会答弁をしていた稲田朋美防衛大臣の言葉が想起されます。以下は朝日新聞での報道です。
<稲田氏は8日の参院予算委員会で、戦前の教育勅語について次のように語った。
「日本が道義国家を目指すというその精神は今も取り戻すべきだと考えている」
「教育勅語の精神である道義国家を目指すべきであること、そして親孝行だとか友達を大切にするとか、そういう核の部分は今も大切なものとして維持をしているところだ」>
(以上、朝日新聞社説から)
この国会答弁を受けるような形で今回の政府答弁が起草された可能性があるのではないでしょうか。
答弁書「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」(朝日新聞 4月1日付)
前に日刊ベリタで論じたように、教育勅語はそれ自体が主権なき「臣民」に天皇が語りかける体裁となっており、明確に戦後憲法の柱である国民主権を否定するものです。憲法順守義務を最も求められる行政の最高責任者・安倍総理や稲田防衛大臣が教育勅語を児童に強要した学校経営者に何らかの形で支援あるいは関与していたのであれば、辞職もやむをえまい、という論旨でした。民主主義国家であれば当然、責任が求められてしかるべきだと考えます。
ところが、今回、未だ森友学園をめぐる首相の関与の有無が〜百万円の寄附の有無も含めて〜国会で解明を求められている最中にこの答弁書が出されたのです。このタイミングでこれが出ていることは、まさに証拠がさらに挙がって首相の関与があったことが否定できなくなったとしても、総理の辞職を予防するための事前の煙幕と解釈されても仕方がないのではないでしょうか。
しかし、新聞でのこの政府答弁書の取り上げ方を見ていると、教育をめぐる一般論に焦点をぼかしてしまっているように感じます。一般論にすることで、なぜ今、これを閣議決定して急に提出してきたのか、安倍内閣の真意を意図的に見えなくしているのです。これが総理と一緒に食べた寿司や中華料理の効果なのか、その因果関係ははっきりとしませんが・・・。
■総理大臣には憲法尊重義務がある 国民は「臣民」ではない
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■連戦連勝を支えた首相のメディア対策チーム この危機を乗り切ったら現代史に名を残すだろう
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