2017年04月09日22時18分掲載
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政治
イスラム原理主義と同根 自民党改憲案の政教分離原則の廃止(憲法20条改正案)
教会勢力が政治的権力を握って宗教迫害を行ったり、宗教戦争を行ったりしていたのは中世に留まらない。日本でも1945年まで国民は国家神道という宗教を強要され、神のために従軍させられ戦うことを強いられていた。中東のシリアやイラクで行われている戦争もイスラム教の宗派間の確執をもとにする宗教戦争である。このように政教分離原則を旨とする憲法のない国々では宗教戦争が起きうるし、宗教的迫害や宗教上の長老たちが政治を左右することがしばしば起きる。そして多くの場合、女性の地位は男性より圧倒的に低い。
自民党の改憲案では近代を画したこの政教分離原則が取り払われることになる。日本が前近代社会に戻っていく、というのはそのことである。まず、現行憲法と改憲案を比較してみよう。信教の自由が語られるのは憲法20条である。この第一項は現状ではこうである。
「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」(20−1)
これがどう改正されるかというと、次のようになる。
改正案「信教の自由は、保障する。国は、いかなる宗教団体に対しても特権を与えてはならない」(改正案 20−1)
比べれば一目瞭然だが「(いかなる宗教団体も)政治上の権力を行使してはならない」という政教分離をストレートに規定した箇所がまるまる削られているのだ。
考えてみればすでに閣僚をはじめ、自民党議員の多くが神道とつながっており、政治力を行使しているのである。これは憲法に反しないのだろうか。宗教的団体に所属した議員や閣僚たちが政教分離を廃止する改憲案を作る、というのは憲法に規定された宗教団体の政治力の行使にあたらないのだろうか。
そして、憲法20条の2項はそのままだが、3項も改正される予定である。下は現行憲法の20条3項である。
「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」(20−3)
これが自民党改憲案では次のようになる。
「国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教のための教育その他の宗教的活動をしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。」(改正案 20−3)
一見、中立であるかのように見せかけているが、日本の伝統となっている宗教的行事なら国も地方公共団体も執り行っていい、ということが明白に示されている項目である。「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えない」限りにおいては教室で宗教教育や宗教活動を行ってもよい、と言っているのである。このことは義家弘介文部科学副大臣が教育勅語を毎日の朝礼で朗読することも「教育基本法に反しない限りは問題のない行為であろう」と語ったことと密接に関係していると思われる。義家弘介衆院議員もホームページによれば日本会議国会議員懇談会のメンバーである。
参考までに下に現行憲法の20条「信教の自由」をつけておきたい。
『憲法 第二十条』
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
村上良太
■義家弘介衆院議員のホームページ
http://yoshiie-hiroyuki.com/i-info/inf/inf.cgi?cm=2&mode=detail&year=2015&no=2330
■自民党改憲案
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/130250_1.pdf
■共謀罪(テロ等準備罪)を知りたければ昨年トルコで起きた”クーデター未遂”後の政府による野党、ジャーナリスト、教職員、裁判所判事らの一斉逮捕・粛清を参照しよう
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