2017年04月17日01時00分掲載  無料記事
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国際

トルコで憲法改正国民投票 エルドアン大統領の権力を絶大にする憲法改正派が優勢か "第一次大戦後レジーム”からの脱却を100年ぶりに狙う

  4月16日、トルコでは憲法改正の国民投票が行われている。今回の改正はBBCなどの報道によればおよそ100年前のケマル・アタチュルクによる世俗主義と立憲主義への憲法改正を大きく変える国家大改造になる。そして一部の開票速報によると、改正派が54%と優勢になっている。 
 
  トルコの憲法大改造案とは、BBCによれば、大統領が閣僚を任命でき、法律効力を持つ大統領令を自由に発令することができ、裁判所の裁判官の幹部を任命でき、国会を自由に解散することができるようになる。これまでのように首相と大統領に権力を分散せず、大統領がすべて実権を握ることが可能となる。さらに国家公務員を全員統御できる力を得ることになる。これはもう独裁者以外の何物でもないが、もしエルドアン大統領派(改正派)が投票で多数派を占めれば、2029年までエルドアン大統領が継続できることになる。 
 
  エルドアン大統領は昨年7月のクーデター未遂事件がきっかけでその後、マスメディア、司法界、教職員、教育施設、労働組合などのメンバーを共謀罪で一斉摘発し、施設を閉鎖させ、メディアを完全に統制下に置くことに成功した。憲法改正案の中身をいったいどこまで本当にトルコ国民が理解しているか、恐らくは改正が実現した後に理解することになるだろう、とあるジャーナリストは綴っている。 
 
  トルコの憲法改正国民投票は日本の国会で論じられ始めた共謀罪と憲法改正、そして宗教原理主義、世俗的レジームの終焉という点で日本と響き合っている。もしトルコの国民投票で改憲派が勝利すれば、日本の政界でも共謀罪でマスメディアを一網打尽にして機能不全にできれば、自民党の憲法改正もよほど楽になるという教訓を与えるだろう。 
 
 
 
■フランスからの手紙13  トルコは向きを変えるのか? La Turquie va-t-elle changer de cap ?  パスカル・バレジカ 
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■共謀罪(テロ等準備罪)を知りたければ昨年トルコで起きた”クーデター未遂”後の政府による野党、ジャーナリスト、教職員、裁判所判事らの一斉逮捕・粛清を参照しよう 
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