2017年04月17日15時15分掲載
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アフリカ
【西サハラ最新情報】 トランプ大統領閣下にモロッコ国王陛下が直訴? 平田伊都子
2017年4月16日は復活祭でした。 キリストが復活したことを祝う、キリスト教徒にとって一番大事な日です。 この日トランプ大統領閣下は、フロリダの別荘<マールアラーゴ>で過ごしました。 ファーストレデイー・メラニアの関心は、もっぱら、ホワイトハウスでやる卵転がしにあったようです。 一神教のユダヤ教、キリスト教、イスラム教では、お互いの祭事を尊重しつつ、が、なにかと敵対しています。 ところがイスラム教正統後継者を自負するモロッコ国王陛下は、復活祭にかこつけて、休暇中のトランプ大統領閣下を急襲し、 西サハラ領有権をねだりました。 商売人の大統領に無節操な国王は、どんな取引をしたのでしょうね? 想像してみてください。
(1)国連事務総長の西サハラ報告:
2017年4月10日、グテーレス国連事務総長は国連安保理に西サハラの報告書を出した。この報告書は4月末に採択される安保理決議の原案になり、4月11日にそのコピーが
公表された。グテーレス国連事務総長の報告書は、MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)の2018年4月末までの一年再更新を要請している。そのために、2012年から断絶している両当事者(ポリサリオ西サハラ代表とモロッコ王国)との直接交渉の必要性を強調している。ところが、モロッコも西サハラも、この報告書を自分にとって有利な事項に焦点を当て発表しているのだ。
例えばモロッコは、「問題の緩衝地帯ゲルゲラトからモロッコ軍は撤退した。未だに兵を残しているポリサリオ西サハラ難民軍は停戦違反だと、国連事務総長は非難している。そして国連事務総長は、モロッコ国王が2007年に提案した、モロッコ支配下での西サハラ問題解決策に肯定的だ」と、公表した。
一方の西サハラは、「報告書は、モロッコ占領地・西サハラでの西サハラ住民に対する拷問や虐待に注視している。さらに、その現状を検証しようとした国連人権高等弁務官の派遣団を、モロッコが拒否したことを非難した。モロッコによるMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)に対する妨害行為にも言及している」と、発表した。
両者の思惑がどうあれ、国連安保理西サハラ決議は例年のように、4月28日に出てくる。
(2)モロッコの作略が渦巻く国連報道室:
2017年4月12日、モロッコは国連定例記者会見にモロッコ特派員を送り込んで、質疑応答の時間を利用してモロッコの宣伝をし、西サハラを非難した。以下にそのQ&Aを紹介する。
Q(質問)モロッコが追放したMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)要員17人に、モロッコ自らが職場復帰を許可したことに関して、国連事務総長の声明は?ポリサリオ(西サハラ代表)に言いたいことは?
A(回答) 西サハラ問題に関して、国連事務総長の見解は配布した報告書に網羅している。
Q(質問) ボルドクMINURSO西サハラ代表がモロッコのゴーサインをメールでそっちに送っただろう?
A(回答) 国連では大量のメールを受領している。あんたの言うメールは受け取ってない。
Q(質問) モロッコは停戦合意を守ってゲルゲラトから撤兵した。が、ポリサリオ(西サハラ代表)兵は撤退せずMINURSOを脅している。事務総長はこの脅迫をどう見ているか?
A(回答) 両当事者はMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)を尊重すべきだ。
国連報道官は注意深く回答した。MINURSOの要員を追放したのも、ゲルゲラト国連鑑賞地帯に停戦語彙を破って進軍したのも、紛れもなくモロッコがやった国連妨害なのだ。
その罪の償いをするどころかモロッコは、図々しく問題をすり替えようとしている。こんな嘘の芝居に国連は騙されていいのだろうか?もっともこのパフォーマンスは、国連安保理採択に向けたものではなく、トランプ大統領へのアピールだったのだ。
(3)AFAPREDESA ;
4月13日、西サハラ難民キャンプにあるAFAPREDESA(アファプレデサ)が、「モロッコ占領地・西サハラに集団埋葬地が存在する。国連やEUなどの国際組織は、速やかに調査すべきだ。モロッコ占領地・西サハラで行方不明になったままの西サハラ政治囚は600名を超している」との声明を出した。しかし、モロッコは国連人権高等弁務官を始めとする国際調査機関のモロッコ占領地・西サハラ入りを拒否し続けている。
このAFAPREDESA(アファプレデサ)という長い呼称はThe Saharawi Association of Saharawi Families of Prisoners and Disparusを詰めたもので邦訳すると、<囚人と行方不明者の家族のための西サハラ組織>となる。AFAPREDESAで活動する友人のラルースに「名前が長すぎる。能率が悪いよ」と注文を付けたら、「俺たちの大義に基ずいた闘争方針だ」と、睨まれた。
その独りよがりでイデオロギーに固執する頑固な態度が国際社会を遠ざけてしまい、支援の輪が広がらないのでは?モロッコに先を越されてしまうのでは??
現在、AFAPREDESAで活躍する友人のラルースは、モロッコ占領地・西サハラに住んでいた頃、デモに参加したことで逮捕されました。 モロッコの監獄で酷い拷問を受け、重傷で病院送りになり、運よく釈放されました。 が、このままモロッコ占領地・西サハラにいたら殺されると悟り、仲間と一緒に脱出し、西サハラ難民キャンプに逃げ込みました。 ラルースはAFAPREDESAの創設に関わり、故郷に残した家族たちを助ける運動に没頭しています。
モロッコはモロッコ占領地・西サハラの悲惨な現状を隠したまま、捏造した嘘情報でトランプにすり寄り、西サハラを自分のものにしようとしてます。 トランプ大統領閣下、騙されないでね!
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2017年4月17日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
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