2017年04月21日17時00分掲載
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共謀罪の原型「治安維持法」の権力犯罪を描く 映画『横浜事件を生きて』(松原明 監督・ビデオプレス作品、1990年)
国会で共謀罪の審議がはじまった。次代の歯車を戦前の治安維持法時代に後戻りさせる法律だ。そんな時代に警鐘を鳴らす映像がある。『横浜事件に生きて』(松原明 監督・ビデオプレス作品、1990年)。『横浜事件 半世紀の問い』(同、1999年)だ。平和と憲法の映画上映運動を続けている「憲法を考える映画の会」が2017年1月29日、東京・千駄ヶ谷区民会館で上映会を開き、大盛況だった。共謀罪に対する危機感がその背後にあった。(大野和興)
上映に当たって、主催の「憲法を考える映画の会」が、その趣旨を以下のように述べている。
以下、引用――
この作品を今回のプログラムに選んだのは、次の国会にも提案される共謀罪新法(テロ等組織犯罪準備罪)について、その危険性を把握し、反対していかなくては、と考えたからです。この共謀罪新法は戦前の治安維持法の再来とも言われていて、治安維持法以上に警察権力が思いのままに取り締まりに利用できる危険をはらんでいます。秘密保護法以来、安倍政権が着々と進めている内向きの「戦争できる国」作りの仕上げのような法案です。共謀罪法が通れば、犯罪を実行しなくても口にしただけで逮捕でき、政権に異議を唱えたり、戦争に反対するだけで、この横浜事件のように弾圧することができます。
その共謀罪法のモデルとも言うべき治安維持法が、かつてどのように言論を弾圧し、人権を踏みにじり、侵略戦争への道を支えたかをこの映画を見て考えたいと思います。
憲法が守ってきた人権や国民主権、民主主義の破壊を止めなければなりません。この映画を活用して、「共謀罪法」の危険について考える機会を作り拡げて、反対する力にして行きたいと思っています。ご紹介よろしくおねがいします。
引用、終わり――
映画「横浜事件を生きて」Webサイトは、映画の内容を次のように伝えている。
以下、引用――
戦時下の最大の言論弾圧事件と言われる「横浜事件」だが、その全容はほとんど知られることはなかった。事件は1942年から45年にかけて多数の ジャーナリスト・知識人が検挙され、事実無根の共産党再建をでっちあげられ特高から激しい拷問を受けたもの。死亡者も出た。慰安旅行の1枚の写真(右下) が、共産党再建準備会の証拠とされた。拷問による自白をもとに有罪とされたが、戦後関係者が立ち上がった。このビデオはその生き残りのひとりである木村亨 さん(写真左・右の写真の下段)の再審請求のたたかいを中心に構成されている。今も続いている事件なのだ。元特高警察官が電話インタビューで語る本音。古 いニッポンはまだ生きていた。平成の治安維持法「共謀罪」を考える恰好の素材でもある。
引用終わり――
DVD『横浜事件を生きて』(1990年・58分・ビデオプレス)、続編にあたるDVD『横浜事件−半世紀の問い』(1999年・35分)はビデオプレスのホームページから購入できる。5000円。
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