2017年04月23日06時56分掲載
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コラム
英紙ガーディアンは社説でエマニュエル・マクロン候補をフランス大統領に推した
欧米の新聞は日本の大新聞のような見せかけの中立主義に毒されていない。ニューヨークタイムズは昨年の大統領選で予備選の始まりの時点からすでに明白に民主党のヒラリー・クリントン候補を推薦すると社説で書き、繰り返し支持を表明してきた。一方、英国のジャーナリズムを代表するガーディアン紙は海峡を挟んだ向かいのフランス大統領選に関して、エマニュエル・マクロン候補を大統領に推す、と社説に記した。
https://www.theguardian.com/commentisfree/2017/apr/21/the-guardian-view-on-the-french-presidency-hope-not-hate
皮肉にも欧州連合から撤退する英国の新聞が、フランス大統領候補の中で欧州連合から離脱しない表明をしている候補を支持すると明白に社説で書いているのである。右翼のマリーヌ・ルペン候補と左翼のメランション候補はともに欧州連合の統治によって国家主権が脅かされていると言う立場だ。ルペン候補は離脱するかどうか国民投票で決めると宣言しており、メランション候補も欧州連合との関係を再考する方針だ。だから、ガーディアンはまずその点で両候補を支持せず、フランソワ・フィヨン候補か、エマニュエル・マクロン候補のどちらかしかない、とした上でその他のことを考慮した結果、マクロン大統領が誕生することを歓迎するとしているのである。
しかし、この社説を冷ややかに見るフランス人ももちろん存在する。金融界出身のマクロン氏は言うまでもなく、英国の基幹産業であるシティの金融勢力に好感度が高いはずであろう。実際、マクロン氏はアングロサクソン諸国が長年、フランスを苦々しく思ってきたところの強力な労働組合の力を削ぎ、労働市場を規制緩和し、経営側から見ればより低賃金で雇用することを可能にしてくれる政治家になりそうだ。英国のデビッド・キャメロン前首相自身、欧州連合に留まったまま、フランスなどが導入している様々な規制を緩和することが国民投票を行った真の狙いだった。その意味で両者の思惑は合致する、と言えよう。マクロン氏は国境が開かれた市場としての欧州連合を維持する方向であり、その意味でも世界の投資家にとっては魅力的な候補者であることは間違いない。
※英国のエコノミスト誌もマクロン候補の支持を表明
http://www.economist.com/news/leaders/21721143-french-go-polls-they-are-angry-and-divided-consequential-choice-franceand?fsrc=scn/tw/te/bl/ed/thefrenchelectionaconsequentialchoiceforfranceandanuncertainone
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