2017年05月08日07時21分掲載
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欧州
マクロン勝利宣言の裏で 反ラシスム(反人種差別主義)集会が開かれる 年々勢いを増す人種差別主義にどう立ち向かうか
パリ北駅から徒歩2分のラファイエット通りにあるバー「植民地」(la Colonie)。ここに5月7日、大統領選挙の夜、人だかりができていた。集まっていたのは北アフリカのマグレブ地方の移民やその二世、三世が多い印象だが、中東から来た人たちもいたかもしれない。集会は「反ラシスム(反人種主義)」の討論会だった。
今回の選挙はエマニュエル・マクロン候補が圧勝すると言う予測が出ていたにも関わらず、このようにムスリムなどの住民が集まったのはマリーヌ・ルペン候補を擁する極右政党の国民戦線が年々勢力を増し、かつてなく大きな勢力になっているからだ。選挙は今回で終わるわけではない。長期的なトレンドを見れば2002年のジャン=マリ・ルペンとジャック・シラクとの一騎打ちと比べても、極右の票が増えているし、2回目の決戦投票でも前回よりマリーヌ・ルペン候補の得票率は高い。
集会に参加していた人々の中にはフランツ・ファノン財団理事長のミレイユ・ファノン・マンデス・フランス氏、政治学者のフランソワーズ・ベルジェス氏、ジャーナリストのアリーヌ・パイエ氏、反・イスラモフォビア(反・イスラム嫌悪)活動家のマルワン・ムハマド氏など、フランスでは著名な人たちだ。
集会を企画したのは"Paroles d'Honneur"(直訳すれば「名誉の言葉」)というグループのフーリア・ブーテルジャ氏。彼女はこう述べた。「私たちは反マリーヌ・ルペンですが、同時に反エマニュエル・マクロンでもあります。マクロンは新自由主義ですから私たちはこれにも反対です。ただ、今夜の集会は反ラシスムです」。
考えてみればこの数年だけでもイスラム原理主義のテロが起こり、その前にはフランス軍の北アフリカや中東への軍事介入があり、事が起こるごとにフランス在住のムスリム移民たちは強い緊張のもとで生きることを強いられている。多くの人々はテロとは無縁の人たちである。
村上良太
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