2017年05月08日14時42分掲載  無料記事
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欧州

仏大統領選挙、マクロンが当選 棄権票も1969年以来最高を記録  

(パリ=飛田正夫)2017年の仏大統領選挙の最終戦は仏前経済 エマニュエル・マクロンとマリーヌ・ルペンフランス極右派系国民戦線との間で7日投票が行われマクロンが第五共和制第8代目の大統領に当選した。65,1%がマクロンを支持した。しかしマリーヌ・ルペンの極右翼党国民戦線(FN)支持も1100万人と史上最高を記録している。同時に、 棄権者は1969年以来の最高を示し25%となっている。特に9%が白紙提出など抗議の投票をしている。ルペンの得票率は34,5%で前回よりも15%伸びている。 
 
 投票締め切り時間の20時での投票率は74%だと、テレビ(BFMTV)の依頼している世論調査会社ELABEでは予想していた。原因は今の所この数字からではまだわからないが、テレビ(BFMTV)に出演した同局のチェリー政治部長は他の局員とは異なって、問題は棄権を選んだ人達が多い事だと言って、今後この中味の分析が必要だと話した。 
 
 2012年のフランソワ・オランド仏大統領とサルコジ前大統領との決戦投票では80,35%が投票した。今回の仏大統領選挙の4月23日の予選では78,69%の投票率があったことから、第二次決選投票には、多くの棄権票が出ることがわかる。 
 
 今回の仏大統領選挙ではマクロンは一年前にはほとんど知られてない人物であった。マリーヌ・ルペンは親子の世襲で2002年のシラクとの仏大統領決戦投票で負けたが、今回はその2倍ほどの投票率を獲得すると見られている。ヨーロッパ各地で台頭するファシスト党の原因は何なのか。キリスト教徒の支持するフィヨン「共和党」(LR)が予選で敗れ、その支持者たちの多くがマクロンではなくルペンに投票していると考えられる。 
 
 これにはフランソワ教皇がマクロンは何処から来たのか知らない人物で、他方のルペンをフランスで一般にみんなが呼んでいる「極右党」とは呼べないで「強い右派」と賞賛的に呼んだことが問題になっていた。ルペンはこの教皇の言葉を引き合いに出して喜んでいる。キリスト教の最高責任者の発言がファシズ独裁の思想を正しく糾弾してないことが、フランスのキリスト教徒に棄権票やルペンへと票が流れたと考えらる。しかしそれよりもフランス人のルペンのファシスト党を嫌う政治感覚が強かった。 
 
 今回は、シラクの時のようなルペンの極右翼党国民戦線(FN)防衛の左右合同の大共闘戦線を実現できなかったし、左派党のジャン・リュック・メランションもマクロン支持を積極的に打ち出さなかった。左派内部での分裂もあった。しかし一般市民のメランションがいなくてもかまわないというしたたかなルペン反対票が存在した意味と、メランション派とキリスト教徒が支持するフィヨン派にルペン支持者や棄権票の多かったことを考えないわけにはいかないだろう。 


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