2017年05月12日23時14分掲載
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農と食
食品・日用品の裏にひそむ「ブラック」労働をやめさせて アムネスティがキャンペーン
私たちが日常的に消費する商品を調べていくと、これを本当に買っていいのかと思うようなことにぶつかることがよくある。食品、洗剤、化粧品など日常生活品に幅広く使われているパーム油がそうだ。国際人権団体アムネスティはパーム油の生産実態を調査、「過酷なノルマ、児童労働、毒性の強い農薬・・・」といった人権侵害に突き当たり、企業に改革を要求するアクションを国際的に呼びかけている。パーム油の生産現場で何が起こっているのか、アムネスティの報告を紹介する。(大野和興)
以下、アムネスティの報告から――
アブラヤシの実から採れるパーム油は、調理用油をはじめアイスクリームやチョコレート、パン、マーガリンなどの食品から、歯磨き、化粧品、シャンプー、洗剤といった日用品まで、さまざまなものに使われています。その生産最大手ウィルマー社傘下のアブラヤシ農園で、危険で過酷な労働が強いられています。
こうしたアブラヤシ農園で生産されたパーム油は、ケロッグ、ネスレ、P&G、ユニリーバなど世界的に有名なメーカーが購入しています。あなたが口にするその食べ物、毎日使うその石けんにも、使われているかもしれません。
自分が使う製品の裏に人権侵害があるなんて、何とかしてほしい!どうすればいい?
アムネスティは、ウィルマー社に直接訴えるより、消費者としてメーカーに行動を促す方が効果的だと考えています。みなさんも、4社に対して、農園の労働環境の改善に影響力を発揮するよう、求めてください!
◆過酷なノルマ、児童労働、毒性の強い農薬・・・
インドネシアのアブラヤシ農園の労働環境が過酷なことは、アムネスティの調査でわかりました。調査では、インドネシアのカリマンタンとスマトラにある5つの農園で働く120人に聞き取りを行いました。以下は、調査で明らかになった実態の、一例です。
非常に高いノルマを課せられ、ノルマ未達は減給。そのため、長時間労働をせざるを得ず、時間外手当はほとんどない。1日12時間週7日働いても、法で定められた最低賃金に届かない労働者もいる。
女性のほとんどが正規雇用されず、日雇い労働に従事。年金や健康保険もない。立場が弱いため、ノルマ達成まで帰してもらえなかったり、ノルマを達成できないと次の仕事をもらえなかったりする。一斉に解雇されたケースもある。不満を言うと賃金を引き下げると脅される。
農場で働く親の低賃金を補うため、あるいはノルマ達成を助けるために、子どもが危険な重労働をしている。学校をやめて働いている子もいる。中には、8歳から働く子どももいる。しかし、農園の監督者は見て見ぬふり。
パラコートと呼ばれる非常に毒性の強い除草剤が使用され、労働者は防護服や防護具なしに作業させられる。そして深刻な中毒症状を発症している。
◆「持続可能なパーム油」!? 問われる企業の責任
世界で一番多く生産されている植物油脂のパーム油は、世界的な人口増加を背景に、需要が急速に拡大しています。その生産量のおよそ半分を占めるインドネシアでは、需要増を受け農園開発が進み、環境破壊が問題になっています。
《アクションに参加しよう!》
労働搾取の撲滅と労働環境の改善をウィルマー社に求めるよう、またウィルマー社と連携して被害に対処するよう、ケロッグ、ネスレ、ユニリーバ、P&Gに要請してください。要請は世界中のアムネスティで集め、各企業に届けます。
アクション期間 2017年3月16日〜6月30日(予定)
要請先 ケロッグ社、ネスレ社、ユニリーバ社、P&G社
アクションメッセージ
労働搾取が起きているインドネシア農園から貴社がパーム油を調達していることに、驚きを隠せません。貴社製品を購入する消費者として、以下のことを要請します。
1. ウィルマー社に対し、労働搾取をやめ労働環境を改善するよう、求めること
2. ウィルマー社と連携し、労働搾取や児童労働の被害に対処することの被害に対処すること
3. ウィルマー社のインドネシア産パーム油を使っている自社製品の情報を公開すること
このような大問題を見過ごしてはなりません。早急な対応を求めます。
https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/idn_201703.html
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