2017年05月17日16時44分掲載  無料記事
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もはや余生は消滅した  『続・下流老人一億総疲弊社会の到来―』 藤田孝展著

 世の年寄りに衝撃を与えた『下流老人』に続く本だ。著書はNPO法人のソーシャルワーカーとして現場で人々のかかわると同時に、丁寧な調査に基づいて積極的な提言を行っていることで知られている。(大野和興) 
 
 
 前著が出たのが2015年6月。本書はその1年半後の2016年12月に刊行された。この間、人びとを取り巻く貧困は一層厳しくなった。とくに高齢者は深刻だ。社会全体が「高齢者中心の社会」になるに伴い、これまでのとらえ方ではわからない問題が噴出するからである。それは「死ぬまで働き続けなければ生きられない社会」であると著者はいう。したがって本書のテーマは「高齢期の労働と貧困」ということになる。 
 
 本書の指摘を追ってみる。まず収入基盤が崩れる。社会的つながりは薄れる。「孤独死」の時代がくる。年金だけでは暮らせず、貯蓄も目減りするから、働かなければならない。「70歳からのシュウカツ」に時代となる。どんな仕事でもあればいいが、それも難しい。介護離職、家に閉じこもり、親に寄生する息子、離婚して子ずれで帰ってきた娘・・・。 
 
 介護保険もあてにならなくなった。老々介護に介護難民、介護殺人に介護心中…。 
 
 高齢者はこれまで働き続け、税金を払って社会を支えてきた。著者は穏やかな人だから、そこまで言っていないが、もはや老人革命しかない。軍備にかける金をこちらに回せ、と全員国会前に座り込み、ハンストに入ろう。野垂れ死に栄光あれ! 
 
(760円+税 朝日新書) 


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