2017年06月04日02時10分掲載
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米国
トランプに抗議で米大手企業がずらり パリ協定「離脱」表明
「親愛なトランプ大統領。われわれは、米国を拠点に、またそこで活動する大企業として、あなたに対し、米国が気候変動に関するパリ協定に留まるよう強く求めます」
−−パリ協定からの脱退と「再交渉」を表明した米国のトランプ大統領への内外の批判が収まらない。紹介したのは、米大手企業の連名書簡。この続きと署名者たちは――。
以下、米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」5月17日付に掲載された意見広告の続き。
★ ★ ★
気候変動はビジネスに対し、リスクとチャンスを同時にもたらします。米国がこの協定に留まることは、米国のビジネスと経済に多くの形で利益となります。
○ 競争力を強化する
協定は先進国と途上国の両方に行動を求めることで、よりバランスの取れたグローバルな取り組みを保障し、米企業が競争力で劣勢となるリスクを減らす。
○ 雇用、市場、成長を創出する
協定は、革新的なクリーン技術の市場を拡大することで、雇用と経済成長をもたらす。そうした市場において米企業はよいリーディング・ポジションにある。協定からの脱退は、そうした市場へのアクセスを制限し、われわれを報復措置にさらす恐れがある。
○ ビジネスリスクを減らす
協定は、長期的に世界的の行動を強めることで、ビジネス施設や活動へのダメージ、農業生産力の低下、水の供給、グローバルなサプライ・チェーンの阻害など、将来の気候による影響を減らす。
ビジネスは顧客、投資家、地域社会、サプライヤーの繁栄に関心を持っており、われわれは、クリーン・エネルギーへの移行を達成するため、気候〔変動〕への耐性を強め、革新的技術に投資しています。しかし、この移行を成功させるには、各国政府も同様に指導力を発揮すべきです。
米国のビジネスは、効果的かつバランスのとれた世界的な対応を進める安定的で実際的な枠組みによって、もっとも利益を受けます。パリ協定はそうした枠組みとなっています。他の諸国は先進的な技術に投資し、パリ協定とともに前に進んでおり、われわれは、米国が、この極めて重要な世界的取り組みの完全な一員にとどまることで、世界的な指導力を発揮し米国の利益を増進させることができると確信しています。
敬具
Adobe
Apple
Blue Cross Blue Shield of Massachusetts
Danfoss
Facebook
Gap, Inc.
Google
The Hartford
Hewlett Packard Enterprise
Ingersoll Rand
Intel Corporation
Johnson Controls
Levi Strauss & Co.
Mars Incorporated
Microsoft
Morgan Stanley
National Grid
PG&E Corporation
Royal DSM
Salesforce
Schneider Electric
Tiffany & Co.
Unilever
VF Corporation
この意見広告の1週間前には、同様の趣旨の公開書簡に以下の企業とそのCEOが名を連ねた。同じ「ウォール・ストリート・ジャーナル」のウェブ・サイトを通じて集めたものという。
3M インゲ・チュリン
ダナ ジェームス・カミカス
ニューウェル・ブランズ マイケル・ポーク
ダウ・ケミカル アンドリュー・リベリス
パシフィック・ガス&エレクトリック ゲイシャ・ウィリアムス
アリアンツSE オリバー・ベイト
デュポン エドワード・ブリーン
プロクター&ギャンブル デービッド・テイラー
バンク・オブ・アメリカ ブライアン・モニアン
ジェネラル・エレクトリック ジェフリー・イメルト
DSM フィーク・シベスマ
ボード・グループ ズン・ユー
ゴールドマン・サックス ロイド・ブランケン
セールスフォース マーク・ベノフ
キャンベル・スープ デニス・モリソン
ハリス・コーポレーション ウィリアム・ブラウン
ソルベイ ジーン・ピエール・クラマドゥー
カーギル デービッド・マクレーン
インターナショナル・フレーバー&フラグランス アンドレア・フィビック
テスラ エロン・マスク
シティグループ マイケル・コーバート
ジョンソン&ジョンソン アレックス・ゴールスキー
ユニリーバ ポール・ポールマン
コカ・コーラ ジェームス・クインシー
JPモルガン・チェース ジェイミー・ディモン
ヴァージン・グループ リチャード・ブランソン
コーニング ウエンデル・ウイーク
ケリング フランコス・ヘンリー・ピナート
ウォールト・ディズニー・グループ ロバート・イゲル
カミンズ トム・リンバーガー
モルガン・スタンレー ジェームス・ゴーマン
「離脱」表明は、アメリカ大統領選の仕組みからすれば、炭鉱の町などで受けて、選挙に有利かもしれない。しかし、国民および企業の多数派は、反対ではないか。(西条節夫)
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