2017年06月22日18時17分掲載
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国際
ND米紙ウィークリーニュース第122号(June 20, 2017)
●目次●
【米国防長官 北朝鮮が最大の脅威と断定】WP 6/12
Pentagon chief declares North Korea the new top threat to U.S. security
【ロシア疑惑 トランプ司法介入か】NYT 6/12
Friend Says Trump Is Considering Firing Mueller as Special Counsel
【ロシアで反政府運動が拡大 ナワルニー氏の運動で】NYT 6/12
Across Russia, Protesters Heed Navalny’s Anti-Kremlin Rallying Cry
【太陽光で雇用増も 労働者トランプに懸念】WP 6/10
Solar’s rise lifted these blue-collar workers. Now they’re worried about Trump
【アラブ5か国 カタールと国交断絶へ】NYT 6/5
5 Arab Nations Move to Isolate Qatar, Putting the U.S. in a Bind
【ロンドンテロ 襲撃者は隣人とは親密】NYT 6/5
‘I Trusted Him’: London Attacker Was Friendly With Neighbors
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【米国防長官 北朝鮮が最大の脅威と断定】WP 6/12
Pentagon chief declares North Korea the new top threat to U.S. security
6月12日付のThe Washington Times紙は、ジム・マティス国防長官が同日、北朝鮮を「平和と安全に対する最も緊急で危険な脅威」と断定したと報じた。
同紙によると、マティス氏は「金正恩政権の核兵器計画は世界にとって明確に今存在する脅威であり、政権の挑発行為、明らかな国際法違反は国連の批判と制裁をもってしても改善されない」とも述べたという。今回、北朝鮮がロシアを抜き世界の一番の脅威とされたものの、マティス氏は今もロシアや中国、イラン、テロ組織を脅威とみなしているという。
同紙は、米高官が、北朝鮮と貿易をしている中国に、北朝鮮に対し外交的、経済的圧力をかけさせようとしているが、実現する保証はないと指摘。また、先週、米国防省ミサイル防衛局長官のジェームズ・シリング海軍中佐が、下院小委員会で米国が北朝鮮のICBMに十分対抗ができるという発言を避けたことを報じている。
だが、マティス氏は、脅威が広がっているものの既にアラスカとカリフォルニアに配備されているミサイル防衛で十分に対抗が可能であるとし、将来的に東海岸の配備もあり得るとしており、今後、北朝鮮が軍事技術を進化させてくるかもしれないが対抗する時間的な余裕は十分あるとしている。
【ロシア疑惑 トランプ司法介入か】NYT 6/12
Friend Says Trump Is Considering Firing Mueller as Special Counsel
6月12日付のThe New York Times紙は、トランプ大統領が、ロシアによる大統領選介入疑惑を捜査しているロバート・ミュラ―特別検察官を解任するかもしれないと報じた。
ロシア疑惑に関して、公聴会でのコミー前FBI長官の証言に関心が集まる中、ミュラー氏にもトランプ大統領の司法介入が及ぶかもしれないという。
しかし、同氏の解任には、正当な理由なしに解任されないという司法省の規則を無効にする手順を踏まなければならない。共和党元下院議長のギングリッチ氏を含め党内や保守派メディアの中には、ミュラー氏に関して公平性に疑問を呈している者もおり、コミー氏との密接な関係を非難する声や解任を促すネガティブキャンペーンも始まっていると同紙は報じている。
また、一連の流れは、ニクソンのウォーターゲート事件において、特別検察官を解任しようとした「土曜日の夜の虐殺」事件を思い起こさせると指摘。この動きを批判する民主党のアダム・シフ下院議員は、ミュラー氏が解任されれば、下院は独立検察官を創設し、ミュラー氏を再任させるだろうと述べたが、それには上下両院議員の3/2以上となる大多数の賛同を得なければならず、実現性はかなり低いと同紙はみている。
【ロシアで反政府運動が拡大 ナワルニー氏の運動で】NYT 6/12
Across Russia, Protesters Heed Navalny’s Anti-Kremlin Rallying Cry
6月12日付のThe New York Times紙は、ロシア全土における反政府運動について、100以上の都市で政権の腐敗と硬直化を批難する数千人規模のデモが起こっていることを報じた。
なお、デモに際し、モスクワでは700人、サンクトペテルブルグでは300人の市民が逮捕されたという。専門家は、反政府運動がロシアの保守的な地域にも広がっていることから、歴史的な転換点だと分析している。
この運動の拡大には、反政府運動のリーダーであるアレクセイ・ナワルニー氏が、メドベージェフ首相の豪華なヨットを映した動画を流すなどしたこともあるという。このナワルニー氏は、無許可で反政府運動をしたとしてモスクワで逮捕され、即、30日間の実刑が下された。また、政府側は、ナワルニー氏を中傷したり参加者やその親を脅迫する手立てを取ったという。
同紙は、当初は政治に無関心だったが反政府運動に参加するようになった若者の声を紹介して、景気の悪化が要因として大きいことを報じている。
デモの届け出は200の都市で出され120都市で認められたが、中には森林に隠れる場所で行うようにされたり、また、ウラジオストクでは政府支持派のコサック復帰運動家たちに広場でのデモの先約を取らせるなどしたという。
【アラブ5か国 カタールと国交断絶へ】NYT 6/5
5 Arab Nations Move to Isolate Qatar, Putting the U.S. in a Bind
6月5日付のThe New York Times紙は、中東5か国が、イランとつながりの深いカタールに対し、国交を断絶したことを報じた。
サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、バーレーン、イエメンの5か国は、カタールがスンニ派のテロ集団やイランを支持していることを非難し、カタールとの国交を断絶したという。
同紙によると、この5か国は、カタールとの陸海空路を閉鎖し、エジプト以外の4か国は25000人に及ぶ自国民の退避命令を出した。カタールは食料40%をサウジアラビアから輸入していることもあり、国内の経済や食料は危機に陥っていると同紙は報じている。カタールの外務省やイラン政府は、地域秩序を乱すとし、国交断絶に関する一連の動きに抗議している。
制裁強化の背景には、トランプ大統領がサウジアラビアを訪問した際、対テロ対策とイランへの制裁において同国を支持したことが影響しているという。しかし、トランプ氏の姿勢はテロ組織と闘うため米軍基地を提供している国を含めた中東各国との信頼関係を崩しかねないという懸念があると同紙は指摘。カタールは、国内に重要な米空軍基地を持ち、イランと各国の調整役やテロ組織との交渉を引き受けるなど多面的な役割を担っている。
2022年のワールドカップに向けて建設ラッシュが進み、国際的な企業と外国人労働者が増えている中、今回の制裁で国際ビジネスにおける混乱が予想されると同紙はみている。
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