2017年06月27日15時36分掲載
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内閣への権力の集中が日本の統治機構上の問題であると論じたビデオニュース・ドットコムの討論
前川喜平前文科省事務次官の記者会見を受けて、ビデオニュース・ドットコムの神保 哲生氏が同番組の宮台真司氏との対談の中で一連の問題提起を行った。前川氏が日本の統治機構上、権力の分立が確立されていないことに問題があると発言したことを受けて、内閣人事局の問題を論じたところが最も興味深い。
http://www.videonews.com/commentary/170623-01/
内閣人事局が官僚トップの人事を握ってしまうことが、今回の一連の腐敗を生む培養土になっていることである。この制度はアメリカの行政制度をまねたものらしく、アメリカでは4年に一度大統領選挙が行われ、大統領を頂くホワイトハウスが官僚のトップを「政治的任用(political appointee)」と呼んで指名する。これにより数千人もの職員が行政府を去ったり、入ってきたりする。政治的任用により行政府が〜ホワイトハウスと省庁が〜意思の統一を素早く図ることができ、政策がスピーディに実現できる。では行政権力が1つの政党に集中しすぎる恐れはないか、と言えばアメリカではこのように一時的に権力が大統領に集中されたとしても、二大政党を中心に政権交代が起きることで権力の分立が可能となっているのだという。しかし、日本では政権交代が起きにくいし(もともと戦後の大半は自民党政権だった)、2014年に創設された内閣人事局が政権交代をむしろますます起きにくくしているのではないかと神保氏は指摘する。
このテーマは小選挙区制の問題や、大統領制と議院内閣制との根本的な違いの再認識などとともに今後、検討し解決しなくてはならない問題であるように感じられた。
■モンテスキュー著「法の精神」 〜「権力分立」は日本でなぜ実現できないか〜
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201312260209124
■飯坂良明・井出嘉憲・中村菊男著「現代の政治学」(学陽書房) 小選挙区制が有効に作用するには条件があった、だがそれは導入した日本にはなかったものだった
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201508240138091
■堀江湛・岡沢憲芙編 「現代政治学」(法学書院) 早稲田・慶応出身の学者が集結 二党制の神話にメスを入れる
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201508170231531
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