2017年06月29日12時05分掲載
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ロシアの伝統音楽を蘇生させ独特のビデオを作っている注目のバンド "Otava Yo " ( Отава Ё ) ニューヨークの映画祭で最高賞を受賞
ロシアの伝統音楽を活かした音楽づくりをしている"Otava Yo" という6人組のバンドがあります。このバンドは国際的にも注目され始めていますが、そのきっかけは独特の音楽ビデオにありました。"Otava Yo" のミュージックビデオはyoutubeにもたくさん公開されていて見ることができます。下のリンクの作品は「喧嘩の時の対句(二行連)」と題されていて、二人の男の格闘にちなんだストーリーがつづられているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=0JQ0xnJyb0A
こうしたビデオの1つ”Oh, Dusya, my Marusya”という短編作品が今年、ニューヨークのインディフィルムフェスティヴァル( NYC Indie Film Awards)で最高賞のダイアモンド賞を受賞しました。ミュージックビデオ部門です。その作品が次の5分40秒の映像です。チェーホフなどの戯曲作品などでよく出てくるサモワールという独特の金属製の給湯器が印象深い小道具として扱われています。現代の風景の中にロシアの伝統を蘇生させたいという思いが感じられます。
https://www.youtube.com/watch?v=0HtvH34CmZY
毎回様々な物語が映像と音楽でつづられていきます。下のリンクの4分40秒のビデオもシュールな物語。青年がバスに乗り込んだら美女が後から乗り込んできます。いささか謎めいた彼女に魅せられた青年が何とか彼女の傍の席に移ろうとしたら次々と邪魔な男女が乗り込んできて様々な珍騒動がつづられます。バスは都会から田舎へ、森へ。そして謎の美女がバスを降りた後も後ろをつけていくと・・・青年の様々な妄想力とシュールな結末に魅せられてしまいました。
https://www.youtube.com/watch?v=nqfrljOcUIo
一度見たら忘れられなくなりそうな独特の味わいのある映像と音楽。いったいどんなグループで、映像は誰がどうやって作っているのだろう、そんな思いからバンドのメンバーのアレクセイ・ベルキン(Alexey Belkin)さんにインタビューを試みました。ベルキンさんはバグパイプ奏者ですが(他の楽器を奏でていることもあります)、ビデオの映像監督でもあるそうです。
(ベルキンさんへのインタビュー)
1)How and when did you begin your music group ?
Q いつどのようにしてこの音楽グループの活動を始められたんでしょうか?
We started 14 years ago in St. Petersburg as street musicians. I do not remember the exact date, but I assume it could be may 2003, because the weather in St. Peterersburg gets better for busking. We played on the streets almost every week and had a big success. After 3 year in 2006 we have released an album which was payed by money from busking, the name of album “By the pharmacy”, as the dedication to our favorite place to play - Homeopathic pharmacy on Nevsky prospect in St. Petersburg
僕たちは14年前にサンクトぺテルスブルクでストリートミュージシャンとして始まったんです。正確な日にちは思い出せませんが、たぶん2003年の5月だったかと思います。というのは雪国のサンクトぺテルスブルクは5月になると天候がよくなり、路上での音楽活動ができるようになるからです。ほとんど毎週路上で音楽を演奏して大成功をおさめることができました。3年後の2006年に、最初のアルバムを出しまして、これも路上で販売したんです。アルバムのタイトルは「薬局の脇」というのですが、これは当時演奏していた私たちが気に入った場所がホメオパシーという療法の専門薬局の前だったから、この薬局に捧げたんです。
2) Very interesting music. How do you create it ?
Q とても面白い音楽です。どうやって作っているのですか?
Almost all songs we sing - are traditional Russian songs, with very few exceptions. We do like traditional music and it inspires us to put lots of our attention to make it sounds new and fresh, not like museum’s exhibit. We spend quite a lot of time to make every song. Sometimes we could stop working on song and come back to it after time (once it took us 7 years to return to one song). We never make compromises in our arrangements. We work until we got the result we like.
僕たちが歌っている曲は大半がロシアの民族音楽なんです。少しだけ例外もありますが。僕らは伝統音楽が好きなんです。それらの音楽は刺激を与えてくれるので、僕らはそれに新鮮な音楽性を加えて、博物館の陳列品みたいなものとは違った現代に生きるものにしたかったんです。どの曲にもかなりの時間をかけて作り込んできました。時には曲づくりを中断してしばらくしてまた再開する、ということもあります。たとえば7年間中断して再開したケースがありました。僕らは編曲においては絶対に妥協したくないんです。僕らがもうこれでいい、と気に入るまで作業を続けています。
3) How do you create your music Video ? It is like an excellent short film directed by great film maker .
Q ミュージックビデオはどのようにして作っていますか?ロシアの巨匠が作った短編作品であるかのような素晴らしい味わいがありますね。
The first video we shoot during small tour in Poland. We had 2 days off and our bass guitar player Timur had a video camera. Me and him decided to try to shoot a music video. Timur was cinematographer and I was a director of that first clip. Me personally had a very interesting experience and I found out that I have ability and a big interest to shoot videos. 2 months later I realized that we made many mistakes while shooting, so we had to reshoot 2 episodes. But it was very important experience for me personally. Every following video I was trying to make better and better.
最初のミュージックビデオはポーランドへの短いツアーの際に作りました。僕たちには2日間の休日があり、ベースギター奏者のティムール(Timur) がビデオカメラを持っていたんです。ティムールが撮影を担当して、監督は僕がやりました。ミュージックビデオを作ろうと彼と決めたんです。僕は非常にこの経験に魅せられまして僕にはビデオ作りへの強い関心があり、才能があるんじゃないかと思ったんです。でも2か月後に編集してみると、コンテにミスがたくさんあり、2つのエピソードを再撮影しなくてはなりませんでした。それでも僕にとっては非常に大きな経験となったんです。その後、ビデオ作りを続けながら、より良いものへと改良を繰り返してきたんです。
I direct all our videos and because of that I can use as much time as I need to make a good video. I'm very meticulous, so when we work on the new video I spend lots of time and attention to make it. I do not think we can afford to rent a professional director with the same attitude :) I am lucky that I have a very good characters in my group and my country has a great nature. Also I have a good team of people who help me to shoot videos on high technical level. But to be honest every video it is a very big story and a challenge. It is easy to watch but not easy to make.
僕がすべてのビデオを監督していますが、というのも僕は好きなだけビデオ作りに多くの時間を割くことができるからなんです。僕はとても几帳面なタイプでして、ビデオ作りを始めたらかなりの時間を注いで、意識を集中させます。僕らには僕がやっているほどのテンションと時間を割いて演出をしてくれるプロの映像監督を雇うのは不可能です。僕にとってラッキーだったことはバンドのメンバーがそれぞれ個性的な面々がそろっていて、さらにロシアには雄大な自然もあることです。また撮影の時に協力してくれるたくさんの仲間もいるんです。プロフェッショナルのレベルです。とはいえ、毎回、ビデオ作りではいろんなハプニングが起きていて、挑戦の連続なんです。映像を見るのは簡単ですが、作るのは難しいんですよ。
4) What is your schedule from now on ?
Q バンドの今後のスケジュールは?
We are going to play several festivals in Russia, Estonia and Latvia this summer. In the autumn we will visit - France, Slovakia and Belgium. Also we are working on the new album, which I hope we will release in 2018.
僕らは夏にロシアやエストニア、ラトビアなどの音楽祭で演奏する予定です。8月にはフランス、スロバキア、ベルギーに演奏旅行を行います。と同時に新しいレコードも作ります。このレコードは2018年に出せたらと思っています。
Alexey Belkin
アレクセー・ベルキン
(”Otava Yo”のバグパイプ奏者で、ミュージックビデオの監督)
※実際のコンサートの映像が以下。
https://www.youtube.com/watch?v=FWvrW9HJr2Q
※Otava Yo のホームページ
http://otava-yo.spb.ru/en/
インタビュー
村上良太
Ryota MURAKAMI
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