2017年06月29日20時12分掲載
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農と食
フランスの動物愛護団体L214が悪質な養豚業者をビデオで告発
フランスの動物愛護団体L214は食肉や鶏卵のために飼育されている動物の飼育管理状況をウォッチしている。最近では悪質な飼育で知られていた養鶏場ル・ガエク・デュ・ペラ(Le Geac du Perrat)の状況を数年に渡り監視し、農業大臣に告発ビデオを送り付け、操業停止に追い込んだ実績がある。そのL214が新たな告発映像を公開した。そのキャンペーンビデオの1つが下のリンクだ。豚たちの地獄的な世界が映し出されている
https://www.youtube.com/watch?v=b4QXFwOMI8U
今回の映像はフランス北西部に位置するブルターニュ地方の養豚施設内の豚の飼育状況である。L'expressの報道などによると、告発された養豚業者は豚肉の納入業者で、エナフ(Henaff)という豚肉を原料にしたパテやリエットの缶詰でフランス1のブランドが納入先だという。エナフは健康な豚のイメージを宣伝しているが実態は異なるとし、納入業者の中には狭い畜舎に豚を閉じ込め、病気になっても治療はせず、不健康な生存状態のまま、抗生物質を大量に与えて生き延びさせ、工業的に飼育している者もいると指摘した。豚は好奇心の強い動物で、通常なら環境を探索しながら1日何キロも歩くが、この畜舎では歩くこともできない狭い折に閉じ込められたまま太陽を浴びることもできないという。
ビデオでは死んで畜舎の大容器に積まれた子豚の山も映し出されている。畜舎で病死する豚は20%にも及ぶと言う。豚だけでなく、このような施設で働く人々はどういう気持ちなのだろうか。
フランスでは畜産のあり方を動物愛護や食品衛生などの見地から考え、動物の生きる環境にもっと配慮せよ、あるいは法規制をもっと厳格化せよという声も上がっており、今回の大統領選ではそれを政策に掲げる候補者もいた。しかし、飼育業者を責めるだけでは問題は解決しないのではなかろうか。恐らくは畜産業者も経費節減を迫られているであろうからだ。グローバル化の中で、海外からの輸入製品との価格競争を強いられたり、多くの消費者の可処分所得が減少する中で食品メーカーも価格をできるだけ下げるように迫られる圧力が働いているのではないか。
村上良太
※L'express の記事
http://www.lexpress.fr/actualite/societe/maltraitance-animale-l214-epingle-deux-elevages-fournisseurs-des-pates-henaff_1922717.html?utm_term=Autofeed&utm_campaign=Echobox&utm_medium=Social&utm_source=Twitter&link_time=1498730030#xtor=CS3-5083
■屠殺場と大量飼育の養鶏場の地獄から救われた鶏たちの話 女優・演出家 コルネリー・スタティウス・ミュラー( Cornelie Statius Muller )
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