2017年06月30日20時14分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201706302014585
米国
フェイク・ニュース もう始まったアメリカ大統領選挙戦 平田伊都子
BBC英国TVが、「世界で一番人気のない指導者に、彼の支持者はどう思う?」と、2017年6月27日に問いかけました。 BBCによると、メルケル独連邦首相が42%、習中国主席が28%、プーチン・ロシア大統領でも27%の支持率なのに、トランプ米大統領は22%だ。オバマ前大統領が辞める時には64%あった」と、トランプ米大統領の不人気を数字で示しています。
しかし、全世界の人が人気投票に参加したわけでもないし、トランプ米大統領がこの調査結果を知れば、「フェイク」と、ツイートしそうですね?、、 <トランプ政権のロシア疑惑>に関するCNNによる偽造記事の撤回と謝罪に始まった、新たな大統領選挙戦争を観戦しましょう、、 アメリカ人って、喧嘩が好きだね!
(1)CNN・TVのフェイク・ニュース:
2017年6月23日、CNN・TV が大統領の側近であるアントニー・スカラムッチに記事捏造の謝罪をした。6月26日、CNN・TVは記事を撤回した。担当チームの、トマス・フランク、エリック・リッチブロ、レックス・ハリスの3人は辞職した。翌27日にトランプ米大統領が、「ワオ〜!CNNがフェイク・ニュース?!」、「NBC、CBS、ABC、ニューヨークタイムズ、ワシントンポストはどうなんだ?」と、連チャンでツイートすると、楽しいフェイク・ニュース騒動が世界を制覇していった。
但し、フェイク・ニュース問題は、トランプのツイッターより先に、米下院調査委員会がトランプ打倒のネタに仕込んでいた代物だ。大統領選挙戦中にトランプ陣営が流した<フェイク・ニュース>を洗い出し、犯人の追跡を始めていた。ロシア関与疑惑に加えた新しい案件で、トランプ失脚の駄目押しを目論んでいた。
<フェイク>とは<偽物>を意味する英語だ。
5月17日、ロシアが2016年米大統領選に介入したという疑惑を巡るFBI(米連邦捜査局)捜査を監督する特別検察官に、ロバート・ミュラー元FBI長官(任期2001~2013)を任命すると、米司法省が発表した。ローゼンスタイン副長官が出した指令は、ミュラーに、「ロシア政府とトランプ陣営の関係者とのつながりの可能性を含め、捜査を進める権限と、特別検察官として必要かつ適切と考えれば、捜査で浮上した連邦犯罪を訴追する権限」を与えた。ミュラーは、「責務を受け入れ最善を尽くす」と、語った。
特別検察官ロバート・ミュラーはトランプが首にしたコーミー前FBI長官の前任者だ。トランプの失脚を狙う民主党と共和党の一部議員、特に次期大統領を狙う政治家にとって、最高の人選だった。ロシア疑惑捜査と並行し、特別検察官ミュラーは張り切って、トランプ陣営による、<フェーク・ニュース>の追跡に突入した。CNNの<フェーク・ニュース>事件が起こる以前の話である。
(2)戻ってきたデビッド・ポデスタ、ヒラリー・クリントン選挙参謀:
6月に入って米下院調査委員会は6人を承認喚問に招待し、そのうちの一人、デビッド・ポデスタ(68)が6月27日に応じた。喚問の後ポデスタは記者団に、「調査委員会に協力出来てよかった」と、嘯いた。ポデスタはビル・クリントン元大統領首席補佐官でオバマ元大統領顧問で、2016年大統領選挙ではヒラリー・クリントン陣営の選挙参謀をやった、クリントン一家の大番頭だ。2016年大統領選挙最終戦に入った時、100,000を超えるポデスタのイーメイルを、ウィキリークスがリークした。その中には、ヒラリー国務長官時代のベンガジ・テロ事件やバニー・サンダーズ罵倒メールなども入っていた。「2016年大統領選挙戦最中からオバマはロシアのハッカー攻撃を知っていたと本人が白状しているが、オバマはハッカー攻撃を知ったその時点で、なぜロシアに反撃しなかったのか?」という記者団の質問に、ポデスタは、「オバマ政権は適切な対抗措置を取ったと思う」と、適当な返事でかわした。
デビッド・ポデスタの登場は、米大統領選挙戦が始まったことを暗示している。7月29日のアメリカ・マスコミは、トランプに整形手術をからかわれた女性キャスターに焦点を当て、ついでにヒラリー・クリントンを登場させ、トランプの女性蔑視を非難した。ポデスタが悲願の米国初女性大統領誕生キャンペーンで使った手だ。柳の下のどじょうかな、、
(3)スーパーPAC(スーパー・パック)登場で始まった米大統領選挙戦?:
2017年6月28日、ロイター通信が、「ホワイトハウス外のトランプ支持者たちが、テレビの広告を使ってトランプ潰しに反対するネガティブ・キャンペーンを張り始めた」と、報道した。「6月27日には、AFP America First Policies(アメリカ・ファースト・政策)の一グループが、トランプの政策に反対する共和党上院議員をテレビ・コマーシャルで攻撃した。これは、Super PAC(Political Action Committees)スーパーパックと呼ばれる、政権とは関係ない市民が勝手にやる活動で、大統領選挙期間中には頻繁に行われてきた。選挙以外でスーパーパックが活動するのは初めてだ」と、伝えた。さらにロイター通信は、「トランプを支持するAFPグループは、トランプは魔女狩りの犠牲者だと主張している」と加えた。
ロイター通信によると、ルドルフ・ジュリアーニとニュート・ギングリッチが出資したもう一つのスーパーパックGreat America Alliance は、前FBI長官や新任の特別調査官を攻撃するテレビ・コマーシャルを連発したそうだ。
「トランプ叩きに反発して様々なスーパーパックが、突然、台頭してきた。彼らは十分な資金源を獲保している。彼らは、<メデイアの嘘を見抜け>と、扇動している」と、スーパ―・パックの評論家・アリソン・ダグネスは大統領選挙序盤戦を予言している。
スーパーパックとは、アメリカの政治資金管理団体の総称で、 PACはPolitical Action Committee(政治行動委員会)の略だ。 アメリカでは企業や団体などが政党や政治家に直接献金を行うことは禁止されているため、政治献金の受け皿となるPACを設立して個人から資金を集め、選挙運動への資金援助を行っている。「候補者やその選挙運動から独立した団体」に献金する場合は、金額に上限はない。集めた資金は広告宣伝を中心とする、特定の候補者への支援活動に投じられている。 ヒラリー・クリントンを支持する<Priorities USA Action>と、ジェブ・ブッシュ支持の<Right to Rise>のスーパーパックはスーパー大金持ちだ。2016年の大統領予備選挙で、トランプはスーパーパックに頼らず自己資金でのみ選挙を戦ったようだ。
莫大な金と時間をかけてやっと大統領選挙を終えたばかりのアメリカなのに、また、大統領選挙をやるの〜?
米下院調査委員会にはオバマ大統領特別補佐官だったスーザン・ライスが出てくるそうです。 オバマはどうして出てこないの? どこにいるのかと調べたら、インドネシアで6月24日から10日間の家族豪華バカンス中、、 「もう大統領戦には出れないのだから関係な〜い」と、遊び狂ってます。 こんな無責任男の口車に乗せられて、気候変動対策だの核禁止条約だの難民救援だの、、と、重荷を背負わされた国連事務総長は、御気の毒、、
6月27日、28日、29日と、三日間にわたって、アントニオ・グテーレス国連事務総長はワシントンでトランプ大統領との会談を待ちわびました。 が、国連事務総長が会えたのは米国務長官や米両院議員たちで、、国連供託金大削減を宣言したトランプ大統領の意向を変えることは、難しそうです。
文:平田伊都子 ジャーナリスト、イラスト:川名生十 カメラマン 2017年6月30日
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。