2017年07月10日13時48分掲載
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政治
安倍首相、国民と和解する絶好の機会を逃す 加計問題の閉会中審査に出席せず
「こんな人たちに負けるわけにはいかない」という失言のダメージ冷めやらぬ安倍首相だが、今日再び手痛い失点を重ねてしまった。加計学園への便宜供与疑惑問題の国会閉会中審査に、肝心の首相が出なかったことだ。この問題は加計学園理事長と安倍首相が腹心の友であったことがすべての発端となっている。安倍首相率いる内閣が国家戦略特区の選定過程で加計学園への便宜供与をしたかどうか。この点につき、首相や大臣たちの国会答弁がいい加減極まりなかったことが支持率の激減の発端となっていて、加計学園問題が解決しない限り、この支持率減退を止めることはできないだろう。今後もさらに落ちていく可能性がある。
もし今日、安倍首相が国会に出て、疑惑に対して隠し事をせずきちんと晴らせば、少なくともその姿勢を見せれば支持率は回復できた可能性があった。たとえ旗色がそれで悪くなったとしても真摯な姿を見せれば印象は変わるものである。しかし、安倍首相はG20が終わった後、今度は北欧への旅に出て帰ってこなかった。肝心な時に肝心のリーダーがトンズラした、と多くの人は思ってしまった。それは安倍首相の精神的な弱さを改めて国民に感じさせた。
安倍首相不在の閉会中審査では残った者たちが野党議員たちから追及されていた。安倍首相が腹立ちまぎれに衝動的に口走ってしまったとされる「獣医学部の規制緩和を全国展開することにについて」その真意を問われた山本幸三担当大臣は苦しい答弁もついに限界に達したと思ったのだろう、とうとう手元資料の棒読みをひたすら続け、野党議員の怒りと困惑と恐らくは失笑を買った。安倍首相の部下たちが針の筵に座らされ、汗を流して攻め立てられている。中継を見た人々は苦い印象を受けただろう。行政のトップを自任してきたリーダーが最前線から逃避するとは。この実像は「こんな人たち」の失言とともに再び国民の記憶に刻まれてしまった。自民党にとっては大きな打撃だろう。危機になれば自分だけ逃げる、このようなリーダーに危機管理を任せられるだろうか。家族の運命を託せるだろうか。そんな疑惑を国民に定着させてしまったからだ。
※日・スウェーデン首脳会談 7月9日(外務省)
「安倍総理から,4月にストックホルムで起きたテロで犠牲となった方々への追悼の意を表明しつつ,卑劣なテロを断固非難する,強い連帯を表明する旨述べました。また,自由,民主主義,人権,法の支配といった基本的価値を共有するスウェーデンとの関係を重視している旨述べ,今回の訪問を契機に,来年の外交関係樹立150周年に向けて,幅広い分野での両国の協力関係を一層発展させたい旨述べました。」
自由、民主主義、人権、法の支配。前川喜平参考人のいない北欧で安倍首相はこういった素晴らしい言葉を唱えていたそうだ。
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