2017年08月07日17時17分掲載
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教育
人づくり革命で大学を民間企業の新人研修施設に「革命」か
安倍首相の「人づくり革命」とはなんぞや?とみんな不安に思う最中、その目標が大学の乗っ取りだったことがわかってきた。日経新聞によると、人づくり革命の基本方針とは「大学改革と幼児教育や大学にかかる教育費の『無償化』を両輪で進めるのが柱だ。大学経営陣に企業の社外取締役にあたる民間人の起用を義務付けるほか、大学卒業後の『出世払い』制度を検討」ということになる。
大学の学費無料化という飴で何を狙っているかと言えば、大学を企業の研修施設や企業の研究室に活用することではないか。税金で民間企業の利益となる新人研修と産学提携の研究を進めることができれば、企業にとってはなんとも素敵な大学となるだろう。だが、それはすでに大学ではない。
安倍首相はNHKの経営委員に自分に近しい思想の持主を据えることで、外側からNHKを換骨奪胎することに成功した。同じことは大学でも起こりうる。「社外取締役」が教員の生殺与奪を握るようになれば、自由な研究も自由な表現も許されなくなるだろう。国家戦略特区がらみの教育の規制緩和のあり方1つを見ても安倍首相がいかに本来の大学を軽蔑しているかがわかる。
以下は、改憲になぜ安倍首相が教育費無償化を導入しようとしているかを想像したものである。
(採録)改憲項目「教育無償化」と安倍首相の地方大学改革論 〜税金を使って 学校を企業の研究・研修施設に改変か〜
安倍首相が憲法改正項目の1つに教育無償化を盛り込んだのは改憲のために国民にしゃぶらせる飴玉なのだろうが、その飴もどのような飴なのか、中身が気になる方も多いのではなかろうか。昨今報道された森友学園のような教育をされるのなら、むしろタダでも受けたくない人は少なくないだろう。
実際、「タダより怖いものはない」、という言葉がある。本来、新自由主義の安倍首相にとって無料で国民に教育を受けさせる、と言っているからには何か、政権に都合の良いことがあるのではないか。そう思っていたら、安倍首相が「明治以来とも言える大学改革に着手する」と言っているという記事を読んだ。地方大学を実践重視に作り替えるのだそうだ。ではその改革の中身は?
「第一に、実務経験のある教員を思いきって増やす。産業界のニーズに合う実務教育を行う。・・・第二に、大学の経営層に地元経済界の人材を登用し、ガバナンス改革を試みる。民間(企業の)出身者が大学経営に参画することで、大学教育が就職に結びつく」(朝日)と言っていたそうだ。
教育無償化と引き換えに、教育の中身は産業界のための教育に転換する、と首相は言っているのである。企業が研修費用を削減できるように、大学や高校などの教育機関で行うのだ。産業界にとっても退職後の再就職口が確保できる。これは国民から税金を吸い上げて、企業のための教育を大学で行う、ということに他ならない。国家戦略特区と基本的に同じことを教育界でやろうとしているのではないか。この錬金術で見事消え去るのは本来大学で身に着けるべき教養だろう。いったい誰のための改憲項目「教育無償化」かと言えば企業のためだった、ということに今さらながら気づく。その裏で政府に批判的な教員はばっさり削減されるだろう。
ここで今一度加計学園や森友学園の問題を振り返れば各地の学校の教育のカリキュラムには各地にいる首相の「腹心の友」たちを喜ばせる内容が詰め込まれるのではなかろうか。想像してみると、企業的な農業経営、飲食店の経営、名産食品の開発、地域のマーケティング、運転技術、理髪技術、調理技術、ロジスティックのノウハウ、在庫管理、軍需品の開発、地域の資源の探査、スポーツ医療、マッサージ、ウェブデザイン、賭博・遊戯施設のノウハウ、観光開発、神道、原発施設の運営方法、警備技術、簿記会計、英会話、保育・介護などなど。
哲学や思想、歴史、社会学、文学、法学、経済学・・・こういった、本来大学で学ぶべき科目は東大や京大などエリートを育成する限られた一部の大学でのみ教えるべきものと考える人々が教育行政で発言力を増しているようである。人生の早い段階で国民をエリート層と非エリート層に二分して、コースを不可逆に分けてしまう発想であろう。そして、ここにまた、例の国家戦略特区が絡んでくるはずだ。逆に言えば、安倍首相がうたう「地方大学の強化」の中身を知りたければ内閣府のウェブサイトで紹介されている国家戦略特区の事例を見ればよいのではなかろうか。そこには加計学園など安倍首相ご夫妻と親しい人が関係する企業が複数入っている。
■「そもそも教養って何でしょう?」 経営コンサルタントが説く<教養>の定義
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