2017年08月16日13時55分掲載  無料記事
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反戦・平和

北朝鮮・中国脅威論と沖縄米軍基地−進む日本の“軍国主義化”も重大な脅威−

<目次> 
沖縄から軍事基地をなくすには 
1、沖縄の米軍基地形成史 
2、基地被害と在日米軍特権 
3、米軍駐留を正当化する北朝鮮・中国脅威論 
4、日本脅威論を払拭するには 
結びにかえて 
 
(季刊『現代の理論』デジタル版第13号より転載) 
 
      ★      ★      ★ 
 
【沖縄から軍事基地をなくすには】 
 「北朝鮮が保有する弾道ミサイルのうちノドンの射程外となるのはわが国では沖縄などごく一部」。 
 これは辺野古違法確認訴訟、高裁判決(2016年9月16日)の中の一文である。同訴訟は沖縄県知事による辺野古埋立て承認取り消しは違法であると判決したが、前提に北朝鮮・中国脅威論があり、沖縄に米軍基地を引きとめなければ危険であるとの判断がある。 
 高裁判決を下した裁判官、これを支持した最高裁のみならず、多くの日本人が北朝鮮・中国脅威論にとらわれているものと思われる。 
「安保をなくすんですか。だって日本は無防備でしょう。……危ないじゃないですか」。これはある9条擁護派の発言であり、ダグラス・ラミス著『要石:沖縄と憲法9条』で紹介されている。「無防備」では「危ない」との認識は、憲法9条を支持する、しないにかかわりなく広く共有されているのではないか。 
 筆者は北朝鮮、中国の立場で考えると「日本脅威論」こそが問題の核心であり、日本国政府、日本国住民が「非戦」の姿勢を国際社会に示し続けるならば、「北朝鮮・中国脅威」も消滅し、沖縄から軍事基地を一掃することは可能だと考える。 
 要は現政権と正反対の方向に進めばいいだけのことで、いたってシンプルな話である。 
 
【1、沖縄の米軍基地形成史】 
 沖縄米軍基地の出発点は、沖縄戦であるが、沖縄戦は沖縄住民が望んだものでも引き起こしたものでもない。いわば「日本人」がはじめた愚かな戦争のつけを70年も払わされているのが戦後の沖縄である(戦前、戦時中の沖縄の軍備については拙論「近代沖縄と日本の国防」、『季刊現代の理論』デジタル版6号を参照されたい)。 
 なお、日本経済そのものが朝鮮戦争、ベトナム戦争の恩恵を受け、沖縄米軍基地建設で復興したことをどれだけの日本人が認識しているだろうか。 
「復興への突破口になったのは、朝鮮戦争を背景とした沖縄の軍事施設増強のための建設工事であった」(『清水建設180年史』)。 
 その他、銭高組、大成建設、鹿島建設、竹中組などが軍工事を受注し、沖縄県内企業は下請けに甘んじる(『いかに「基地の島」は作られたか』、沖縄探見社)。 
 この構造は現在でも変わっていない(辺野古新基地建設は、大成建設、五洋建設、東洋建設などが受注)。 
 1953(昭和28)年、米国民政府は土地収用令を発し、武装兵を動員して「銃剣とブルドーザー」で住民の土地を奪った。琉球政府立法院は土地収用令の撤廃を決議したが、米国民政府は一顧だにしなかった。 
 沖縄返還以降について、新崎盛暉『沖縄戦後史』(岩波書店)から概要を示す。 
 沖縄返還の直前、1971(昭和46)年に、日本国の国会は「沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律」を制定し、沖縄返還後も米軍用地を強制使用する。公用地法は沖縄県だけに適用される法律であり、本来なら憲法95条に規定される住民投票が必要な立法であるが、実施されなかった。 
 1982(昭和57)年に、同法が期限切れとなると、日本政府は、本土では1961(昭和36)年以降適用例がなかったいわゆる駐留軍用地特措法を沖縄に適用したが、「以後ずっとこの法律は沖縄にのみ適用されて」おり、「実質的には一地方公共団体にのみに適用される法律である」。 
 政府が地主から強制的に土地を奪って米軍に提供するには、駐留軍用地特措法の以下の手続きが必要である。まず、沖縄県収用委員会への申請が必要だが、その際、土地・物件の目録調書に地主が立ち会って署名する必要がある。地主がこれを拒否した場合は、その土地がある市町村長が代行する。市町村長が代行を拒否した場合は、県知事が代行する。 
 1995年、当時の沖縄県知事大田昌秀がこの代行を拒否したため、国は知事に対して、立会・署名をすることを求め、訴訟を提起した。いわゆる職務執行命令訴訟である。最高裁まで争われるが、1996(平成8)年8月28日、沖縄県敗訴が確定した。 
 職務執行命令訴訟上告審(上告人は沖縄県知事、被上告人は内閣総理大臣橋下龍太郎)における沖縄県知事の主張は以下のようなものである。 
「沖縄の多くの人々は、自らの苦しみを他所へ移すことを望んでいません。しかし、安保条約が日本にとって、重要だと言うのであれば、その責任と負担は全国民が引き受けるべきではないかと思っています。そうでなければ、それは差別ではないか、法の下の平等に反するのではないか」。 
 1997(平成9)年、駐留軍用地特措法が改定され、収用委員会の裁決が出るまで暫定使用できる上、裁決に起業者(那覇防衛施設局長)が不満であれば建設大臣に審査請求することができ、審査期間中、いつまでも強制使用できることになった。この改定に、衆議院議員の9割、参議院議員の8割が賛成し、「日本の政治が沖縄の世論を押しつぶす」結果となった。 
 さらに1999(平成11)年には、地方分権推進一括法案が、「沖縄選出の議員と共産党などごくわずかが反対しただけで、圧倒的多数の賛成で可決・成立した」が、その結果、「米軍に提供する土地に関しては、私有地であれ、公有地であれ、総理大臣の一存で、取り上げることができるようになった」。 
 上記の諸立法は、日本国の国会で「圧倒的多数の賛成」によって制定、改定されている。このような議員を選んだ日本の有権者には、沖縄に基地を集中、固定化する差別立法を成立させた責任の一端がある。 
 
【2、基地被害と在日米軍特権】 
 沖縄県警によると、 
「1972年の本土復帰から2014年までの米軍人・軍属とその家族による刑法犯罪の検挙件数は5862件だった。うち、殺人、強盗、放火、強姦(ごうかん)の凶悪事件は571件で737人が検挙された」、「性暴力も繰り返され、強姦事件は未遂を含め、検挙されただけで129件に上る」(沖縄タイムス、2016年5月20日)。 
 この数字は検挙件数であり、実際の事件数はこれよりはるかに多いだろう。日米地位協定、日米密約が米兵犯罪を助長している元凶と考えられる。 
 日米地位協定17条は「米兵の犯罪について、公務中の犯罪は、すべて米軍が裁判権を持つ」と規定しており、「公務外の犯罪は、日本側が裁判権を持つが、容疑者が基地内に逃げ込んだりして、身柄がアメリカ側にある時は、日本側が起訴するまで引き渡さなくてよい」(前泊博盛『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』、創元社)。 
 日米密約については、1953年10月28日、日米合同委員会で日本側委員長が「日本の当局は通常、合衆国軍隊の構成員、軍属、あるいは米軍法に服するそれらの家族に対し、日本にとって著しく重要と考えられる事件以外について第一次裁判権を行使するつもりがない」と述べている。よほどの事件でない限り日本国は裁判権を行使しないという裏約束をしているわけで、実態としては占領下の治外法権とほとんど変わらない(布施悠仁『日米密約 裁かれない米兵犯罪』、岩波書店)。 
 日米地位協定、密約についての詳細は拙論「米軍属の女性暴行・殺害事件の問うもの」(『季刊現代の理論』デジタル版9号)を参照されたい。 
 拙論で紹介したキャサリン・ジェーン・フィッシャーさんは、2002年4月、横須賀で米兵に強姦された。訴訟の最中に、米軍はこの米兵を除隊し、行方が分からなくなる(後に、アメリカに帰って、性犯罪を繰り返し、被害者が増え続けたことが判明する)。その後、彼女は10年かけて自力で加害者を探し出し、2012年、ウィスコンシン州の民事訴訟で勝訴する(賠償金1ドル)。彼女の著書『涙のあとは乾く』(講談社)、『自由の扉』(御茶の水書房)をお読みいただきたい。 
 今も彼女は、辺野古新基地建設、高江ヘリパッド建設に反対し、日米地位協定改定や性犯罪被害者支援の活動に奔走している。もちろん活動の動機は、これ以上性犯罪被害者を出さないことであり、世界中の人々を視野に入れているのだが、結果として米軍基地の存在を切望する「日本人」のためにも活動していることになるわけで、筆者は「日本人」として自責の念を禁じ得ない。米軍基地撤去とともに地位協定改定について、私たちはもっと知恵を出し合い、取り組まねばならない。 
 在日米軍は上記の裁判特権以外にも様々な優遇措置を受けている。 
 日本国は在日米軍に航空法、出入国管理法などの国内用を適用できない(米兵は自由に出入国できる)。 
 また、米軍は基地返還時の原状回復義務を免除されており、有害物質を垂れ流しても米軍に除去義務はない(前泊博盛『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』、創元社)。 
 また、在日米軍駐留経費、いわゆる「思いやり予算」は、ピーク時(1999年)には約2760億円、近年は約1800億円で推移している。 
 
以下は『琉球新報』2012年3月14日の記事である。 
「米空軍嘉手納基地内に2010年、生徒数約600人の中学校ができた。」「整備費用の40億円は生徒数が同規模の県内中学校のほぼ2倍。」「同じ年の春には、沖縄市に135億円を掛けて18ホールの米軍専用ゴルフ場がオープンした。返還された泡瀬ゴルフ場(47ヘクタール)の代わりだが、面積は3.6倍に膨らみ、カジノバーまで造られた。」「87年以降の特別協定は、本来は米側が支払うべき基地従業員の給与や光水熱費、訓練移転費などにまで際限なく支払うようになった。日本が負担する駐留米軍経費は他国に比べ、群を抜いて高い。だが、米国は中国などの軍事情勢を挙げて増額圧力を強め、在日米軍再編見直しに絡む経費負担増も求めかねない」。 
 
 以上のような異常な優遇措置(在日米軍特権)は、「アメリカに守ってもらわないと怖い」という多数日本人の意識の反映であろう。 
 なぜそこまでして外国の軍隊の駐留にしがみつくのだろうか。その原因と思われる「北朝鮮・中国脅威論」について検討しよう。 
 
【3、米軍駐留を正当化する北朝鮮・中国脅威論】 
 2017年6月に国連安保理は北朝鮮に対する制裁を延長する決議2356を採択した。北朝鮮の相次ぐミサイル実験に対応し、アメリカが主導した決議である。 
 しかしこの決議は、北朝鮮国境での20万人〜30万人規模の米韓軍事演習や3つの空母が北朝鮮の沿岸沖に配備されていることを考慮に入れていない一方的なものだ。 
 北朝鮮は長らくアメリカとの対話を模索してきたが、常に拒絶されてきた(アレキサンダー・ウォロンツォフ「挑発しているのは誰か」『アジア記者クラブ通信』296号)。実はアメリカこそ北朝鮮を核開発せざるを得ない状況に追い込んでいるのであり、これは朝鮮戦争まで遡れば明白である。 
 朝鮮戦争は1950年に勃発した。犠牲者は、北朝鮮では民間人併せて約250万人、中国軍約100万人、韓国側は約150万人、アメリカ兵約5万人と推測される。北朝鮮では各地で住民が虐殺され、信川では50日間に3万5000人以上が犠牲になった(1951年、ピカソは「朝鮮の虐殺」を発表)。 
 1950年にトルーマン大統領は「核兵器使用も辞さず」と声明した。1953年に休戦協定が締結されたが、平和条約締結にいたっておらず、今も潜在的には戦争は終わっていない。 
 1957年、アメリカは休戦協定を破り、韓国に核兵器を搬入、以降何度も北朝鮮への核兵器使用を検討している。ガバン・マコーマックは「数十年も核の脅威にさらされながら、北朝鮮の住民が集団発狂しないのが不思議だ」と述べている。 
 ブッシュ政権は、イラン、イラク、北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しで非難し、実際にイラクはイラク戦争で壊滅的打撃を受ける。そして上記のように米韓は北朝鮮国境で北朝鮮にプレッシャーをかけ続けている。 
 北朝鮮はアメリカに平和条約締結を求め、いわば身の安全の保障を要求しているが、アメリカは応じていない。これが北朝鮮核開発の背景であり、北朝鮮は自衛のため、対アメリカを念頭に核開発をしている。 
 日本国がアメリカに追従し続けけるなら在日米軍をかかえる日本国も北朝鮮の仮想敵国となろう。衝突が起こった場合、日本国内で最大の標的になるのは、最大の米軍基地を押し付けられている沖縄だ。 
 在日米軍は、日本を守るどころか攻撃を誘引する元凶である(ガバン・マコーマック『属国』、凱風社。ブルース・カミングス『朝鮮戦争論』、明石書店。『週刊金曜日』1136号、1138号。『世界』2017年6月号、7月号、8月号参照)。 
 
 また、昨今は自衛隊がアメリカの下請けとなり、対米追従を強化する方向に進んでいる。 
 中国が軍事的に動く可能性があるのは「台湾有事」であり、中国軍が沖縄島と宮古島の間の公海を通過したとき、宮古島から自衛隊がミサイルを撃ち込んだら「制限戦争」に発展する可能性がある。これはアメリカの「エア・シーバトル構想」、つまり中国を空と海から封じ込める作戦が前提となっており、構想では日本全体が「バトルフィールド」になる可能性があるが、「本土が制限戦争の舞台になったら困るので」、「沖縄で始め、そこで拡大しないように抑え込まなければならないので宮古島や石垣島が重要になってくる」という。これは「沖縄に攻撃を集中させて時間稼ぎをした沖縄戦の発想と何も変わっていない」。 
 先島への自衛隊配備は国際的には大きなニュースであり、「与那国からは台湾が見える。中国にも近い。そこに日本が戦後はじめて自衛隊の部隊を置いたら、いよいよ日本が中国に対して軍事的に包囲するフォーメーションに入った」と受け止められる(以上、三上智恵・島洋子『女子力で読み解く基地神話−在京メディアが伝えない沖縄問題の深層−』、かもがわ出版)。 
 では、日本国が日米安全保障条約を破棄し、米軍基地を撤去して対米追従を止めればアジアに平和が訪れるのだろうか。ことはそう単純ではない。1971年当時、中国は日本の再軍備−軍国主義復活を懸念していた。この時期、周恩来に対してキッシンジャーは「日米防衛関係は日本が攻撃的政策を遂行するのを防いでいる」、「日本がアメリカに見捨てられたと感じて核兵器を製造すれば、恐怖は現実のものとなるだろう」と応答している(春名幹男『仮面の日米同盟』、文春新書)。 
 つまり日本の軍国主義復活を防いでいるのは日米安全保障条約であり、在日米軍がいなくなると日本国がアジアの脅威になると認識されているのだ(いわゆる瓶のふた論)。 
 日本国は1931年に柳条湖事件を起こして中国を侵略し、翌年満州国を建国した。1937年、盧溝橋事件をきっかけに日中戦争が勃発し、1941年に第二次世界大戦に参戦、アジア太平洋各地を占領し、現地住民に多大な被害を与えた。このことはアジア各国で、歴史教科書を通じて今も伝えられている(『アジアの教科書に書かれた日本の戦争』東アジア編、東南アジア編、梨の木舎)。 
 つまり日本国こそアジア太平洋地域の脅威であり、後述するように国際社会で「日本脅威論」が払拭されていないことが問題の核心である。 
 再び沖縄を戦場にしてはならない。そのためには、日本国は在日米軍を撤去し、アメリカの戦争に加担せず、なおかつ日本国が軍国主義から決別していることを世界に発信する必要がある。 
 
【4、日本脅威論を払拭するには】 
 現在の日本国は軍国主義復活にまい進していると思われても仕方ないのではないか。 
 海渡雄一『戦争する国の作り方−「戦前」をくり返さないために』(彩流社)は、第二次安倍政権発足後の、特定秘密保護法、集団的自衛権行使容認の閣議決定、盗聴捜査拡大・司法取引含む刑法改正、安全保障法制(戦争法とも呼ばれる)、共謀罪法は「戦争準備」であると指摘する。「改憲」が安倍晋三の念願であることはいうまでもない。その他、ヘイトスピーチの蔓延、武器輸出3原則の撤廃、大学における軍事研究の拡大、教科書からの「従軍慰安婦」の削除など日本国の加害の歴史の抹消など、日本脅威論を払拭するどころか、その懸念を強める事態が続発している。同書は「戦争は、仮想敵国とされる国・集団に対する敵意があおり立てられている状態で起きます。ヘイトスピーチは戦争の根源」、「戦争のきっかけとなる紛争は、政府によって謀略的に作られることがあります。そしてこのような事柄は隠される」と指摘する。 
 「日本脅威論」が中国、北朝鮮の軍拡を強め、これに対抗するためにますます日本国が軍国主義にまい進するという悪循環を防がねばなるまい。そのためには、「戦争法」、共謀罪法など上記の諸立法を廃案に追い込み、改憲を阻止し、アジア太平洋地域に対する加害の歴史を学び、伝え、ヘイトスピーチを抑止するなど現政権と正反対の方向を目指す必要がある。 
 まずは民間レベルで、悪化した中国、北朝鮮との友好関係を回復する様々な取り組みを模索していくことが出発点となるだろう。 
 
【結びにかえて】 
 川満信一は「琉球共和社会憲法C私(試)案」(以下、川満憲法案とする)を『新沖縄文学』1981年6月号に発表した。 
 2014年には、川満信一・仲里効編『琉球共和社会憲法の潜勢力−群島・アジア・越境の思想−』(未來社)が出版され、川満憲法案の可能性が論じられている。 
 川満憲法案第13条には「侵略行為がなされた場合でも、武力をもって対抗し、解決を図ってはならない」と規定されており、自衛戦争さえ認めないことを明文化している。 
 そのあと、第14条「軍事に関連する一切の航空機、船舶その他は立ち入りおよび通過を厳禁する」、第15条「核の禁止」、第16条「軍事に関連する外交は一切禁止する」、第17条「亡命者の受け入れを要請したときは無条件に受け入れる。ただし軍事に関係した人間は除外する」と続く(拙論「先手と後手−川満憲法案と知念ウシの実践−」『季刊 未来』587号参照)。 
 憲法9条擁護を主張するならここまで徹底した非戦の覚悟が必要ではないだろうか。一足飛びに実現することは困難であるが、段階を踏んでこの方向に進んでいく方策を考えたい。 
 「日本脅威論」を払拭すること=非戦の実践こそがアジアから脅威を取り除き、沖縄から米軍基地、自衛隊基地を無くすことにつながる。憲法9条を維持し、かつ日米安全保障条約を破棄するというまっとうな選択ができる日本国にするために、試行錯誤していきたい。 
 
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<執筆者プロフィール> 
 
 宮平 真弥(みやひら・しんや) 
 
 1967年、沖縄県生まれ。 
 東京都立大学社会科学研究科博士課程(基礎法学)満期退学。現在、流通経済大学法学部教授。専門は日本近代法史(入会権、水利権、温泉権等)。 
 著書に、『琉球独立への本標』(一葉社)、『部落有林野の形成と水利』(共著、御茶の水書房)、『現代日本のガバナンス』(共著、流通経済大学出版会)など。 


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