2017年08月16日18時19分掲載
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コラム
議員の外国視察旅行について
各地の議員たちが議会のない期間に外国などに視察旅行を行うことがあり、以前からよく挙げられている批判は視察とは名ばかりの税金を使った単なる海外旅行ではないか、というものだ。最近、その実態を示す映像記録が民放で放送されて、強い批判を浴びた。そして、議員の外国視察旅行は廃止せよ、という視聴者の声が上がっている。
確かにもし視察が単なる私的な遊びに過ぎず、そうしたことが恒例化していれば問題だし、廃止という声もうなづける。ただ、こうした場合に一度冷静になってみる必要があると思うのだ。よくないケースが全体のどれくらいに及んでいるのか、さらに、そうした事態を改善する余地はないのか、そして、海外視察の必要性があるのかないのか、ということである。議員の中には海外視察で得た知識を活用して、行政の改革を行う人や新しい制度設計を提案する人はいないのだろうか。この制度の必要性を考えるにあたって、それらのことを1つ1つ検討していく必要があると思うのだ。
たとえば北欧の社会保障制度のことがよく参照されるが、実際にどう運用されているかということを現地で確かめてみる意義はないのだろうか。あるいは環境保護の取り組みとか、レイシズム撲滅のための取り組みなどもそうである。外国の進んだ取り組みを参照するメリットはあると筆者は考えるのだ。紙の上でとか、講演で話を聞いた、という人づての情報だけではわからないことも実像に触れる機会があればもっと理解が深まるはずである。また人脈ができると、それ以後もいろいろ質問したり、教えを乞うたり、別の自治体を紹介してもらったりすることもできるだろう。もちろん、税金で視察旅行するのだから、政策に役立てるのは勿論のこと、その見聞を他の人々が活用でき、町の発展に生かせるように記録として残すことも大切である。
こうした場合に思い出されるのは生活保護受給者の中に不正受給している人がいる、という報道がなされると、生活保護を受けている人々全体が厳しい目で見られてしまうということである。一部の事象を見て、全体を総括してしまうことになりがちなのであり、映像というメディアは印象が強いだけにそうした牽引力になりかねない、ということである。
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