2017年08月27日10時51分掲載
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コラム
自民党の政治家たちの危機感の”ずれ”
今では東京新聞と並んで、この国で政府批判ができる数少ない新聞が日刊ゲンダイである。その日刊ゲンダイに自民党内で反安倍を標榜する議員が集結したという記事が出た。記事によると彼らは「日本の明日を創る会」という30人の勢力で、未だ大臣になれていない中堅議員たちだと言う。記事にはこう書かれていた。
「議連に集まったメンバーの多くは、『国民から嫌われた安倍首相では選挙に勝てない』『自分たちも落選してしまう』と本気で危機感を強めています。」 (日刊ゲンダイ)
議員たちの危機感には国民不在の印象が強い。彼らの危機感の本質は安倍政権では次の選挙で自分が落選してしまう、ということに尽きるように読めてしまう。それは企業内のリストラでなんとか会社にしがみつこうとする中高年の男性社員を思わせる。誰しも解雇されたくはないだろう。しかし、選挙期間に限っては上司は国民だが、いったん選挙に大勝した後は、数を頼みに与党は国民の上司に転じて、やりたい放題をやってきたと言われても仕方がないだろう。
安倍政権が始まったのは2012年の12月であり、それから5年近い歳月が過ぎた。その間、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪などの法案が国民の多数の反対を無視して、強行採決で次々と通されてきたのだ。危機感を抱くとしたら、こっちだろう、というのが多くの国民の思いだ。その時、彼らはどこにいたのだろうか。彼らの危機感は選挙で当選したい、という単なる利己的な保身に過ぎないように国民の目には見えてしまうのである。声を上げるべき時は安倍首相がパワー全開だった時だった。安倍首相がスキャンダルで勢力が衰えた今、初めて声を上げ、力を集結するような軟弱な与党政治家たちを国民は頼りになるとは思えないだろう。政治家は国民のことなど考えていないのではないか、という疑いを喚起する点では議連には入っていないが、この度、内閣改造で総務大臣に就任した野田聖子も同様である。
国民がどう思うか、国民にどう思われるか、ということ以前に<あなたはこれらの法案を政治家として、国民としてどう思っていたのか、そして何をしたのか>ということが最も問われていることなのだ。本当に反安倍の風を起こしたいなら、政治家としては行動で示すしかない。それはこれらの法案を白紙撤回することである。
村上良太
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