2017年09月05日22時20分掲載
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コラム
ナチス礼賛発言と日本の政治家
麻生副首相がまたナチス賞賛発言をしたと報じられた。前回はナチスが改憲した方法をまねる必要があるという発言で、今回はヒトラーの動機は正しかった、という発言だと報じられた。ヒトラーの動機が何だったのかまでは詳しく報じられていないが、ヒトラーやナチスの政策の柱はユダヤ人排斥であり、人種差別主義だった。欧州に存在する悪の責任をユダヤ人に押し付けたのがナチスのイデオロギーの核心部分に他ならない。麻生氏の言うように、もしヒトラーの動機は正しかったが、結果が良くなかったのだとすれば、どうすれば結果的によかったと麻生副首相は考えたのだろうか。
日銀の原田泰審議委員がヒトラーの財政金融政策は正しかった、と語ったことも最近報じられたばかりだ。ヒトラーの経済政策はナチス党の発展段階で変化していくためひとくくりにはできないが、ヒトラーの経済政策はナチズムの核心である人種差別主義を支える方策に過ぎなかったと言えるのではなかろうか。財政金融政策はどのような政治を行うかという総合的なテーマの中の1つの手段であり、手段だけ取り上げて価値判断しようとしたのが誤りだったように思えるのだ。そして原田氏の発言によって今日の日銀幹部の思考回路が透けて見えた気がした。こうしたテクノクラートや官僚、政治家の考え方が批判されているのではなかろうか。
麻生副首相らの言葉は新しいものではない。遡れば1986年に自民党の中曽根康弘首相がアメリカには黒人やプエルトリコ人やメキシコ人などがいるから、知的水準がまだ高いとは言えない、というような発言をしたため、アメリカから強い批判を浴びたことがあった。この発言は反ユダヤ主義ではないが、根っこは麻生副首相と同一のものを含んでいる。人種差別主義の意識が根底にあり、一国を治める政治家の発言であればその国をどういう風に統治しようと考えているかが透けて見えるのである。
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