2017年09月08日18時10分掲載  無料記事
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韓国

韓国新政権、日本による戦争被害全体の救済に向けてどう動くか?―6/13韓国国会に「動員被害者人権財団」設立法案を超党派議員が提出―

【韓国国会に「動員被害者人権財団」設立法案提出、日本側説得し被害回復に道開けるか?】 
 
 6月13日、韓国の国会に「日帝強制動員被害者人権財団」設立法案が提出されました。李恵薫(イ・ヘフン)議員が代表発議したもので、与党の“共に民主党”、野党の“自由韓国党”“国民の党”“正しい政党”の10議員が共同提出したものです。審議はまだかなり先とみられています。 
 韓国では、400人の朝鮮人労働者が長崎県端島(軍艦島)を脱出するという映画『軍艦島』の公開が今夏予定され、大ヒット確実と見られています。とくに徴用工の問題に関心が集まることが予想され、「慰安婦」問題と併行して日韓の外交課題として今年後半急浮上するとみられています。 
 同財団設立法案は、この問題の解決策として、「慰安婦」以外の日本による強制動員被善者の人権救済のために、韓国政府と企業および日本政府と日本企業が出資して韓国内に設置される財団をとおして実質的な賠償を実現させるものです。 
 
 この問題に関する韓国大法院(最高裁)の判決が待たれますが、いずれにしても、韓国新政権がどこまで本気で日本政府と企業を説得し、これまで一切拒否し続けてきた対応措置を引き出すことができるかが注目されます。 
 同じ原告(韓国人被害者)vs被告(日本企業)で同一のケースを争いながら、裁判の結果は正反対で、日本ではシロ、韓国ではクロという前代未聞の異常事態を解消すべく、迅速かつ合理的な解決方法を双方合意の下で編み出して実施すべきです。 
 当事者が高齢で、時間が切迫してきていることを肝に命じて、急ぎ解決に導く努力と働きかけを、国会議員・支援者・弁護士・研究者・ジャーナリストらが連携して集中的かつ継続的に行うことが大切です。 
 あまりに長く未解決のまま問題が先送りされ、日本社会では問題意識が希薄になり、関心も薄れてきている印象がありますが、時間が経過したからといって、問題が消滅したわけではありません。日本は厳しい状況ですが、韓国の政権交代を契機に、被害者側にとって意義のある戦後処理・戦後補償を実現できるようご協力を訴えます。 
 
日帝強制動員被害者人権財団の設立に関する法律案 
〔仮訳:李洋秀(イ・ヤンス)〕 
案番号7378 
発議年月日 2017.6.18. 
 
発議者(10人): 
李恵薫(イ・ヘフン、正しい政党)※代表発議 
朴仁淑(パク・インスク、正しい政党) 
劉承※(ユ・スンミン、正しい政党)※“日”へんに“文” 
廬雄来(ノ・ウンネ、共に民主党) 
金榮春(キム・ヨンチュン、共に民主党) 
呉済世(オ・ヨンセ、共に民主党) 
金我(キム・ヒョナ、自由韓国党) 
文診国(ムン・ジングク、自由韓国党) 
黄柱洪(ファン・ジュホン、国民の党) 
徐瑛教(ソ・ヨンギョ、無所属) 
 
提案理由: 
 日帝による植民地支配下から解放されて70余年も経つのに、いまだ日帝によって強制動員された被害者の傷は癒されてない。 
 また、強制動員被害者の権利救済に先立つべき我が(韓国)政府は、1965年日本から貰った請求権資金を、ポスコ建設をはじめ経済開発に使用した以後、現在まで強制動員被害者の権利救済問題を放置してきた。 
 後になって、強制動員被害者支援のための法律を制定し、支援したが、国外に強制動員された被害者に対してだけの支援で、残された強制動員被害者に対する支援は、予算等の問題から放置しているのが実情である。 
 一方、被害者がポスコを相手にした訴訟では、裁判所が被害者のための財団設立を強力に促していて、ポスコも政府次元の財団設立が成立すれば、積極的に参加するという意志を表明したことがある。 
 ここに日帝強制動員被害者支援のための財団を設立することで、遅くとも強制動員被害者の苦痛を癒して国民統合に寄与し、進んでは究極的責任がある日本政府及び企業の責任意識を牽引して韓・日間の健全な発展に寄与しようというものである。 
 
主要内容: 
ア、この法は、日帝強制動員被害者人権財団を設立して、強制動員被害者とその遺族の損害を賠償し、その生活を支援して、追悼、文化、学術、調査、研究等の事業を推進することで、韓日間の平和と人権の伸長に寄与することを、目的とする(案第1条)。 
イ、国家は被害に責任がある日本政府・企業が、被害者支援のための財源の用意を共にできるよう、必要な外交的努力を尽くすようにする(案第4条)。 
ウ、日帝強制動員被害者賠償及び支援を効果的に遂行するために、日帝強制動員被害者人権財団を設立することとする(案第5条)。 
エ、政府は財団の設立及び運営と日帝強制動員被害者支援金に所要される経費を充当するために、必要な資金を予算の範囲で出損または補助することができる(案第18条)。 
 
法律案: 
第1条(目的) 
 この法は去る20世紀、日本帝国主義侵略のせいで発生した植民地支配の下、韓国人の人権侵害、特にアジア太平洋戦争当時の韓国人の人権侵害が、韓日両国政府によって充分回復しないまま放置されていて、被害者らの被告回復が韓国と日本の未来のために必ず解決されるべき時代的状況の中で、韓日両国政府と強制動員責任企業、対日請求権資金受恵企業等の出損金、寄付金及び信託金等を通じて、日帝強制動員被害者及び遺族の損害を賠償し、その生活を支援することで、これらの苦痛を治癒して、進んでは強制動員被害と関連する追悼、文化、学術、調査、研究等の事業を推進することで韓日間平和と人権の伸長に寄与するための財団の設立を目的にする。 
 
第2条(定義) 
 この法で「日帝強制動員被害者」とは、「対日抗争期強制動員被害調査及び国外強制動員犠牲者等支援に関する特別法」第2条第1号及び第2号による被害者をいう。ただし、日本軍性奴隷被害者は除外する。 
 
第3条(遺族の範囲等) 
 ,海遼,如岼簑押廚箸蓮日帝強制動員被害者のうち、死亡したり行方不明になった人の親族の中で、次の各号に該当する人をいう。 
 1.配偶者及び子 
 2.父母 
 3.孫 
 4.兄弟姉妹 
 5.兄弟姉妹の子 
◆〔楪覿制動員被害者賠償及び支援金を支給される遺族の順位は、第1項各号の順位とする。 
 第1項各号の順位による遺族は、日帝強制動員被害者賠償及び支援金を支給される権利を持つ。ただし、同じ順位の者が2人以上の場合は、同じ持分で日帝強制動員被害者賠償及び支援金を支給される権利を公有する。 
 
第4条(国の責務) 
 国は被害者と遺族の精神的苦痛が癒されるよう、被害責任がある日本政府や日本企業が日帝強制動員被害者賠償及び支援のための財源の用意を共にできるよう、必要な外交的努力を尽くさなければならない。 
 
第5条(日帝強制動員被害者人権財団の設立) 
 ‘帝強制動員被害者賠償及び支援を効果的に遂行するために、日帝強制動員被害者人権財団(以下「財団」とする)を設立する。 
◆〆眞弔亘/佑箸垢襦 
 
第6条(設立と所在地) 
 〆眞弔麓腓併務所がある所を管轄する法院(裁判所)に、設立登記することで成立する。 
◆〆眞弔亮腓併務所は、定款で定める。 
 
第7条(定款) 
 〆眞弔猟蟯召砲蓮⊆,粒胴罎了項が含まれなければならない。 
 1.目的 
 2.名称 
 3.主な事務所に関する事項 
 4.業務とその執行に関する事項 
 5.組織に関する事項 
 6.役人に関する事項 
 7.理事会の運営に関する事項 
 8.資産及び会計に関する事項 
 9.定款の変更に関する事項 
 10.公告に関する事項 
◆〆眞弔猟蟯召鯤儿垢垢襪砲蓮行政自治部長官の認可を受けなければならない。 
 
第8条(財団の事業) 
 財団は第1条の目的を達成するために、次の各号の事業を遂行する。 
 1.第18条による運営財源の管理及び運用 
 2.日帝強制動員被害者賠償または支援金の支給 
 3,日本政府及び日本強制動員責任企業の金銭信託による受託業務 
 4.追悼空間(追悼墓地・追悼の塔・追悼公園)の造成等、慰霊事業 
 5.対日抗争期、強制動員被害史料館及び博物館の建立 
 6.日帝強制動員被害に関連文化・学術事業及び調査・研究事業 
 7,その他、定款で定めた事項 
 
第9条(関連行政機関との協力等) 
 〆眞弔和茖云鬚量榲を達成するために、各国家機関及び関連研究機関と情報を公有するよう努力しなければならない。 
◆〆眞弔和茖云鬚量榲を達成するために、第1項の国家機関及び関連研究機関と協力事業をできる。 
 行政自治部長官は、財団が情報公有及び協力事業等を施行するにおいて、必要な行政的・財政的支援をできる。 
 
第10条(役員) 
 〆眞弔法¬魄として理事長1人を含む、15人以内の理事と監事2人を置く。 
◆〕事長と定款で定める常勤理事を除く役員は、非常勤とする。 
M事長は日帝強制動員被害問題に専門的識見を持つ者で、行政自治部長官の提案によって国務総理を経て、大統領が任命する。 
ぁ〕事は、大統領令で定める当然職理事を除き、行政自治部長官の理事長の推薦によって任命する。 
ァヾ道は、行政自治部長官が任命する。 
Α〕事長及び理事の任期は2年、監事の任期は2年にするが、1次に限って重任することができる。 ただし、当然職理事の任期は、その在任期間とする。 
 
第11条(役員の欠格事由) 
 ー,粒胴罎痢△匹譴一つに該当する人は役員になれない。 
 1.「国家公務員法」第33条各号の、どれか一つに該当する人 
 2.政党の党員 
 3.「公職選挙法」によって実施する選挙に、候補者(予備候補者を含む)として登録した人 
◆〔魄が第1項各号のどれか一つに該当する時には、当然退職する。 
 役員が次各号のどれか一つに該当する時には、解任することができる。 
 1.心身障害によって職務遂行が不可能だつたり、顕著に困難と認められる時 
 2.職務怠慢、品位損傷、その外の事由によって、役員として適当でないと認められる時 
 
第12条(役員の除斥、忌避、回避) 
 〔魄は次の各号のどれか一つに該当する場合には、該当の審議・決定で除斥される。 
 1.役員またはその配偶者や配偶者であった者が、賠償または支援金の支給申請をした場合 
 2.役員が賠償または支援金の支給申請者と、親族や親族であった場合 
 3.役員が賠償または支援金支給申請に関して、当事者の代理人として関与したり関与した場合 
◆’綵または支援金支給中請人は、役員に審議 決定の公正性を期待しにくい事情がある場合、理事会に役員の忌避を中詰することができる。 
 役員本人は、第1項各号のどれか一つ、または第2項の事由に該当する場合には、自ら理事会の審議,決定を回避することができる。 
 
第13条(役員の職務) 
 〕事長は財団を代表して、財団の業務を統轄し、所属職員を指揮・監督する。 
◆‐鏘侏事は定款で定めるところによって財団の事務を分担し、理事長がやむを得ない事由のせいでその職務を遂行ができない時には、定款の定める常勤理事がその職務を代行する。 
 監事は財団の業務及び会計を監査する。 
 
第14条(役職員の兼職制限) 
 “鷯鏘侏事を除く財団の役員及び職員は、その職務外に営利を目的とする業務に従事できない。 
非常勤理事を除く財団の役員及び職員を、理事長の許可なく他の職務を兼ねることはできない。 
 
第15条(理事会) 
 〆眞弔龍般海亡悗垢觸斗彁項を審議 議決するために、財団に理事会を置く。 
◆〕事会は、理事長を含む理事で構成する。 
 理事会の議長は理事長がなり、理事会議長がやむを得ない事由から職務を遂行できない時は、定款で定める常任理事がその職務を代行する。 
ぁ〕事会の会議は理事会議長の要求や、在籍理事3分の1以上の要求で召集し、理事会の議長がその会議を主宰する。 
ァ〕事会は在籍理事の過半数の出席で開会、出席理事過半数の賛成で議決する。 
Αヾ道は理事会に出席して、意見を陳述することができる。 
 
第16条(職員の任免) 
 財団の職員は、定款で定めるところによって、理事長が任免する。 
 
第17条(運営財源) 
 〆眞弔蓮⊆,粒胴罎虜盡擦捻娠弔垢襦 
 1.第18条による出損金、または補助金 
 2.第19条による寄付金品 
 3.日本政府及び企業、国内企業の出損金、または寄付金 
 4.日本政府及び企業の信託金 
 5.その他の収入金 
◆‖茖厩爐砲茲觝盡擦蓮則団の運営と第1条の目的のためだけに使用しなければならない。 
 
第18条(出損金等) 
 \府は財団の設立及び運営と日帝強制動員被害者支援金に所要される経費を充当するために、必要な資金を予算の範囲で出損、または補助することができる。 
◆‖茖厩爐砲茲觸仟散眦の交付・使用等に必要な事項は、大統領令で定める。 
 
第19条(寄付金品の募集) 
 財団は必要と認めれば、行政自治部長官の承認を受けて、寄付金品を募集することができる。 
 
第20条(国・公有財産の無償貸し付け等) 
 国または地方自治体は財団の設立及び運営のために必要と認める時には、「国有財産法」または 「公有財産及び物品管理法」にもかかわらず、国有財産または公有財産を財団に無償で貸し付けたり、使用・収益にしたりできる。 
 
第21条 <以下中略> 
 
第30条(日本政府及び強制動員責任企業の信託による受託業務) 
 〆眞弔脇本政府及び強制動員責任企業の金銭等財産信託にてにる業務を行う。 
◆〆眞弔脇本政府または、強制動員責任企業が財産信託をする場合信託の主旨及び信託金額の適正性等を審査して財産信託を承認することができる。 
 財団は信託された財産を信託の主旨によって賠賞金の支給、被害者違令及び追悼等のための警備(経費)に使うことができる。この場合法律第27条のこの中支援で見ない。 
ぁ“鏗下圓箸修琉簑欧和茖街爐亡陲鼎い匿託受恵者になって財団の規定によって見たことは信託財産の範囲内で賠賞金の支給を申し込むことができる。 
ァ〆眞弔被害者及びその遺族に賠償金を支給する時には受恵者が和解を受け入れたという書面資料3部を提出受けてその中日本政府と信託企業に各1部を提供する。 
Α〜姐爐砲茲辰毒緇浙發鮗領した場合該当の被害者及びその遺族と日本政府または信託企業の間に法律上和解が成立されたことで見る。 
А)椶両鬚砲茲觝盪鎖託は本法施行日から2年以内に成り立たなければならない。 
 
第31条(法人税減免) 
本法によって設立された財団に出損または寄付した国内企業に対して法人税を減免することができる。 
 
第32条(「民法」の準用) 
 財団に関してこの法に規定したことを除き「民法」中財団法人に関する規定を準用する。 
 
第38条 <以下中略> 
 
      ★      ★      ★ 
 
◆皆様からの情報や投稿をお待ちしています。 
 下記宛てになるべくEメールでお送りください。 
→(編集部)cfrtyo@gmail.com 
 
戦後処理の立法を求める法律家・有識者の会ニュース51号 
(2017年6月25日発行) 
(編集人=有光 健) 
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