2017年09月15日22時59分掲載  無料記事
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作家ジャン=フィリップ・トゥーサンの最新作、「メード・イン・チャイナ」についてインタビューInterview : Jean -philippe Toussaint sur " Made in China "

  今週、フランスで作家、ジャン=フィリップ・トゥーサン(Jean -philippe Toussaint) 氏の新刊が発売となりました。タイトルは「メード・イン・チャイナ」。それはいったい文学とどのような関係があるのだろうか、と思う人は多いのではないでしょうか。そこでトゥーサン氏にインタビューをしました。 
 
(以下はインタビュー) 
 
1) Comment vous etes-vous interesse a la Chine ? 
 
Q 中国にはどのような経緯で関心を持たれましたか? 
 
  Lorsque Chen Tong, mon editeur chinois, m’a invite la premiere fois en Chine au debut des annees 2000, il m’a demande quelles etaient " mes conditions " ; (si je voulais venir accompagne;, si je voulais voyager en classe affaires, etc.), et, comme j’etais interesse de decouvrir la Chine, je lui ai repondu que la seule chose que je souhaitais, c'etait de rester " longtemps ";. 
 
  私の中国人の編集者であるチェン・トンが中国に私を招待してくれたのは2000年のことでした。トンは私に「私の側の条件」は何かと尋ねました。というのは、私が誰かを同伴したいかどうか。飛行機はどのクラスが希望なのかなどといったことです。私は中国をぜひ見てみたい、と思っていたものですから、私の出した答えはできるだけ「長期間」滞在したいということでした。 
 
2) Quel est le defi pour vous d’ecrire cette histoire ? 
 
Q 今回の話はあなたにとってはどのような挑戦であったのでしょうか。 
 
  Mon livre est multiple. C’est un texte de reflexion theorique sur le rele que joue le hasard dans la creation artistique.Tant qu’on ecrit, tant que le livre n’est pas acheve, tout est ouvert, on peut se servir de toutes les experiences de la vie reelle pour le nourrir. Mais, des que le livre se termine, cette ouverture au possible se clot definitivement : " L’oeuvre se referme au vent des fortuits, et devient la fatalite qu’elle devait etre. " 
 
  この本には複数の要素が含まれています。この本は芸術の創造において偶然が関与する役割について理論的に探求したものです。たくさん書けば書くほど、本は完成から遠ざかっていくものです。本は世界に開かれたものです。本を書き上げるためには実人生におけるあらゆる経験を取り入れていくことが可能です。しかし、ひとたび本が完成したら、執筆時に世界に対して放たれた扉は再びきっちりと閉ざされてしまいます。 
 
 「作品は突然の風に吹かれて閉じてしまう。そして、その時吹いた偶然の風が運命となる。そうなると、もはや最初からそうでしかありえなかったかのように 」 
 
Mais Made in China est aussi la chronique du tournage d’un film que j’ai tourne a Guangzhou. Et c’est aussii portrait de mon ami Chen Tong, mon editeur chinois, qui est a la fois libraire, artiste, commissaire d’exposition et professeur aux Beaux-Arts. Il y a un moment, dans le livre, ou je suis tres touche par quelques mots qu’il a prononces, qui me font ressentir, au-dela des cultures et des langues, ce que peut etre la reussite d’une relation professionnelle, et meme ce que peut etre l’amitie. 
 
  しかし「メード・イン・チャイナ」はまた私が広州で映画を撮影した時の記録でもあります。と同時に、私の友人にして中国人の編集者であるチェン・トンのポートレートでもあるのです。彼は書店主でもあり、芸術家でもあり、展示会の委員でもあり、芸術学校の教授でもあります。この本の中にはトンが語った言葉が記されていますが、私はその言葉に深く感銘を受けたのです。その言葉は言語や文化を越えて私の心に深く届いたのです。つまり、私たちは文学の仕事の上で互いに素晴らしい関係を築くことができ、さらにまた友情という意味でも恐らく同じだと信じています。 
 
Jean-Philippe Toussaint 
ジャン=フィリップ・トゥーサン 作家 
 
 
※Honey Dress 2015 (中国でトゥーサン氏が監督した短編「蜂蜜のドレス」。製作はチェン・トン氏) 
https://vimeo.com/197296731 
この短編はトゥーサン氏の小説「裸」(Nue)の中の1シーンを映像化したもので、ファッションショーのために裸になっている主人公のマリーは他の作品でも登場するキャラクターである。 
 
インタビュー 
村上良太 
 
 
■作家ジャン=フィリップ・トゥーサン氏にインタビュー  〜衝撃的デビュー作「浴室」はどのようにして生まれたのか?〜 Interview : Jean-Philippe Toussaint How the masterpiece, " La salle de bain " was created ? " 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201611101342434 
 
■「筋骨たくましい女性の体について」 ナタリー・ガッセル(ベルギーの女性の作家) 'Sur le corps feminin athletique' Nathalie Gassel 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201603100242234 


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