2017年10月05日22時03分掲載
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政治
緊急事態条項は「戒厳令」 改憲で韓国、台湾、フィリピンなどの歴史を日本人はこれから味わうことができる
緊急事態条項とは日本人は対象ではないかのように安倍政権は語ってきたが、実質的には「戒厳令」に他ならない。政府が危機と判断したら、立法権・行政権(さらには司法権)のすべてを政府(軍)が掌握することである。自民党が提出している改憲案は近代憲法を解体するものであり、政府と軍が一体化して軍事政権と化す可能性が高い。
韓国でも台湾でもフィリピンでも軍事独裁政権の時代にこれらを体験している。もし自民・希望の連立政権で改憲が行われて、緊急事態条項が認められば日本もこれらの旧植民地国家(地域)の歴史を一から勉強できるだろう。
韓国で1980年に起きた5・17非常戒厳令拡大措置、台湾で1949年に起きた戒厳令、フィリピンで1972年に起きた戒厳令。それらの歴史が安倍政権が意図してきた緊急事態条項の意味する世界を端的に語っているのである。日本国憲法のおかげで日本人は幸い、体験せずに済んだ。戒厳令とは権力にある者が軍事力と警察力で民主化を阻み、地位の永続化を図ってきた歴史なのである。つまり権力者が憲法の縛りから外れ、誰からもチェックされることがなくなる暗黒の季節である。だからこそ立憲運動や民主化運動とはまさに戒厳令との闘いだったのだ。台湾で蒋介石の時代に発令された戒厳令が共産主義勢力との戦いのために「38年間」続いたことを忘れてはならないだろう。その間、一党独裁が続いた。
河内山武信
■台湾
数万人が投獄、処刑 戒厳令解除30年 解明進まず
https://mainichi.jp/articles/20170713/k00/00m/030/120000c
「世界史上最長と言われる台湾の戒厳令(1949〜87年)が解除されて15日で30年を迎える。当時は国民党の独裁政権下で、多くの市民が反政府活動などの理由で投獄、処刑されたが、死者数など不明な点は多い。蔡英文政権は真相究明に取り組む姿勢を強く示す一方で、供述調書など膨大な資料の整理は進んでいない。」(毎日新聞)
緊急事態条項は子供や孫の世代まで長い苦しみを与えるかもしれない。
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